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雪化粧   作者: 杏子
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雪化粧 壱

 序章


 雪化粧(ゆきげしょう)と言う名の貴族の娘がいました。生まれた時、その肌があまりにも白く美しかったからそう名付けられたのです。彼女はとても純真無垢で心の綺麗な女の子に育ち、七になるころにはすれ違えば誰もが振り向く美少女へと変貌を遂げました。


 そんなある日のこと。彼女の母君は、金細工の施された自慢の鏡台にいつものように問うたのです。


「鏡よ鏡、この国で一番美しいのは誰か?」


 鏡台は答えました。


「それは雪化粧、心の清らかな貴女の義娘、雪化粧」


 瞬間、母君の目の色がさっと変わりました。


「鏡、今なんと言った?」


 鏡台は答えました。


「雪化粧、雪化粧。彼女が一番綺麗」


「・・・この妾が、世界一の美貌を持つ妾が、あんな子娘に負けるなんて」


 ▶︎母君は、激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームになった!


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 SIDE,平助


平助(へいすけ)、寒くないですか?」


(全然寒くないです。貴女様の笑顔があれば例え冬の氷山でも生ぬるいくらいです。)


「平助、休憩せずして大丈夫ですか?」


(全然大丈夫です。貴女様に気にかけて頂けて僕は元気が溢れ出てきました。)


「平助、私は自分で歩ますよ」


(なりません。僕にこのまま頼られててくださいな。そしたら僕はどこまででも行けそうです。)


 先程から雪化粧様は、僕の身を案じて下さっている。


「これくらい問題ありませんよ。姫様の方こそお体は大丈夫ですか?」


 ・・・本当、なんてお優しいお方なのだ。


「僕のことなら心配ありません。・・・それより、もうすぐ到着しそうですか? 早くしないと吹雪いてきますよ」


「・・・ええ、まぁ」


 僕は言葉を濁した。

 僕、こと平助。ただいま雪化粧様と冬の雪山を歩いております。


 Q,そもそもなぜ雪化粧様と冬の雪山を歩いているのか?


 遡ること四時間前。僕は雪化粧様の母君に呼ばれ屋敷にいた。


「平助、其方に頼みたいことがある。其方にしか頼めんことなのだ」


「何でございましょう?」


 ・・・ああ、相変わらずお美しい。今朝屋敷に呼ばれた時は突然でびっくりしましたが、こうして貴女にお会い出来て僕は幸せです。


「其方は狩人だ。して、山には詳しいじゃろう? そこでだ、妾の義娘、雪化粧を山の奥まで連れて行き、・・・そこで殺してきてほしいのだ」


 ん?今とんでもなく物騒な言葉が聞こえたような。


「・・・い、今なんと?」


 聞き間違いではないかと思い、もう一度尋ねる。


「じゃから、雪化粧を始末してきてくれ。近頃あの子の反抗に手を焼いていてな。もう妾にはどうにもならんのだ」


「で、ですが・・・」


 なんてことだ。僕に雪化粧様を殺せと言うのか? 神聖なる幼じy・・・姫様を傷つけることなど僕には。


「平助、これは命令じゃ。妾の命令が聞けんというのか?」


 奥様の眼が鋭く光る。その僕を射るような眼、ああ・・・たまりません。


「いえ・・・承知、しました」


 おいおいおい、矛盾してるぞ僕。なんて意思が弱いんだ僕。姫様ごめんなさい。


 A,そうして平助は雪化粧に、母君の為に野苺を摘みに行こうと言い、背負った籠に雪化粧を乗せたから。


 はて、どうしたものか・・・。

 幼き日の、あのあどけない表情で笑う奥様に一目惚れして今まで屋敷に仕えてきたが、・・・雪化粧様も負けず劣らず童顔でなんとも愛らしい。

 ・・・うん、僕には彼女を殺せない。だってさ、僕ロリコンだもん。可愛いは正義☆

 ふぅ、一息つくと僕は籠を地面に置き、意を決して口を開く。


「雪化粧様、お話があります」


「ん、なんでしょう?」


 こくり、と首をかしげる雪化粧様。つぶらな瞳で僕のことを不思議そうに見つめる。実に愛くるしい、超守りたいその笑顔。


「僕は貴女様の母君に貴女様の殺害を命じら

 ました。・・・僕にはそんなことはできません。奥様には上手く誤魔化しておきますだから・・お逃げ下さい、早く」


「え、ええっと・・・」


 難しい言葉を使いすぎたかな、困ったように僕を見つめる雪化粧様。


「とにかくこの先に一軒、荒屋があります。僕の息子達の家です。訳を話せば匿ってくれるはずです。少々住みにくいかもしれませんが・・・」


 うまく説明出来ない。もどかしい、もっと端的に言わないと伝わらんぞ僕。


 ここで一首

 こんな時 文書力無く 恨めしい

  ただただ情けぬ 僕のコミュ力


 僕は必死に目で訴える。逃げて、超逃げて。


「っ・・・分かりました。助けてくれてありがとう、平助。どうかお元気で」


「雪化粧様も、どうかご無事で」


 そう言って僕は雪化粧様と別れた。この寒い中姫様を連れまわした挙句、半ば裏切りかけていた僕にありがとうだなんて。

 ああ、姫様・・・無力な僕をお許しください。まだ七歳なのに、家族と別れるなんて相当お辛いでしょう。しかも義理とは言え母親に命を狙われているなんて知って心も傷んでいることでしょうね。・・・なーんて、何分かった気になってんだ? って感じですよね。


 ごめんなさい。

ほのぼのコメディーに挑戦してみました。

批評、評価、感想、頂けると幸いです。

よろしくお願いします。

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