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16 一足お先に失礼します

 ――俺達の戦いは、始まったばかりだ!

 と、意気込んだ俺の戦いは3回目にして終わりを迎えた。


 六芒星が描かれた石の床に立つ俺。

 さしあたっては、場所の確認だろうから、いつもの宙に浮かぶ四角い画面を操作して地図を見る。


 ウーゴの街で点滅する点があるので、俺はウーゴの教会に教会送りになったようだ。

 教会送りも近くに、聖なるほこらがあればそっちを優先されたりするので、この送られた先の確認は必須事項である。


「頑張って戦っていますか。こちらはウーゴの教会です。落ち着いたら返事下さい。送信、と」


 言いながら、俺は画面に言葉通りの文面を作成しそれを送る。


 俺はパーティメールと呼んでいるが、パーティを組んでいるとコンソールを通じて仲間へ文章を送れる。

 ケイタイや無線のような音声を送れるアイテムはあるが、所持していないので俺達の連絡手段はこれになる。


 んで、こっちの場所を伝えれば、後はひたすら仲間の迎えを待つだけ。

 パーティを組んでいる以上、教会からは出られない。

 お構いなしに外へ出ても、強制的にまた中へ送り戻される。

 パーティを解散すればそうなることもないのだが、パーティの契約は直接取り交わさないといけないので、またユア達を探さなくてはならなくなる。


 さらりと見回す。

 無駄ではないが、教会はやけに広い。

 恐らく教会送りになった人がすし詰めにならないようにだろうが、俺以外には参拝者っぽい老夫婦と、俺と同じ冒険者らしき二人組み……カップルだろうな、

なんかイチャイチャしてる男女しかいない。

 

「一日とちょっとは、待たないといけないからなあ。そういや、特殊能力で部屋から出られない女の子のヤツ続きどうなったんだろ……」


 こういう時こそ、マンガがあればなあ、と思いながら部屋の片隅にある長椅子に座る。

 トイレや簡易保存食も備える教会なので、数日くらいは余裕で引き込もれる環境にあるが、いかんせん娯楽がない。

 賢いと言うか、教会送りに慣れたパーティだと、メールで転移先を伝えた後に予め待ち合わせ場所なり、宿を指定するなりしてパーティを解散する者いる。


「俺もそうしようかな……」


 チクタクチクタク。

 おじいさんの時計かどうかはさて置き、長い針が上から下を向く頃になって、俺の元へパーティメールが届く。



【送信地:26548.365】


 イッサがいなくてもドラゴン倒せたよ。


 さて、今回のドロップ、輝く石と竜の卵どっちだと思う?



「ほんと、一言多いつーの……合わせて、輝く卵だと思います、と」



【送信地:26548.365】


 10点。君にはシツボウしたよ (´д`)


 センスないね。


 正解は輝く石でした。



「あいつどうやって顔文字作ったんだよ……」


 それと採点はともかく、

 輝く石でしたか。

 うほっ、マジか。

 三回で目標の2個が手にできた。

 上々の結果に顔がにんまりする。

 浮かれ気分を勢いに、俺は一時パーティを解散できないか、教会が暇なのでうんぬんの内容でメールした。



【送信地:26548.364】


 なんか、ムカつくからダメ。


 (`ε´)ぶーぶー


 勝手に抜けたら、もう仲間に入れてやんない。




 不明瞭な理由で却下された俺は――、



【発信地:20558.001】


 ウーゴの教会にてお待ちしています。


 道中お気をつけて。



 そう送って、俺が名ばかりのパーティリーダーであることを再認識した。

 イチャイチャするカップルを見ながらに、退屈な時間が流れてゆく。


「誰かスマホ作ってくんねーかな」






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