第54話:『太陽』、『繁栄』、そして『力』
金やらなんやらが一切無くなったな。
まあ強盗のことを忘れていた自分が悪いのだが。
これじゃ装備も買えない。
さてどうしようか。
そうだ。スアロキンに相談しよう。
「スアロキンは手紙を書いているようだ」
いやあああああああああああああ
*落ち着いてください*
そういえばそんなのあったな。
6年続けてきた友情の証、だっけ?
*:8年7ヶ月14日続けてきた友情の証です*
でもあの後数日経過していたような。
*そうですね*
さてどうしよう。
あ、そうだ。
自宅の七伝説をまだ読み終わっていないんだった。
南街の第5章はもう読んだな。
ちなみにどんな順に並んでいるんだろう。
*目次始め*
七伝説第1章: 北街と感情の物語
七伝説第2章:北東街と黄金の物語
七伝説第3章: 東街と流星の物語
七伝説第4章:南東街と閻魔の物語
七伝説第5章: 南街と大蛇の物語
七伝説第6章:南西街と神秘の物語
七伝説第7章:北西街と水瓶の物語
*目次終わり*
あ、なるほど。
8方位で北から時計回りか。西を除いて。
そして物語の名前にも法則性あり、と。
なかなか綺麗な配置じゃないか。
さて、どれから読もうかな。
*神秘とかどうでしょう*
じゃあ黄金で。
*神秘じゃないんかい*
「七伝説第2章:北東街と黄金の物語」
さて、読んでいこう。
「国中に散らばった7つの『全知の調和』の部品の内1つは、北東の方面に飛んで行きました。」
「落下地点では、街という小さな調和が生み出されました。現在で言う北東街です。」
お決まりの2行か。
「この部品は『全知の調和』が秘める力の源と言えるでしょう。」
「『全知の調和』の中枢部分をなす部品の一つです。」
力の源、か。
「この部品の作用は『太陽』、『繁栄』、そして『力』です。」
「分裂後、この部品は北東街に繁栄をもたらしたと言われています。」
「実際、豊富な日照量に恵まれている北東街では、」
「秋になるごとに黄金色の小麦が畑を埋め尽くしています。」
さすが黄金。
でもたかが部品で地理的条件まで変わるものなんだろうか。
「この部品は、今では『黄金の幣袋』と呼ばれています。」
「しかしながら、分裂地点と着地地点が離れていることから、」
「中に黄金は入っていないと予想されています。」
へー。
「この部品の守護獣は、金運の象徴でもあるふくろうと言われています。」
ああ、首がよく回るっていうあれか。
「こうして、『黄金の幣袋』は今でも北東街の奥深くに、」
「ふくろうの力によって守られています。」
これもまた決まり文句というわけか。
「以上が、『七伝説』第2章の解説です。」
お、終わりか。