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The Killer School  作者: 織上、闇璃
2/4

― 2 ―(闇璃)





 階段を降りた突き当り。そこにある、小さな教室。

 今はもう使われていないその空き教室の前で足を止めた奏は、扉へ手を掛けるとひと呼吸分置いてから扉を開けた。その音に反応してか、黒板の下辺りでゲーム機へ視線を落としていた少年が顔を上げる。奏の姿を見ると、ニコリと笑みを浮かべてみせた。

「お疲れ様、如月くん」

「あ……お疲れッス、部長」

 後ろ手で扉を閉めながら会釈をする。窓際、空いている机へと歩みを進めると机上へ鞄を乗せ椅子に腰掛けた。

 ひと呼吸分遅れて、再び教室のドアが開く。こんにちはーと挨拶をしながら、薄桃色のポンチョを身につけた少女が入室する。ドアを閉め、奏のことを見つけると小走り気味に彼の座る机の前に立った。必然的に、座っている奏が彼女を見上げる形になる。

「奏くん、見てたよー」

 何を、と問おうとした奏より早く少女が再び口を開く。

「さっき、憐奈さんとすれ違った時。奏くん、何か言ってたでしょ?」

 ピタリと奏の動きが止まる。まさか、見られていたなんて。

 奏の反応を見た少女はやっぱり、と溜め息混じりに呟き腰に手を当てた。

「だめだよー、憐奈さん生徒会なんだから気をつけないと」

 子供を叱るような言い方をする彼女に、奏はばつの悪そうな顔をしふいと視線を逸らす。舌打ちしたいのを堪え、スンマセンと小さく謝罪を述べた。

 そんな2人の様子を黙って見ていたこの部の部長、西崎十哉(にしざきとうや)はゲーム機をカバンに仕舞うと教卓に手をつきそうだね、と声を発する。

「気を付けた方が良いのは確かだね。目を付けられたら色々動きにくくなるし。不思議部が無くなったら困るしね」

「……スミマセンでした」

 奏の言葉に丁度チャイムの音が重なった。全員の視線が、黒板の上に掛けられた時計へと集まる。時計の針が示している現時刻は、午後4時半。

「……うーん、5時半まで何しようね」

 彼らが所属している不思議部。部員数は全部で6人。そしてその全員がこの学園に何らかの反抗意思を持っている、『レベル』と呼ばれる者達。

「本当はそろそろ話し合いとかしないといけないんだけどね……。それは、全員が集まった時にしようか。今日もあの二人は休みみたいだし」

 苦笑し、十哉は本日も部を休んでいる二人の事を考えため息をついた。無断で部活を休むのはこれで何度目だろうか。

「そうだ、やる事がないならジクソーパズルやりましょうよ! これ、貰い物ですけど」

 ニコニコと笑顔を浮かべ、パズルの箱を掲げる彼女に十哉は苦笑したまま再びため息をつく。

「じゃあ、今日の部活はジクソーパズルだね」






 部活を始めてから、二回目のチャイムが鳴る。どうやら5時半になったらしい。

「さて、と。パズルも出来たし、時間にもなったし、そろそろ帰ろうか」

「これ……どうするんスか?」

 教卓に広げられているジクソーパズルを指差し、奏は十哉を見た。十哉もそれを見ながら腰に手を当て考え込む。

「今度先生に額縁でも頼んでみる? せっかくだし飾ろうか」

 十哉の提案にそうッスねと返し、奏は机に置いてあった自分の荷物を手に取る。各々に帰り支度を済ませ、再度教卓の周りに集まった。

「えーと、日誌はボクが書いておくね。鍵当番は如月くんだっけ? よろしくね」

「うっす」

「よし、じゃあ今日の部活はこれでおしまい。お疲れ様でした」

 お疲れ様でした、と十哉の言葉を繰り返し全員教室を出て行く。

 最後に戸締まりを確認し教室を出た奏は、鍵を取りに職員室へと向かうのだった。







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