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三十三話 コスプレ

 本編ではないのかもしれない。

 由々しき事態だ。金が少ないのだ。少ないと思うのだが、深刻に考えていたのは私だけらしい。カクとティナは揃って「なるようになるだろ」とかさ。そりゃなるようにしかならないだろ!

 唯一レニーは賛同してくれたが、それでも緊急事態というほどではないという認識らしい。

 もしかして私が使いすぎただけか?

 と互いに確認してみればむしろ1番のお金持ちだった。なんでや。


 そんなこんなで3つのクエストを終わらせた。ダーロとはいえ狩猟クエストや採取クエストであれば対象はほとんど一緒だ。

 湿地帯が遠いせいか大毒亀ブズィオンジズタートル関連のクエストは見かけなかったが、火蛇(フィラルスネーク)雷狼(ライグンウルフ)角兎(ケルトヘア)大角兎(ケルトジズヘア)などと見慣れたものばかりだ。

 正直ダールの方が狩猟系のクエストは多かった気がする。が、これでも普段よりは多いというから驚きだ。この街の冒険者は苦労しているのかもしれない。

 狩猟系が増えている、というのはシェンさんの言ったとおり街道のパトロールが減っているらしく、その対応に冒険者ギルドを使っているらしい。抜けているんだか、抜けていないんだか、いまいち分からない。


 ダール(ダリルレ・リニアル)との1番の違いは護衛クエストかもしれない。

 北のアーフォート行きの往復2週間コースという拘束は長いが実入りの良いクエストこそあれど、あれは大体が5級からだし、6級であれば東のダーレイ(ダレ・イーリル)への護衛もあるがこっちは下手すればアーフォート行き以上の敵が出ることもあるとか。

 じゃあ南は、といえば実際に受けたとおりで、数こそ多いが小粒なクエストが多く、魔物の数も少ないため魔石による副収入もあまり期待できない。西?そもそも橋を渡るだけだ。


 一方ダーロ(ダーロ・アマツ)の護衛クエストは多い。

 というのも、ダールの西にあるシュテスビンや北のアーフォートへの直通が結構あるのだ。ダールの護衛クエストが少ない理由が少しだけ分かった気がする。ちなみにダーマ(ダーマト・セム)行きの護衛クエストはここ4日で1回も見かけてない。やっぱりあそこはただの中継地なのかも。 

 昔はさらにウィグマを筆頭とした東側諸国行きもあったとか。今は戦争中だからか全くないけどね。

 そして1番大きいのは船だ。ダニヴェス最大の港町ということもあり、他国への護衛クエストがちらほらある。当然というべきか、期間も長いが、そのどれもが高報酬だ。日割りしてみると実はそうでもなかったりするが、安定して収入を得るならこれかもしれない。

 だがどれも5級以上だ。というか3級向けのもある。赤き月のなんちゃらくらいしか実際に見たことはないが、彼らはここが拠点だったりするのだろうか。

 なお船上防衛が含まれるクエストに関しては海運ギルドで研修的なもんを受けて専用の海証を所持していないとダメらしい。この世界は何をするにもギルドだ、許可証だ、身分証だの……ちょっと面倒くさい。下手をすると、前世よりもガッチガチかもしれない。


 クエストのおさらいに関してはこのくらいでいいかな。


 1週間、つまり6日かけて3回のクエストをこなし、小銀貨14枚ちょっとの収入になった。小銀貨3枚がそれぞれのお財布に入って、小銀貨2枚とちょっとがパーティ用の財布に。

 例えば雷狼を狩るクエストでは、指定10匹に対して17匹も狩ったおかげで魔石だけでも結構な稼ぎになったし、角も売れる。3枚ほど綺麗な状態での毛皮も手に入った。

 あまり価値のある種類ではないが、それでもそこそこな値段にはなる。運ぶのは苦労したけど、剥がしたりはカクがやってくれた。あいつどこで覚えたんだ。

 雷狼の肉はと聞けば、調理してくれる店も買い取ってくれる店も見つけてないので捨てていくという。火蛇の肉は持ち帰ってた辺り、やっぱり肉食のは売れづらいのかもしれない。


 そうそう、小さめの火蛇を渡され捌いてみたのだが、これが思いの外簡単だった。

 内臓に沿って切り込んで、その後は首の方から尾に向けて皮を引っ張るとペロッと剥がせる。内臓も切れ込みから簡単に取れて、後はお肉と骨だけになる。

 塩を振りかけただ焼いてみただけなのだが、魔物特有の土臭さもほとんどなく、カクの持っていた香草も合わせれば文句なしだった。

 骨が多くて食べづらいとか、ややパサパサしてるなんて問題もあったが、干し肉に堅パンが当たり前な私達にとっては些細な問題だ。


 っと悪い癖だ、閑話休題。つまるところ私のお財布は今温かい。やっぱり頑張れば冒険者は稼げる!

 もちろん消耗品の購入だったりとか色々考えるとすぐに飛んでいってしまう程度だけど、少なくとも今はコガネモチ。

 物価はダールよりちょっと安いみたいだけど、クエスト報酬や魔石売りでの収入もちょっと安い。普通、栄えてるとこって高くなるんじゃないの?よく分かんない。



◆◇◆◇◆◇◆



 ともあれしばらく活動出来る程度のお金が出来たので今日はおやすみ。せっかくなので今日はダーロを見て回ろうと思う。

 消耗品の買い出しって意味もある。稼いだお金の大半はこれで飛んでっちゃうんだよね。

 カクは情報収集とやらでぶらついてて、ティナは職人街への買い出し。レニーだけは今日は宿でお留守番。薬の調合をするなんて言ってたけど、荷物番って意味もあるみたい。

 つまり久々の1人、1人の時間だ!それも鎧を脱いで、ふつーの服だけで出歩けるのだ!ポシェットの中には拓証と財布、それから録石片くらいしか入ってない。

 一応護身用のダガーを腰に帯びてはいるけど、これを除けばどう見ても一般市民だ。拓証持ちは武器の携帯もある程度は許可されてるから、見つかっても怒られない。


 こんな軽装で出かけられるのは久々かもしれない。レニーが荷物番をしてくれなければ、今日も着込むところだった。

 ダールを出て以来になるのかな?もう3ヶ月くらいぶりだ。テンション上がるぜ!Foo!革鎧よりもずっと早い!


 お日様はまだまだ上ってく最中だけど、もう結構暖かい。普段はクエストの都合上この時間には町に居ないから、新鮮な気分だ。


 この町は広い。

 私達の泊まっている宿は南の方にある通称宿場区ではなく、西の方の酒場の多い辺りにある。冒険者ギルドが近いから、冒険者にはこっちの方が人気らしい。冒険者区なんて呼ばれる事もあるとかなんとか。

 実をいうと私はほとんどここから出たことがない。起き抜けの買い出しはだいたいレニーがやってたし、スクロールも滅多に使わないからついでに買ってきて貰ってた。

 だから、ほとんどこの町を知らないのだ。だから、ほとんどが聞いただけの情報なのだ。

 百聞は一見に如かずとも言うし、今日は町の探索回!ダーマの事は手帳に詳しく書けなかったけど、ダーロの事は詳しく書けるようにしよう。


 ただ、外に出る前にちょっと困った。いつもは鎧の下に着けてる服が3着くらいあるんだけど、逆に言うとこれしかない。ぶっちゃけダサいし、ちょっと寒い。

 だからまずは、服屋さん。ちょっとくらいお洒落しても良いじゃない?



◆◇◆◇◆◇◆



 うちの宿は商店区と酒場区の間、西門に続く大通りが1番近い。商店区の西の方は職人街って呼ばれてて、東の方は商店街って呼ばれてる。

 最初にここに来るならティナと一緒に出ても良かったかも、なんて。南の方の城壁付近は通れたはずなので、そっちの道を選ぶ。大通りを通るのは、この格好だとなんか恥ずかしいのだ。


 城壁のせいか、立ち並ぶ建物のせいか、続く道はちょっと暗い。この城壁の向こう側はスラムになってるとも聞いた。壁を隔てているにも関わらず、ちょっと陰気な気がするのはそのせいかな?単に日当たり悪いだけかもだけど。


 まあ、と歩を進める。鎧が無いとはいえダガーも魔術もある。多分大丈夫だ。それにこんなちんちくりん、ロリコンでもなければ攫ったりしないだろ。顔にはちょっと自信はあるが、背も低いし、胸もない。……考えないことにしよう。

 こうして歩いてみて思う。町の中に壁が何枚もあるのは面倒じゃないのかなと。もちろん何箇所か通り抜け出来るようにはなってるけど、それでも面倒臭いし、迷子になりそうな気がしてくる。ダールは1枚だけだったから大丈夫だったんだけど、ダーロの壁は複雑だ。

 なんでも町が広がるにつれて増やしたとかで、今も北東の貴族区の先は増設中らしい。戦中に作ったところで、間に合うんだろうか?


 陰気な道を抜けてみれば、左手側には商店が、右手側には飲食店が多く並ぶ人気の多い大通りへ。やっぱりブサイクだぞこの格好。1回気になると、自分よりも綺麗な格好してる人が目に入ってきやすいのは人間の性なんだろうか。

 というか、結局大通りに出るんなら最初からそっち使えば良かった気もする。ま、まあ?こっちの方が多分近道だし?……帰りは広場を通る大通りを使おう。


 さすが首都というべきか、ダールとは比べ物にならないだけの人が居る。ここが東京なら、あっちは……あれ、日本の地名がぱっと浮かばない。後で覚え直さないと。


 道なり数件ウィンドウショッピングをしてみる。文字が少ない文化だけど、値札は存在してる。ぼったくられるのは怖いから、なんとなく相場を叩き込むのだ。

 服に関してもやっぱりダールより安いみたいだ。需要と供給、供給が多い分値下がりするのかな?経済を学んでおけばもうちょっと考察できたのに。

 ダールとの1番の違いは、広場に近づくにつれて増える高級ブティックとでも呼べばいいのか、そんな感じの高そうなお店が増えてくる。

 服は欲しいけど、そんなに高級なものは要らないし、っていうか買えないし、もったいないし、あんまり自分を着飾るのは得意じゃないし……うん、お金があれば話は違ったのかもしれない。

 こっちでの生活にはだいぶ慣れた。もう15歳だ。前世とこっちでは1年や1日の時間がちょっと違うけど、それでも15年とちょっとになる。さすがにもうスカートを履いて人前に出るのが恥ずかしいなんて感覚はない。


 なんて考えていたら、靴屋が目に入った。オシャレは足元からなんてのはこっちでも聞く。

 私達冒険者の靴はしょぼい。しょぼいのだ。いや、実用性的な意味でいうとめちゃくちゃ優秀なのだが、少なくとも見た目はしょぼいのだ。

 考えても見て欲しい。日に数十キロも歩くこともあるし、そこが舗装された道とは限らない。泥濘んだ道や草木生い茂る獣道なんかもしょっちゅうの事。しかも足を守る防具としての役割もある。この前なんて蟻を大量に踏み潰した。

 それじゃ当然、オシャレとは言えない実用的なガッチガチのブーツが選ばれてしまうわけで。丈夫で歩きやすく動きやすい、と機能的には文句なしではあるんだけども、町中で履くような靴ではない。

 うん、まずは靴だ。それにこの靴、ちょっと重いんだよね。たまには軽いのも履こう。



◆◇◆◇◆◇◆



 本日初の買い物は特に何事もなく成功せり。なんつって。


 ふらっと立ち寄った靴屋には既製品が多く並んでいた。店内はやや古く、不思議と懐かしさを覚えるような革の匂いのする、初老の女性が1人、若い男性が1人のお店だ。

 オーダーメイドも行なっているらしいが「すぐに履き替えたい」「町を歩きたい」「あんまり高すぎない奴」と伝えたら手頃な靴を見繕ってくれた。

 普通の革靴であり、あまり凝られたデザインではないと思う、というか前世で似たようなものを学生時代によく見たし、なんなら履いていた。スリッポンな革靴、つまりローファーだ。

 色は茶色というにはやや明るすぎるような、なんていうんだろう。赤レンガに日を当てたような、なんて表現をしてみたり。私に文才があればもっと色々考えついたのかもしれない。

 まあともかく、今までの靴よりはずっと軽いし、履き心地も良い。よくもまあふらっと現れた客にピッタリの靴を選べるもんだと思う。こういうのも職人技って言うんだろうか。

 ついでに大きめの袋も付けてくれた。履いていた靴はこっちに入れ、買い物早々大きい荷物となった。順番間違えたかな……?


 次に立ち寄ったのは本命の服飾店。市中を行く女性のほとんどがスカートなのに対して私はズボンなのだ。これではちょっと恥ずかしい。

 もちろんズボンの人も居ることには居るが、それは農民だったり、狩人だったり、冒険者だったり……つまり町をゆく人の格好ではない、と思う。

 せっかく歩くのだから、どうせなら服装も変えてしまいたい。ここで買ったものが仕事上必要であるかと言われれば絶対に不要だが、気分転換くらいならいいよね?元々あんまりお金使わないほうだし。

 荷物になってしまうから早めに処分するかもだけど、都合よく古着屋なんてのも見かけた。長く使わないかもしれないなら、ここで買うのが丁度いいかも。



◆◇◆◇◆◇◆



「いらっしゃいませ」


 店に入るなり声を掛けられた。おいおい、前世でもこういう店員苦手だったんだよ、なんて心の中で愚痴ってみたが、その後は特に声をかけられる事もない。ちょっとだけ安心。

 選んだ店はそこそこに賑わっているようだ。先客が数人居て、ちょっと選びにくい。


 歩く内に気付いたのだけど、この町では青と赤、それも原色に近いようなはっきりした服を着ている人が多い。

 ダールのときはここまで強い色でなく、もうちょっとくすんだものが多かったし、ぶっちゃけていえば印象に残らないような、ぱっとしないような、そんな服が多かった。

 でもこの町は、この店は違う。色が強いのだ。こう、目を刺してくるような、そんな原色が多い。ちなみに黄色は見かけない。あんまり好まれないらしい。


 歩きながら観察した感じ、どうやら青は定番の色、赤は若い人向けの差し色……な気がする。まだあまり町を歩いたわけじゃないし、なんとなくそんな感じがするだけだ。

 あんまり年のいった人で赤を着けてる人が珍しいというだけだけれど、多分そういうことなんだと思う。

 私もそれに倣うことにする。つまり青と赤だ。なんでこの色なのかはよく分からないけど、とりあえず溶け込むには良さそうなのだ。


 男性は基本的にはズボンにチュニック。袖を短くしてシャツを見せている人も居るし、ズボンの太さや長さもまちまち。スカートの人もたまに見るが、こっちの世界では普通のことだ。もう慣れた。ローブを着ていたり、コートを羽織っていたり、中には短いマントを着けていたり……アウターが1番個性的かも。

 女性はズボンは履かず、代わりにチュニックが長く、腰の辺りはキツくなっている。ええと……ゲームの中なんかでは見たことあるけど、前世での言葉は分からないな。カートルという奴だ。私もよく着てた。

 カートルで出歩く人が多いが、別にこれしかないわけでもなく、女性も男性と同じくらいに自由に色々な服を着ている。単に安いから結構な人数が居るだけだ。

 時たまメイド服や燕尾服の人も居る。こっちの世界でもメイドや執事のイメージは大体一緒だ。ちょっと違うのは、彼らの中には優れた魔術師が混ざっているってこと。後はセバスチャンなんて人が居ないってこと。そもそも名前尻にチャンなんてダニヴェスっぽくない。……いつか仲良くなれたらあだ名にしてやろっと。

 時たまなんて言ったけど実はまだ3回しか見れてない。多分レアキャラだ、レアモブだ。なら私はなんだろう。レアですらないモブか。そうか?そうか。

 それから獣っぽい人も見る。獣人って種族だ。ダールでは滅多に見かけなかったけど、首都ともなればたまに程度に引き上がる。少なくとも、メイドよりはずっと多い。


 考えを戻そう。今は正面にあるこの青のカートルを買うかどうかが問題だ。値段は小銀貨3。靴が小銀貨2だった事を考えると結構な値段、なのかな?

 ダールに居るとき、私の服は大体サンが買ってきてくれていた。当然ついていく事もあったけど、値段はどうだったかな……サンはいつも値切ってた記憶があるし、よく覚えてない。あれ、もしかして靴も実は高かったり?

 えっと、確か中銅貨が100円くらいだから……いや、あんまり意味無いなこれ。そもそも物価のバランスが前世とは全然違うんだし。うん。意味無い。

 うーん、どうなんだろう。他の服より小さめだから!ってケチ付けたら安くなる?……めんどくさ。そういう交渉とか、専門外だわ。

 でも他にいいのがないんだよね。背も低いし。もうちょっと伸びればそこの小銀貨2大銅貨8のが買えるってのに、なんでこっちは8枚高いんだ。明らかに新しいからかこれ!

 途中で見かけた新品のカートルはだいたい小銀貨4枚くらいだったし、安くはあるんだよね。ただ横の、この緑のがめちゃくちゃ安いだけなのかもしれない。


 ちなみに私が着れそうな奴は少数派だ。背が低いから仕方ない。小銀貨1枚大銅貨12枚のもあったけど、結構傷んでるよう。だかれこれは論外。茶色の生地だと思うんだけど、洗いすぎて薄くなってるし。

 赤のカートルも1つだけあった。あったんだけど、全身赤はちょっと目立ちそうだ。それに、値段も高い。なんだ小銀貨5枚って、下手な新品より高いぞこれ!もしかして赤の染料は貴重とかそういう系なの?でも刺繍は結構可愛い。

 青は他に見当たらないけど、緑はめちゃくちゃある。思い返せば結構歩いてた気がするので、もしかしたら一周前の流行色とかそんな感じなのかもしれない。


「そちらになさいますか?」

「あ、はい」


 ぐるぐる悩んでいたら店員に声を掛けられた。結構長い間見てたのかもしれない。

 しかも条件反射的に答えてしまった。これはいけない、完全にコミュ障の受け答えだ。

 ……まいっか。悩んでるだけ時間がもったいないかもしれないし。


「着替える場所とか借りられたりします……?」

「こちらでよろしければ」


 試着室的なのは見当たらないけど、とりあえずで声を掛けてみたら大丈夫だったらしい。

 聞いてみれば、こういう客は他にも居るらしく、2階の自室を改造した更衣室的な部屋に通すらしい。防犯とか大丈夫なんだろうか、と疑問が浮かぶがこっちは口にしなかった。だって初対面だし。


 とにもかくにもこれで一式揃った。

 このカートル、前世の記憶の奴よりは裾が短いんだよね。膝丈と言うべきなのか。つまり、靴を買っておいて正解だった。エプロンドレスに軍靴よりは、ローファーの方が遥かに良い。

 袖は肘よりちょっと上、四分丈っていうんだっけ?家事なんかで腕まくりする時にギリギリ邪魔にならない長さだ。そういう層向けの商品だったのかも。

 正面はコルセットのように紐が通ってはいるが、あれほど強いわけではなく、単に脱ぎ着しやすくするためのものらしい。一応キツめに締めてみたがペチャパイはペチャパイだった。なんでや。

 下着と中着は……ま、このままでいっか。下着はそろそろ買い替えたいけど、さすがに古着屋では買いたくないし、扱ってるのかも知らないし。ていうか一旦荷物を宿に置きに行っても良い気がする。

 残金は小銀貨4枚と少し。一応それ以上にも財布には入ってるけど、今日の私の分はこれだけ。


 鏡に映った自分を確認。うん、悪くない。少なくとも似合ってないことはなさそうだ。こうしてみると、単なる町娘と言われても信じられそうだ。

 問題はダガーだ。これどうやって仕舞おう。ポケットとかもついてないし。……スカートの部分の切れ目から入れる?もし出すってなったら端なくない?うーん、どうしよう。

 ポシェットの中に入れちゃうのも手だけど、咄嗟の時に遅れそうなのがなんか嫌だ。……ここらへん、冒険者脳かも?町中でこんなの使う場面なんて滅多に無いはずだよね?うーん、でも少し不安だ。

 このダガー、刃渡りだけでも私の肘から手首くらいまでと、結構な大きさがあるんだよね。うーん。これはあれか。ガーターベルト的なのに付けてセクシー路線か!?


 結局ポシェットにしまった。

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