第4話
その頃ファスト・レイアーは・・・
「あーっあ、私に“癒し”なーんて出来ると思っているのかなぁ、ライクは・・・しょうがない!行きますか!えーっと・・・『サレンジア』は・・・」
ちょっと文句を言いながら、ファストは地上で一番混乱している『サレンジア』という街に向かって飛んでいった。―ファストは桃色の長い髪をオレンジ色の紐で止め、ノースリーブのワンピースに赤いブーツを履き、黄色のストールを腕に絡ませた装いだ。性格はとても元気で、子供っぽいところのある女性だ。―
『サレンジア』上空に到着寸前、ファストは長剣を取り出した。その長剣の柄には赤い宝石が入っていた。『サレンジア』上空で長剣を天に翳し、何かを唱え始めた。すると、瞬く間にファストは風に包まれていった。
「スペルライト!」
目を見開き、長剣を『サレンジア』に向かってなぎ払った。ファストを包んでいた風は光を帯びながら『サレンジア』に向かって吹いていった。
一方、『サレンジア』のある民家では・・・
「おばあちゃん。まだ外に出てはいけないの?」
「だめだ!まだ神様がお怒りになっているかもしれん。」
「ちぇっ、つまんないの・・・」
ルイ・スベアの攻撃を受けて以来、『サレンジア』では昔からの教えで、外出が禁じられていました。育ち盛りの子供達にとって、何日も家の中で過ごすというのは、苦痛でとにかく暇なのだ。
その時、子供は窓の外の何かに気付いた。
「なんだろう?」
子供は思わず窓を開け放った。
「こらっ!開けちゃならんと何度も・・・」
子供を叱った祖母は窓の外の異変に気付き、言葉を失った。
「おかあ、おとう、見て!」
「そうしたの??」
固まった祖母の隣ではしゃぐ子供に急かされ、窓の外を見ると、光が降ってきた。
「あっ!お星様が降ってきた!」
「違うわよ、あれは・・・神様からの贈り物ね。」
「贈り物?」
「お母さん、きっと神様が許して下さったんだわ。」
「きれいだねぇ・・・。」
地上の民達の声が届いたのかファストは安心して、
「任務完了!」
と、大声で叫んで空の城に戻った。
シュート・クラウンは、いつも通り自分の村に戻って行きました。
そして、戻ったと途端に村の住人達が集まり各国の状況を報告しにきました。
―シュートは青のロングヘアーに緑の目、肩を出した長めのワンピースを黄緑の帯を腰に巻き青色のブーツを履いている。性格はしっかり者で、でもどこか抜けている感じのやさしい人―
イガード・シュレスは全身でルイ・スベアの気配を肌に感じながら、急いで飛んで行った。
―イガードは緑の髪にオレンジ色のメッシュを入れ、襟の高い袖の切れたジャケットの中に黄色のシャツを合わせ、ジャケットと同色のズボンを履いている。武器は大きな刃が両端に付いている槍だ。性格は真面目で頭がいい。女性にも良くもてる人だ。―
イガードが着いた時には、ルイの新しい手下が指示を訊いている所だった。その手下はまだ若く、人間と他種族の子供のようだ。
その男の子の左腕にはたくさんの模様と、背中には魚のヒレのような竜の翼のようなものが生えており、刃が二つに分かれた槍を持っていた。そして、話を聞いているうちにこの男の子はブルニアルスといい、聖魚人族だということが分かった。しばらくすると女性が出てきた。
「あーらブルニアス、まだここに居たの?」
「・・・あなたですか。何か用ですか?」
「あんたねぇ、もうちょっと反応しなさいよ!」
「まあまあ、落ち着いて史遠くん。今日は君達二人で協力してやってもらいたいことがあるんだ。」
「協力?」
「そう、今日の夜。我々の秘密を握っている“白希家”を滅ぼしに行ってくれ。もし一人でも生きていたら・・・わかっているな」
「承知しております。」
「必ずやつらの息の根を・・・」
外でこの話を聞いていたイガードが何故か城から離れていった。
イガートの居る城から北東にあるラジューム大陸のアシュルタ村では、ベルバー・マルクスがノイ・クローゼの姿を探していた。
―ベルバーは水色の髪と同色のジャケットとズボンを着ている。ジャケットは、半そでの長さにそろえて着られ、そのジャケットの下から黒の長袖を着、耳に大きな宝石の付いたピアスをしていた。―
ベルバーがノイを見つけた時、ノイは大木の下から少し顔を暗くして出てきた。ノイが出てきた大木の下には一人の女の子がいた。しかしその子はノイを呼びながら泣き崩れていた。
ベルバーは戸惑いながらもノイの後を追った。
ノイはとある道場の中に入って行った。何事かとベルバーが覗くと、ノイはある男に稽古をつけてもらっていた。
稽古をつけてもらっているノイは十三とはいえ、武術に適した体型で少し背は低いが、とても鋭いパンチとキックを繰り出している。
「将来いい武道家になるな」
一方天空城では・・・。
「・・・ご苦労だったな、バルタル。」
「四大元素には全員伝えたわ。これからどうすればいい?」
「そのことなんだが・・・ファスト、君も一緒に聞いてくれ。」
一本の大きな柱の後ろからファストが出てきて頷いた。
「まず、オレとバルタルはここに残り小精霊を使いイガード達の現状を調べ今後の事を考えていく、ファストについては地上の様子を一周見てきてくれ。」
「わかりました・」
「了解!大体五日で帰ってきます!」
「それと・・・ファストには帰ってきたら次の仕事を頼むから。」
「はい・・・」
ファストは急いで正門をぬけ、地上に降りていった。
「では、バルタル始めようか・・・。」
「はい。」
「まずは・・・」
広い部屋の中二人で話始めました。