第155話:式と呪文
~開発現場~
*えーと、取りあえず元の文献を文字通りに引っ張ってみたけど、如何せん回りくどすぎる。*
*そもそも、数式を使わずに数学をするのが面倒すぎるんだよな。*
*3次はおろか、2次方程式の判別式だって「1次の係数の2乗から2次の係数と定数項の積の4倍を引いたもの」とかになってしまう。*
*しかも、これでもまだ良い方で、負の数が使えないとなると係数の正負で場合分けする必要まで出てくるという。*
*…さすがに大変すぎるな。*
*うーむ、いろいろ考えてきたけど、やはり数学者を登場させるのは何だかんだ面倒だな。*
*面白そうではあるんだけど、完成度を上げようとすると如何せん大変過ぎる。*
*時間を掛けて作ったところで、数式無しだと完全にただの呪文と化す。*
*数学が苦手な人は勿論、数学が得意でも「1次の係数の2乗から~」みたいな呪文を瞬時に理解するのは無理。*
*とは言え、数式が要らないような簡単な話をするだけというのも面白くない。*
*ということで、仕方がないので、一旦この話は保留にして、*
*今は取りあえず盤面解析に戻るとしますかね。*
~盤面整理~
よーし、期待通りに川が良形に転じてくれた。
転じたのが右側だから……「斧」と「T」か。
ということで残りを揃えて……完了。
うむ、上手に終わったな。さて次だ次。
~解析現場~
*さーて、10秒見ては次に進むだけの簡単なお仕事の始まりでーす。*
*ただただ単純作業をするだけなので、頑張っていきましょうかね。*
*えーと、「斧」、「M」、「本」か。*
*ほう、「本」は良形の中でも一番綺麗な形らしい。*
*…ああ、なるほど、逆探索時に通り抜けた後に発生する例の形か。*
*低難易度だと本当に頻発するけど、ここぐらいの難易度になってくるとなかなか出ないな。*
*かなり念を入れて、盤面全体を走査するぐらいの手数に設定しているから、大体の場合破壊されるんだよな。*
*…ん、待てよ、「斧」ってこの走査が2回直交したときに出てくるのか。*
*妙によく出てくると思ったらそういうことか。*
*ふーむ、定跡って純粋に盤面を整理するということについてのものかと思ったら、*
*意外にも逆探索という要素にも依存しているものだったのか。*
*これはなかなかの新発見。*
*ということは、この逆探索の方法を変更すると定跡、というか定跡の出現率にも影響が出るということか。*
*うむ、面白い。*
*さて、次だ次。次の盤面だ。*