第172話:豊かな再帰
~盤面整理~
さて、「定跡創成」のおかげでそれっぽいのができてきた。
中央の「斧」が綺麗に周りと調和してくれている。
その右に「7」とかいう、これまた出現頻度が低い悪形ができているが、
まあ無秩序な混沌よりは大量の悪形のほうがまだ扱いやすかろう。
更に右下にもなんか定跡っぽいものが見えてきたが……
うーん、「7」を時計回りに揃えればなんとかなってくれるか?
~解析現場~
*よし、画像を正しく差し替えてきたので大丈夫だろう。*
*ということで実行。*
*……違う違う、I字は常に光るんじゃなくて、絶対に光らないんだってば。*
*ということでそこを修正して再実行。*
~実行~
*よし、問題ないようだな。*
*ということで、このまま解析をしていくとするか。*
*……んで、岩を塗り直す前って何してたんだっけ、全く覚えていないぞ。*
*これまた調べなくては。*
~盤面整理~
さて、「斧」「7」を揃えたら、周辺部がいい感じに落ち着いてくれた。
やっとこの段階まで来たな、ここまでくればもはや何も心配することはない。
いつも通り「端」、「本」、「鈍い斧」の複合と考えて揃えていけば下側はしっかり揃うし、
下が揃ってしまえば上の方についてはどうとでもなる。上は末端処理もしっかり出来ているし。
ふう、ようやく一段落ついたと言ったところか。
~解析現場~
*えーっと。*
*そうだ、出力はしてみたものの、定跡とそうでないものの区別がつかず困っていて、*
*その原因として、「定跡の定義の中に、どの部分を構成するどの岩が光っているかという情報が含まれている」という発想に至った。*
*冷静に考えれば当然のことだ。岩の並び方が同じであっても、到達すべき目標の配置が異なっていれば同じ方法で揃えられるはずがない。*
*つまり、同じ並びであっても揃え方は場所により異なってくる。*
*そもそも、もともとの仮説「定跡は、整理後の盤面を逆探査が通る過程で生み出されるもの」という考えからしても、当然そうであるべきだ。*
*盤面整理の目標というのは、盤面の全てを不毛なI字の岩で覆い尽くすことではない。*
*L字の岩によって構成される、豊かな再帰的構造を作り出すことだ。*
*場所に応じてそれぞれ異なった揃え方が必要になる。*
*それを経験的に知っているので、「岩が光っている」という情報を元に、目標の形がどのようなものであるかを理解し、*
*その地点にあった揃え方を導き出しているのがこの「定跡」という概念なのか。なるほど。*
*さて、それでは肝心の解析作業の方に入っていくとするか。*