新米死神!です子ちゃん( ˘•ω•˘ ).d
顔文字を多用しております。
縦読みされる場合、意味不明の部分は顔文字ですので気にせずスル―してください。
作中に登場する地名は実在のいかなる物とも関わりのないフィクションです。
はっろーー!(ゝω・)vキャピ
あちきの名前は、です子ちゃん。
新米の死神さんなのデスv
今日もお仕事頑張るのだ。
だってあちきは、落ちこぼれなの。
死国の壊悲女にある、
死神養成がっこで歴代最下位の
成績なのデス(( ゜Д゜)
さてさて、今日の得物は……
おっとktkr
かなりの上物だね。
いいねいいね!
あちきってさあ
あんまりにも成績が悪くて
特別課題を出されてるんだよね。
それはなんと! パッパカパーン
自殺者の魂を100個ゲットー!
パフパフどんどんO(≧▽≦)O♪
がっこのこーちょーさんが
あちきの為に特別に考えた
カルキュリム……ん?
カリキュラム! うん。
とにかくソレの為に人間界で
頑張ってるのデスv
今日もまた一人
人生を諦めちゃった人に
ついて行くのだ。
どうやらこの人
車の中で練炭を使うみたいだね。
郊外の山の方に向かってる。
一緒に車に乗ってるんだけど
あちきの事は見えないから
問題ないのだv
なんか凄く辛そうな顔(´Д`) =3
あーあ、ちょっと泣いちゃってるね
30代の男性ですごく綺麗な魂だよ
純粋な人は生きる事が辛いのかな?
しばらく車でドライブ
イェィ(ゝω・)v
いつの間にか目的地に着いたみたい
人気のない絶好の自殺ポイントだね
この人、事前の準備は万端みたい
車の内側からガムテを使って
目張りしてるよ。
睡眠導入剤も使うみたいだね
後は七輪に入れた練炭に
火をつけて寝るだけだね。
あちきもやっと目標達成だよ!
v(≧∇≦)v イェェ~イ♪
このおじさんでちょうど
100個目の魂だね。
正直、ぎりぎりだったんで
かなり焦ってたのデスv
今日の日付が変わるまでに
100個達成できなかったら
あちきは消される運命だったの
ャバィ...(´д゜`ll)
でもなんとか間に合いそうだよ。
おっと、そろそろだね。
おじさんの魂が体から出てきたよ。
完全に抜けた瞬間に捕まえて
死国に持って行けば
あちきも消されずにすむねv
ヨカァ━。:゜*.ヽ((*゜∇゜*))ノ.*゜:。━ッタ!!
人気のない山間部の道路脇に一台の乗用車が止まっていた。
その中では、今まさに自殺を謀った男性の魂が体を離れて、死神に連れ去られるところであった。
「うわあぁぁ! な、なんだお前はっ!?」
「ん? あちき? あちきは死神のです子ちゃんだよ」
狭い車内に、小振りな鎌を持ち、黒いローブを被った骸骨がいる事に気付いて、男の魂は驚きの声をあげた。
しかし驚くと同時に面食らってもいた。
死神然とした恐ろしい見た目とはうらはらに、妙にゆるい調子の返事が女の子の声だったからだ。
「ひょっとして俺はもう死んでいるのか?」
もともと死ぬつもりなのだから死神がいても怖くはない。そう考えた男は幽体離脱した状態で自分の体を見下ろしながら疑問を口にした。
「まだ死んでないよ~。ほらここ、魂の根っこが体と繋がってるでしょ?」
です子と名乗った死神が骨だけの指で差すところを男も確認した。
シートに仰向けに寝ている男の下腹部に、抜け出した魂の尾の部分が繋がったままになっている。
「そこが繋がっている間は死んだ事にはならないのデス」
「おまえは俺の魂を奪いにきたのか?」
「奪うってひどくな~い? です子は自殺者の魂を集めて、死国に導く頑張り屋さんなんだよお?」
「どっちにしろ地獄のような所に連れて行く気だろ?」
「そうだよ~。だって自殺という所業は業が深いからね。すぐに輪廻の輪に乗せることはできないのデス」
男の魂はそれを聞いて嫌そうな表情になった。やっぱりそうなるよなーなどと呟いている。
「です子は今日のこの時を長い事待っていたのデス。さっさと体から離れてください」
死神は鎌を放っぽり出して、骨だけの手で男の魂の尾を掴み引っ張った。
「お、おい! む、無理に引っ張る事ないだろ? 第一、それじゃあ自殺にならない」
「んー、確かにそうデスね。じゃー待ってるから早く未練を断ってください」
そう言った死神は鎌を拾ってから男の魂から距離をとった。
少しほっとした表情の男は死神に向き直り、改めて観察してみた。
ふわふわと空中を漂う感じの真っ黒なローブを、頭骸骨からすっぽり被っている。フードからのぞく眼窩は恐怖心をかきたてるような闇色だ。体は見えないが手足は骸骨そのもので、園芸店に売っていそうな小さい鎌を持っている。
しかし冷静に観察すると、この骨格はまだ小学生くらいの大きさしかない事に気付く。加えて先ほどからのしゃべり方には威厳のようなものは皆無であった。
「です子ちゃんだっけ? 君は子供の死神なの?」
「失礼なおじさんデス! です子は新米だけど立派な死神なのデス」
「じゃー他の死神も君みたいに小さいのかい?」
「小さい! あちきが一番気にしている事を。もう怒ったのデス、えーい!」
鎌を持っていない方の骸骨の手から放たれた渾身のパンチが、男の魂に当たって「ぽふっ」という音をたてた。
「ごめんごめん。悪気はなかったんだ。それに、小さい方がかわいいだろ?」
「うっわー。です子ドン引きデス。完全にロリコンさんです。本当にありがとうございました」
「ちがっ、ロリコンとか関係ないよ。俺にも小学生の娘がいるんだから」
「えっ!」
男の告白にです子が固まった。
そしてすぐに怒気をはらんだ罵声をあげる。
「おじさんバカなんデスか!? 娘さんを残して死のうとするなんて考えられない!」
「いや、妻が死んでから全ての事にやる気を失って……。俺が死んだ方が娘も幸せになれると思うんだ。多額の負債も保険金が出れば返済できるし」
「なにバカな事言ってるんですか! 両親のいない子供がどんなに寂しい思いをするか想像できないんですか?」
「――そんな事は分かってる……。俺だって辛いさ! 死神に人間の気持ちが分かってたまるかっ!」
その言葉を聞いたです子から異様なオーラが漏れ始めた。それはまさに死神にふさわしい禍々しいものだった。
「おじさんのような身勝手な人の気持ちは分かりません。でも、両親のいない子供の気持ちは痛いほど知っています。だから……この自殺は絶対に認められない!」
です子から洩れ出たオーラはどんどん濃くなってゆき、車内では男の魂が恐怖に震えていた。
死のうとしていた気持ちなど吹き飛んでしまい、終いには「助けてくれー」と叫びだす始末であった。
とうとう負のオーラが臨界点に達した瞬間、車の全ての窓が吹き飛んだ。
と同時に車内に充満していた一酸化炭素は新鮮な空気に一掃され、です子のオーラも跡形なく消え去った。
「おじさんは娘さんが成人するまで自殺禁止デス! もしやろうとしたらさっきの恐怖をもう一度味わってもらいます!」
骨だけの指を男に突きつけ、厳しい口調で命令するです子に、男の魂は一言さえ発する事もできず、ただ首を何度も縦に振るのみだった。
すぐに男の魂は体に戻っていき、しばらくすると静まり返った山の中で男の寝息だけが聞こえてきた。
(あーあ。もうすぐ0時なのデス。あちきって死神失格ですね……)
です子の体は0時を待たずに徐々に闇に溶けて行き、後に残されたのは窓ガラスの割れた車と寝息をたてる男だけになった。
死国、壊悲女にある死神養成学校の校長室で2体の骸骨が対峙している。
どちらもスーツに身を包んだ骸骨で、2mはありそうな大きな骸骨はゆったりと椅子に座りながら机の上にある100個の魂を見ていた。傍らには巨大な鎌、デスサイズが立て掛けられている。
もう一体の骸骨は170cm位の大きさで机の前に立って同じく100個の魂を見ている。
「それで、です子君は期限までに契約を果たしたと教頭は考えているんだね?」
椅子に腰かけた大きな骸骨が机の前に立っている骸骨に問いかけた。
「はい校長。前例はありませんが契約は履行されたものとして処理しました」
立ったままの骸骨は教頭で座ったままの骸骨は校長であるらしい。
「しかし教頭、最後の一個に自分の魂を当ててしまっては、本人も消えてしまい意味がないではないか。しかも自殺するはずだった人間を助けて代わりに自分の魂を提出するなど、前代未聞の事件だよ」
「おっしゃる通りです。すでに死神名簿からもです子の名前は消えております」
「困った事になったな」
「はい」
机の上に積まれた100個の魂を見つめる2体の死神は、骸骨ゆえに表情こそ掴めないが、何故か優しい雰囲気を漂わせている。
「ふむ、しかたあるまい。あまり気は進まんが奴に相談するとしよう」
「おぉ、あのお方ならきっと良い判断をなされるでしょう」
校長の骸骨が椅子から立ち上がり、デスサイズを手に取った。
「では教頭、私はしばらく天上界に行ってくる。留守は頼んだよ」
「おまかせください」
机の上に積み上げられた100個の魂はどれも白い色をしているが、一番上に置かれたそれだけは美しい闇色をしていた。
校長はその黒い魂を取り上げて懐にしまい死国を後にした。
49日後
はっろーー!(ゝω・)vキャピ
あちきの名前は、です子ちゃん。
新米の天使さんなのデスv
いろいろご批判があるようでしたら感想欄にお願いします。
書き溜めが尽きましたので一旦完結します。