十四話 外の世界
翌日。私は今ダール北門に居る。正直外に行くの怖い。こんな良い天気の日はお昼寝するに限るんだが……?
「ホントに行くのー?外怖いよー?」
「街道からは離れないから大丈夫よ。それに私も付いてるからね」
「でも……」
「別に魔物とかが出る場所まで行くわけじゃないし。魔術練習で結構な人が使ってるから問題ないよ?」
「うーん……」
この文明レベルで街道とかあるのか。いや、思ってたより魔術的な発展してる世界だってのは分かったけどちょっと意外だった。つーか魔物とか出るようなところじゃないなら大丈夫か……?私は押しに弱いのである。
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危険だ、とかそういう不安は本当に要らなかったらしい。門を超えた先は家と畑でいっぱいだった。そりゃそうか。城壁の内側だけで生活出来るほど、広いわけでもないし。とは言え2年前の傷跡はまだぽつぽつと見受けられるなぁ。
某巨人漫画みたいな感じの多重構造って、あれコスト的にどうなの?元から城壁あったところに移住したのかな?それとも拡張していったけど4枚目を立てる前に襲われたとかなのかな?まあいいや。
「なんか、普通だね」
「でしょ?外にだって人は住んでるのよ。さ、ここから30分くらい歩くよー」
「えー辛い。おんぶして」
「はいはい」
いつまでも、あると思うな、親と金、なんて言うからな。今のうちに甘えておこう。前世じゃ母にはあんまり甘えられなかったし。
そんな事を考えつつ、雑談を交わしつつ、道を歩いて行く。気付いたら石畳の道から土の道に変わっていた。いつ変わったんだろう?街の外に出てからも暫くは舗装されていたような。
眠くなってきたな……。ついたら、起こしてもらおう……。
「ここらへんでいいかなー?」
お昼寝する事は叶わなかった。辺り一帯は草原……いや、ところどころ地面が禿げてるな。なんだこれ。
「なんでここらへん禿げてるの?」
「ここらへんは魔術の練習場によく使われるからねー。火系の魔術かそこらを使ったからじゃないかな」
「なるほどー」
確かによく見れば地面も焦げてるな。しかしこの世界の奴らは戦闘民族か何かなのか……?
日常生活を送る分にはこんな危険なレベルの魔術要らないと思うんだけどなぁ。
いや、前世とは違って街の外に出れば危険が足を生やしてる感じの世界っぽいし、護身術としてある程度は使えるもんなのかね?魔人は魔術に長けてるって言うし、前世で空手や合気道習う感覚なんだろうかね。
「さ、街の中と違って加減しなくていいからね。もしかすると3術まで使えるようになっちゃうかも?」
「むー……魔言増やすのすっごい難しいんだよね……頑張る!」
術数を増やすと魔力消費量が一気に増える。が、頑張って増やしたかいもあり、同年齢に比べたら格段に多いので全く問題はない。むしろ問題なのは制御面だ。魔力の制御と言うのがどうにも苦手だ。
ユタにもセレンにも色々聞いたけどさっぱり上達しない。流れも見えるし模倣したりは出来るんだがな……なんかコツはないかね。
◆◇◆◇◆◇◆
サンが夕飯の支度をしている。ロニーは衛兵に戦闘技術を教えに行っている。本人曰くリハビリの一環だそうで、前に見に行った時は一対十六で戦っていた。うちのお父様マジ強かった。
じゃあ私は何をしているかって?ベッドで仰向けになっている……かな。
いや、外で魔力を使いすぎた。魔術の規模を小さくなるように制御する必要がなかったので、なんとなく、開放感のようなものに包まれてしまってだな……やりすぎて魔力がすっからかんになってしまったのだ。
やはり私も魔人らしく、無意識のうちに体を筋力だけではなく魔力も使って動かしていた。つまり魔力が切れると言うことはだな……インフルに掛かって体を動かしたくないみたいな……なんというか、そんな感じ。めっちゃダルイし体が重いしどうしようもない。サンにおぶって貰って帰ったけど、道中の記憶もなんか曖昧だ。特に喋るのが辛い。
というわけで、私は今ベッドでぼーっとしている。魔力の急速回復と言うのも出来るには出来るのだが、サンは魔力あんまり使えないし、ロニーは家に居ないしで、別に病気とかでもないから寝てれば治るでしょ!みたいな扱いされた。解せぬ。
しかし、こう、暇だとユタの事を考えてしまうな。もしかしてブラコンだったのか?もしかしなくてもブラコンだと思う。田中よ。貴様もそう思うか。そうかそうか。
……ぬいぐるみ遊びなんて、前世じゃした記憶が無いな。ここらへんは体に引っ張られて趣味が変わったって思って良いんだろうか。いや、前世でも結構可愛い物とか好きだったしな。それの延長線上にあるんだろう多分。フィギュアとか並べてたし。某巨大ロボットのプラモデルも棚一面に並べてたしな。水泳部かわいいよ水泳部。
……そういえば、剣術とかはロニーに聞いたら教えてくれるんだろうか。最近あんまり時間被らないけど。
というか、ロニーに避けられてるような気もする。今度直接聞いてみるか。さすがに今日は急すぎるから、もうちょっと考えをまとめてからだな。
今日初めて外に出たが、思った通りの風景で良かった。あれこそ男心くすぐる世界って感じだ。今は女心なのかもしれんが。……自分で言っててアレだけど、なんだか慣れてきたのもあるけど、やっぱりたまに違和感があるな。私は男なのか女なのか。誰か教えてくれないかな。




