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二話 家族の夜

2/25 とっても細かい修正(!?→!?)

 ――やっぱロリコンなのかなー?」


 夕食時、ロニーとサンに今日あった事を伝える。勿論件の男はカクカである。


「ユタもモテてたし、アンも可愛いからねぇ。そういうのは気をつけないといけないよ」


 父親は娘の貞操に対しうるさいイメージがあったが、ロニーはそうでもないらしい。いや、いつもより血色がよろしいような……?いや、きっと気の所為だろう。あんまり怒ったりするタイプじゃないし。つーか兄よ、お前モテてたのか。


 今日の夕飯も塩っぱいシチューに固いパン。前世の基準じゃかなり不味いんだろうけど、もはや慣れを通り越して美味しく感じる。時代背景を考えれば……と思ったけど、この国では別に塩は貴重品でもなんでもない。内陸部のダールでこれなんだから、多分この世界じゃ塩は貴重品じゃないんだろう。

 飲み物は……前世で言うならシードル(林檎酒)ワイン(葡萄酒)を足して二で割ったような、少し甘めのアルコールである。

 未成年のくせに飲酒だと!?なんて言うやつは居ないし、何ならもっと幼いころから飲んでたりする。あんまりアルコール度数も高くないしね。

 夕食で、どころか水を飲む事はあんまりしなかったりする。朝は果物で風味付けされた水を飲む事もあるが、外出時はもっぱらジュースばかりだ。そして、夜は酒。

 ただ、冒険者は飲水する機会が多いらしい。だから卑しい奴らと思われる。私は水、結構好きなんだけどな。なんなら魔術を使えば苦味も取れるし、専用の魔道具もあるらしい。


 っと考えが逸れたな。今は夕食、家族団欒だ――ユタは居ないけど。


「さ、食べ終わったなら早めに寝た方がいい。明日は初仕事だろう?」

「うん、そだね。そうする。おやすみー」


 確かにロニーの言うとおりだ。今日はもう体も洗ったし食器を片付け自室へ直行。ドイ・レズド・ズビオ(雷よ、流れ集まれ)と唱え、左手に光を灯す。昔ユタに「ドイ()で灯りって作れないの?」と聞いたら1時間くらいで作ってくれた魔術だ。懐かしいな。

 魔道具としての灯りやランプ、その他も色々あるが……。

 魔道具では魔石を使うか持ち続けなければならないし、ランプは給油が面倒だ。蝋燭に至っては非常に高価で、とてもじゃないが庶民が日常で使える照明器具ではない。

 因みに、似たような魔術は非常に多いが、個人的にはリチよりドイを使ったものの方が好きだ。だから私はこの魔術をよく使う。魔力消費も3術と訓練がてらちょうど良かったりする。光としてはちょっとやんちゃだけどね。


 寝具に座り、明日の装備を確認する。今まで使っていた大きめのポシェットの中には、ポーションと呼ばれる塗り薬や飲み薬、舐める事で魔力を回復できたりと色々便利な魔石粉(魔石を削ったもの)。手拭い2枚にポーチ2つ。うん、問題なし。

 まぁ初日に遠出するような事も無いだろうし、出来ればポーターがいいし。鼠やらを殺す事には慣れたし心臓を砕くのにも慣れたが、亜人種となればまた印象も変わりそう。前世でもゴキブリは殺せても犬猫は殺せなかっただろうし。

 あんまり考えてても仕方ないな。明日にならなきゃ分からないことが多いし。


 私は魔力供給をギリギリまで落とし、豆電球程度にまで落とし込んだ"それ"を宙に放る。最近始めた1つの訓練だ。その光は手から30cm程度の距離をまで行くと、不安げに揺らいだ後消える。

 慣れれば武器や服からでも魔術を放てるのだ。その応用で空間に魔術を伝わせると言うものだが……中々安定しないものだ。

 それに、距離が離れれば離れるほど疲れる。今日はもう寝よう……。



◆◇◆◇◆◇◆



 カラン。コップに入れた氷が溶け、音を鳴らす。夜は更け、酒の入った2人は語り合う。


「2人共冒険者、か……。僕は勧めなかったんだけどなぁ」


 ぼやくロニリウス。塩茹でされた野菜を摘みつつ、サニリアに話しかける。


「私達の子供だし、仕方ないっちゃ仕方ないのかもね。みんな手が届かなくなっちゃう」


 曖昧に返事するサン。人差し指、中指、そして薬指を立てるとおもむろに人差し指を左手で包み込む。そんなサンの手を、ロニーは朧気な目で見つめ、ただ一口酒を飲む。何かを呑み込むサンの表情に、しかし声は掛けられない。

 しんと静まる中、2人の嚥下音だけが木霊する。それはどちらともなく相手の発言を待っているようだ。空気に耐えられなかったのか、或いはただ言葉が見つかったのか。


「2人はまだ生きているんだ。カニスとは違う。その事を喜ぶべきだろう?」

「……忘れろって言うの?」

「そういう意味じゃ……」


 語気を荒げるサンに対し、言葉に詰まるロニー。その表情は暗く、見る人によっては恐怖を抱くような、深い闇だ。だがサンは、サンだけはロニーを理解している。その自負がある。理解しているからこそ、ため息を1つ吐く。


「はぁ。子供、また作る?」

「はは、雑だなぁ。僕はそういう表現、好きじゃないんだけど」

「良いじゃない。減ったら補給する。ランプと同じよ」

「うーん……まぁ、そうだね、確かに寂しくなるし、子供に覗かれる事も無い」


 微かに笑うロニー、つられて笑うサン。晩酌を終え、寝室に赴く2人はきっと今日、熱い夜を過ごすのだろう。

カニスは再利用されました。

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