第166話:逃避と変形
~解析現場~
*さて、原因を探していたら、その間にどうやら表作成が正常終了したようだ。*
*ただ単に処理が重かっただけか。強制終了させていなくてよかった。*
*妙に重かった原因は今はとりあえず無視して、対応表を見てみますか。*
*……まあ、原因究明してもいいんだけど、*
*そうやって余計なことを挟むと、やるべきことがどんどんと後回しになってしまう。*
*なんか、いわゆる「現実逃避」の考え方を元にして、*
*「一番やりたくないことを後回しにすることで、それより楽な仕事を効率的にたくさん処理する」*
*とかいう仕事術も世の中にはあるらしいが。*
*ということで、とりあえず解析結果を見てみますかね。*
*それでも分からなかったら、その時はその時で本人に聞いてみればいいだけの話だ。*
*そもそもこの解析というのが趣味で始めたようなものだし。*
*とは言え、そろそろ主となる物語の方にも取り掛からねばな。*
*物語を考えるという現実から逃れて初めて、ここまで解析の進捗が出るというのも事実ではあるが。*
~盤面整理~
さて、無事に大木が切り倒せた。
今回出てきた面白い形、これを「二重斧と大木」とでも命名するか。
…まあ、行ったり来たりするたぐいの定跡だから、
「大木」に相当する「波」の部分がかなり大きくないと効率的とは言えないわけだが、
面白い形であるのは間違いないし、命名する価値はあるんじゃないかな。
両端にI字があればともかく、純粋な「波」って一層ずつ処理しようと思うと面倒だからな。
整理し終わった層から直接次の層に移ろうとすると爆散がどうしても必要になるし。
その点、この定跡では、両側の「斧」があるおかげで交互に処理しやすくて、
その往復の間に、未整理の上端と下端が処理できる。
更に、「斧」と「直角」との変形経路が二つあって、
上から回るか下から回るかで生成物の位置がちょうど一つだけ変わることを利用すれば、
一回周回するごとに「斧」がどんどんと「波」、じゃなかった「大木」を挟んでいくということですな。
うむ、やはり面白い。
さてさて、次の盤面ですな。
~解析現場~
*さて、物語などという忌まわしい現実を逃避して、とりあえず解析結果を見ますかね。*
*…えっと、何を解析して何を出力したんだっけ、完全に忘れた。*
*これまた調べなくては。*
*えー、前まで何をしてたかというと……*
*表を出す、その表というのは図と定跡との対応、その図というのは………*
*ああ、逆探査の矢印か。思い出した。*