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プロローグ
私にはお兄ちゃんがいる。優しくて頼りになる、大好きなお兄ちゃん。
私が7つの時に、お父さんの再婚で出来た、血の繋がらないお兄ちゃん。
色々事情があって、私の苗字は『谷沢』だけど、家族でお兄ちゃんだけは今も『鈴木』のまま。
それを知った時、不謹慎だけど、嬉しかった。嬉しくてしょうがなかった。
お兄ちゃん、私はお兄ちゃんが大好き。
一人の男の人として、大好きなの。
お兄ちゃんなんて、呼びたくないよ。
今はまだ、呼べないの。
まだ『お兄ちゃん』なんだ。
でもね、私まだ15歳だけど、16歳になったら。
一番にお兄ちゃんに好きって言うから。
それまではこっそり心の中でだけ、呼ばせてね。
「大好きだよ……龍翼」
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