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雪化粧   作者: 杏子
2/4

雪化粧 弐

狩人平助に助けられ、冬の雪山に一人残された雪化粧。そんな彼女の前に現れたのは・・・

 SIDE,雪化粧


 歩いていると突然、お味噌のかほりがした。

 なんだか・・・懐かしい匂い。

 つられるようにその匂いを辿っていくと、一軒の家が見えた。

 あれが平助の言っていた家?

 近づいてみると、扉は開けっぱなしで、中を覗いてみると、囲炉裏に火がついていてほんのり暖かい。作りかけのお味噌汁が鍋にかけられている。

 ・・・でも誰もいない。


「少し休ませてもらおうかな。ふぁ・・・」


 敷かれていた畳の上に横になり、だんだんと眠りに落ちていった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ・・・ん?

 梁が見える、どこだっけここ・・・?

 だんだんと視界がはっきりしてくる。

 それに連れて記憶もはっきりしてくる。


「あっ‼︎」


 そうだ私、確か追われて・・・。

 がばっと上体を起こすと、布団が掛けられていたことに気がついた。これ・・・


「ああ、起きたのか」


 声のした方を向いてみると、自分と同い年くらいの男の子がいた。それもいっぱい。

 焼き魚の串を持っているところをみると、食事の最中だったのだろう。


「気分はどうだ? 家に戻るとあんたが倒れてたからびっくりしたよ」


 そう言って誰か一人が近づいてきた。


「あ、えっと実は・・・」


 訳を話そうとしたその時、

 ぐううぅぅ・・・えっ、ちょ///


「ん、お腹空いてるのか? じゃあ・・・はい」


 目の前の彼は、手にしていた焼き魚を私に差し出した。え・・・でも悪いんじゃ。

 困っていると彼は何か察したように、


「ああ、大丈夫。まだ口つけてねえから」


 と、はにかんで言った。


「取り敢えず飯にすっか」


「・・・ありがとう」


 そうして私は焼き魚を食しながらこれまでの経緯(けいい)経緯(いきさつ)を話した。


「ふうん。親に殺されかけるなんて、あんたも大変やな」


「・・・母とは血は繋がっていないから」


「まぁ、仕方ないからここで居候させてやるよ」


「ありがとう、本当に。とても助かるわ」


「っ・・・///。ああ、気にすんな」


「あ、じゃあ僕達の方も自己紹介しよーよ。まず、頼れるみんなのおにーさんが僕で」


「あ?ちげーよ、頼れる兄は俺だろ」


「君達何言ってんの?名前言いなよ、自己紹介なんだからさぁ」


「しゃーない。わてから言うたるわ」


 ・・・小一時間程経過。

 要約するとこんな感じかな☆


 壱也(いちや) 笑い上戸 俺


 弐王(におう) 泣き上戸 世


 参雅(さんが) 怒り上戸 わて


 肆折(しほり) ツンツン しほり


 伍力(ごりき) だらだら 僕


 陸葉(ろくば) てんねん おら


 柒華(しちか) ミステリ ?


 七つ子らしいけれど、顔も性格もばらばら。


「あ、そう言えば。俺らって昼間は狩りに出てていないんだけど、一人で留守番、できるか? この後また狩りに行く予定でさ」


「うん、大丈夫。じゃあ私は・・・家事、やってるね」


「それは助かる、ありがとな」


 ・・・よし、やります。掃除なんてしたことないけれど。

 割烹着、頭巾、右手に箒、左手に雑巾、草鞋

 こんな感じかな☆

 っと、確かまず床を綺麗に掃いて拭いて、そこから外に出て玄関周りを軽く掃いて物干しに洗濯物を掛けてみんなが帰って来る前に御飯を作り終える、時間があったら薪割りetc。

 ・・・え、結構あるよね? 今更ながら。

 いや、まてまて取り敢えず手を動かそうか。


 シャッシャッシャッ


 そうだ、私はもう家を追い出されたんだ・・・。


 シャッシャッシャッ


 これからは、一庶民として生きるんだ・・・。


 シャッシャッシャッ


 平助には強がったけど・・・まぁ不安だよね。

 

 シャッシャッシャッ


 いやいや、楽しいのはこれからだよ。今の生活に慣れなくちゃ。


 シャッシャッシャッ


 よし、これからは家庭的女子を目指そう・・・。


 シャッシャッシャッ


 ・・・あ、待ってこれ楽しいかも。


 シャッシャッシャッ


 〜〜♪ふんふふーん


 シャッシャッシャッ


 〜〜♪ふんふふーん 〜〜♪ふんふふーん


 シャッシャッシャッ


 トテトテトテ


 シャッシャ・・・、トテトテトテ?


 ふと、外に出てみると、

 あれ、誰もいな・・・いた。足元に。


 ▶︎野生のウサギサン(兎三)が現れた


「やぁ、綺麗な歌声だね。お嬢さん」


「本当?ありがとう。私雪化粧って言うの。よろしくね」


「鷲様はコタロー。いつか鷲になるのが夢なんだあ。よろしく☆」


「鷹様はサスケ。いつか鷹になるのが夢なんだあ。よろしく☆」


「鴉様はカンベー。いつか鴉になるのが夢なんだあ。よろしく☆」


 ・・・みんな特徴的な一人称だなぁ。


「よかったらみんなと一緒に遊ぼうよ。その歌声がもっと聞きたいさぁ」


「あら、ありがとう。でも・・・ごめんなさい、家事が残ってるから」


「むぅ。じゃあそれが終わったら一緒に遊べるのかな?」


「うん、それならいいけど・・・」


「よし、なら手伝ってやるさぁ」


「任せるさぁ」


「仲間を呼んで来るさぁ」


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ただいまー、って、え?ここ俺ん家だよな

 あ・・・俺ん家だっけ?」


「あれー、僕の家が乗っ取られてるー」


「えぇー、世は今日からどこで寝ればいいのー。」


「なんやねん、これ?」


「・・・ゆ、雪化粧大丈夫かな?あ、いや別に心配なんかしてないけど」


「でもなんだか楽しそうじゃない?」


「確かにー。おらも混ざりたーい」


 と、みんな口々に言っていると扉が開いた。


「・・・あ、みんな。おかえりなさい。狩りはどうだった?」


 みんな唖然としていて声が出ない。

 説明しよう、雪化粧と七人の子供の家は・・・只今アニマル達に占拠されているのだ。

 一番に口を開いたのは柒華だった。


「・・・そんなことより、これどうなってるのかな?」


「ああ、みんな私をお手伝いしてくれたの。・・・あ、みんなもう帰っていいよ。今日はありがとう本当に。また今度遊ぼうね」


「・・・説明してくれへん?」


「えっと、実はカンベーが友達?をいっぱい連れてきて・・・


『え、手伝ってくれるの?』


『うん、そうだよ』


 野兎、鹿、犬、猫、鳥、熊⁉︎ えーと・・・

 あ自分サイゾー、

 コジローっす、

 ドウセツでっす☆、

  ・・・ハンベー、

 ムサシだ、

 ランマルだよぉ、

 キチョウ様よ、

 ゴエモンやで、・・・etc


『みんな来てくれてありがとさあ』


 ウサギサンの目が光る。


『ウサギ達は床を綺麗に、犬猫は玄関口を軽くお掃除、鹿鳥コンビで洗濯物、熊は薪割りよろしく☆・・・雪化粧、一緒に料理しよう‼︎』


『みんな働くさあ』


 こ、こんな感じかな。おかげですぐ片付いたよ」


「・・・へ、へぇ。お疲れさん・・・」

動物達の名前は戦国武将達から取りました。

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