第6話
誠に遅くなり、申し訳ありません(泣)しかも内容の関係で、短くなってしまいました。。。なので、今回は次話も続けて投稿させていただきました!お楽しみくださいませ♪
翌日、ファストは仕事に戻った。ファストが最後の村、アシュルタ村に着いた時ベルバー・マルクスは木の陰に隠れていた。
「ベルバー?」
「ファスト!?」
急に背後から声を掛けられ驚き慌てふためくベルバー、彼の視線の先にはノイ・クローゼが居た。どうやら彼、ベルバーはノイ・クローゼに見つかりそうになっているらしい。そんなことも知るよしも無いファストは平然と空に浮かんでいる。ベルバーは必死にジェスチャーで『静かに』やら『座れ』やら指示をしている。もちろん、ファストはそれに従った。ファストとベルバーは位は同じだけれどノイの監視を任されているのは彼だ、今来たばかりのファストが反抗するのは自滅行為に等しい。
そして、ノイが遠くに行ったのを確認するとベルバーは怒鳴り始めた。
「バカ野郎!!気付かれたらどうすんだよ!」
「うっさいなー。私はあんたの事情なんか知らないんだからそんなに怒んなくたって・・・」
「・・・悪かったな・・・」
「えっ!?」
「俺はただ、こんな所で揉め事を起こしたくないだけだからな!」
いつもは直ぐに切れるベルバーが、素直に謝ったことにファストは驚いた。
「で?何で此処にいんだ?ノイの監視は俺の仕事なんだが・・・」
「そうそう、今地上の見回りに来てるの。何も変なことは起きてない?」
ファストの質問に少し顔が曇る。
「それがなぁ、ノイとアイラっつうお嬢さんの間柄がまんまり宜しくないんだよ・・・」
「そんなこと言ったら、二人でルイの所に行かないじゃない・・・!」
「やっぱそう思うよなぁ・・・」
ベルバーの返答にファストが唖然とするのも無理は無い。実際はノイとアイラの二人で旅立ち、ルイの下まで行かなければいけない。このままルイの下に二人で行かないとなると、歴史が変わってしまうのだ、それだけは避けなければならない。
「もちろん、ライクには伝えてあるんだよね?」
一瞬、ベルバーの動きが止まった。ベルバーの顔が横に振られた次の瞬間、風も吹いていないのに木から葉が数枚落ちてきた。
数分後、ファストはアシュルタ村を後にした。
大海原を眼科に見下ろしながらファストは次の大陸に向かった。
道は長かったが、彼女はその道を楽しんだ。海面ぎりぎりまで降下した先には鯨の群れがいた。その鯨達と共に陸を目指し進んだ。
空は海と重なり、雲一つと無い蒼に包まれ、優しい風に酔いしれながら空を飛ぶ。
その頃イガートはファストの力を借り、『トルニクス』としてルイ・スベアの幹部と行動を共にしていた。
「トルニクス君」
「はいっ!」
イガードを呼んだのは、以前彼と戦った少年、ブルニアルスだった。
「その机の上にある書類を取ってくれる?」
「これですね・・・どうぞ」
「ありがとう」
ブルニアルスは姿を変えたイガートに気付かずに、彼を部下として接している。その対応に最初、イガートは驚いた。並みの魔物ならまだしも、敵軍の幹部でもあるブルニアルスが気付かぬのがおかしい。それに、ルイ・スベアまでもが気付いていないのだ。いや、実際のところ気付いていない振りをしているのかもしれないのだが、絶対に裏がある。そうイガートは思った。
暗闇の中に明かりが一つ、その暗闇に響く声。壁に映った影は二つ。一つは男、もう一つは女のものだった。
「彼は大切な客だ。くれぐれも無礼がないようにな・・・」
「わかっております。しかし、彼を手中にいれ、どうするのです?」
女の問いに男は笑いながら答えた。
「そんなに焦ることではないだろう?祭りはまだ準備段階・・・ゆっくり完成へと近づけようではないか」
二つの影はまた暗闇の中に消えていった。男の笑い声とともに・・・