第37話:薬も過ぎれば毒となる
「七伝説第5章:南街と大蛇の物語」
要約版は前見たが、まあまあ長めだったな。
要約であれなら、元の伝説は物凄く長いと予想される。
まあいい、情報のためだ。
情報はただでさえ手に入りにくいんだから、努力しないと。
しっかり読まないと、何処かに隠れている情報を見つけ損ねるからな。
要約版には書かれていないことを読み取ることでこそ今後の展開が有利になるはずだ。
では、読むか。
「国中に散らばった7つの『全知の調和』の部品の内1つは、南の方面に飛んで行きました。」
「落下地点では、街という小さな調和が生み出されました。現在で言う南街です。」
*この2行は他の章でも出てきます*
「……と始まるところですが、南街は特殊でした。」
ほう。
「この部品は他の部品による抑圧を受けることで、」
「正常な働きを示す物だったのです。」
「というより、他の部品がこの部品を封印していた、」
「そうとも言える程です。」
「強烈な作用故に、毒にも薬にもなるのがこの部品なのです。」
薬も過ぎれば毒となる、って言うことか。
「この部品の作用は『猛毒』、『激流』、そして『広範囲』です。」
「諸刃の剣になり得るこの部品は、」
「抑圧から解かれ、驚くべき働きを示しました。」
「南街に向けて、『蛇の流れ』を生んだのです。」
「正に『広範囲』に及ぶ『猛毒』の『激流』です。」
確かに驚くべき働きだな。
「この流れによって、通り道のあらゆるものが滅ぼされました。」
「特に洞窟内では、こうもり以外の全てが蛇に殺されてしまったのです。」
「蛇を呼び寄せるこの部品は、今では『大蛇の皮革』と呼ばれています。」
だから南街周辺には蛇とこうもりしかいない。
そのことはもう十分理解している。
「####は『蛇の流れ』を予見していました。」
「部品を守るための怪獣を大蛇としていたことからそれが分かります。」
「というより、この大蛇は####が用意したものではなく、」
「単に最も強い野生の蛇が守っているだけです。」
「守護獣を別のものにしていれば、確実にその獣は滅ぼされたでしょう。」
これは前回聞いた話だ。
「####にとって、この部品はあまり重要ではありませんでした。」
「この部品がなくても『全知の調和』は効力を発するからです。」
「単に他の働きを強めるだけのもので、中枢を成す訳ではない、」
「そういうふうにも言えるでしょう。」
なるほど。だから守護用の怪獣は用意しなくていいのか。
……長いな。
まだ続くのか?