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10 そして、宝石ドラゴンについての事前説明会へ――①


 ユアが念を押すようにまた聞き返していた。


「ほんとにほんと?」


「はい、間違いありません。図鑑には載っていませんが、高レベル者から狙われます。ですからユアが直接攻撃される可能性は極めて低いです」


 カレンの説明には、ジュエルドラゴンは高レベル者を優先的にその攻撃対象とするとあった。

 

「アナライズや図鑑など、この世界には文字や画像として情報を得られる機能がありますが、実際に経験しないと分かり得ない事も多くあります。その一つがこのジュエルドラゴンの習性ですね」


「ほっんんんんと、カレンってば、どこかのレベル99と違うよね。ウチ今、カレンに薄っすら感動してるからね」


「お前、言わなくてもいい一言をわざわざ言うなよな。こっちは毎回、地味にヘコんでんだぞ」


 口元を抑え笑うカレン。

 そうしてから、彼女は言う。


「そういう訳なので、前衛の私とイッサが倒れない限り、ユア、そしてこの討伐の要になる回復役のノブエさんが戦闘不能になることはないです」


「だよね。ウチが一番レベル低いし」


「その次は私だから、そうなるわよね~」


「ちょ、ちょ、待った待ったっ」


 にこやかなところへ物申す。


「今、カレン、俺を前衛にって言った!?」


「はい」


「俺が前衛に行ったら駄目でしょ。俺、後衛職の魔法使いなんだぜ」


「イッサも私と同じレベル99です。もし後衛で戦えば、ドラゴンがイッサを標的にした時、ユアやノブエさんが巻き添えをもらう可能性が出て来ます」


「囮の意味がなくなっちゃうってことよね~」


「別にイイじゃん。魔法使いが前衛に行ったら駄目とか、そんな法律ないし、なんか問題あんの?」


 ユアの言い分に首を振る。


「問題ありありだよっ。俺、カレンと違う。俺、防御紙。カレンダイジョブ、オレダイジョバナイ」


「なんで、カタコトちっくな言い方なのよ」


 それは俺も分からんが。


「それにあんま良いたくないが、俺こう見えても、中身レベル40未満だかんな」


「いや、もう嫌ってくらい知ってるし。でも、腐ってもレベル99なんだし、ダイジョブダイジョブうー」


 お前は自分が安全だからってっよ。

 カレンの言ったレベルの大きさうんたらの話思い出せよ。

 俺のレベル99買いかぶり過ぎんなつーの。


「なあ、カレン」


 訴えるようにしてその名を呼んでみたが。


「大丈夫です。どうにかなりますよ」


 その根拠のない励ましを最後に、俺の意見は皆から相手にされなくなった。

 俺の発言力ってそんなに低いのか。俺ってそんなに邪険に扱われていい存在なのか。

 俺、一応このパーティのリーダーなんだぜ……。




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