表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

自問他答

愛してるってなに?


お前が人を想うことだよ。


私は愛されているの?


もちろん、誰もが愛されているさ。


苦しみも、悲しみも、過ぎてしまったら跡形もなく消えてしまうの?


そんなわけがないだろう。小さなビー玉になって、そっと心に積もって行くのさ。


いつの日かいっぱいになって壊れてしまわないの?


壊れてしまうこともある。でも、それは不思議と器と同調してね。ゆっくりか。はたまたすんなりと入り込むか。それこそ人それぞれだが、やがてビー玉は色を薄めて、綺麗な透明になるんだ。透き通っているけれど、決して何もないわけじゃない。うっすら色が着いていて、初めて器になれる。苦しみも、悲しみも、何もかもを抱え込んで、やっと器となるのさ。


私の器はどんな色?


さあね。僕が知るわけがないだろう。お前の考えた色は、確かにお前自身の色さ。でも、僕の見るお前の色は決してお前のそれと重ならないんだよ。器はお前自身によって築かれる。お前が思った色が、ただ一つの真実なんだ。


もし悲しみを拾ったらどこに連れて行けばいいの?


元の持ち主に返してやれ。お前の器には収まらないよ。重くて重くて、誰もが望む形をも否定する。だからこそ返してやれ。ピタリとはめ込むように、そうしていつの日か淡い色に変わるよう。


ねえ、愛してるってなに?


お前の思う通りのものさ。


愛するってどういうこと?


人に触れることさ。見て、聞いて、話して。そうして人と馴れ合うことさ。


私って誰?


頭に一度は思い浮かべたそれが確かにお前の姿だよ。僕に聞かれてもどうしようもないのさ。お前の姿はお前が決める。そういうものだろう?


あなたは誰?


お前が望むがままに、一つの姿を取らないものだよ。お前が少しでも形を変えれば、僕なんてものは呆気なく捻じ曲げられるもの。


そういうものなのかしら。


そういうものだよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ