第3話
朝日を背にバルタルは急いだ。ライクからの受けた、四大元素に報告をするという命を果たすために。―遅れたが、彼女『バルタル・ブール』は六大大精霊 魔術部隊 体長で、水と氷を操る。―
四大元素とは、生物、もしくは地上が活動していく上で必要不可欠な物のことを指す。ここでは、炎、風、雷、氷のことをだ。
まず、『試練の塔』、『カレン』の下へと向かった。
『カレン』とバルタルはとても似ている所がある。「瓜二つ」とはまさにこの二人のことだと思う。
塔はとても蒸し暑く、普通の人にとっては真夏ぐらいの暑さで死ぬほど暑がるバルタルにとっては、30分もここにいたら本当に溶けてしまうように感じられるのだ。
しかし、それは彼女でなくても分かるような気がする。
何故ならば、塔の下には溶岩が流れており、塔の全体が蒸し器状態になっているのだ。けれど、このお陰で、地上のバランスが保たれているといっても過言ではない。
四大元素が棲んでいる塔ひとつひとつには属性があり、―『カレン』の棲む『試練の塔』は炎、つまり、試練を属性としているので、『試練の塔』と呼ばれている。−その力が上手く調和され、自然現象が起きている。
バルタルが急いで塔の上までたどりついた時、背後から視線を感じた。
(敵か?)
その時、敵が攻撃をしてきた。その攻撃は、流星群のように降ってきた。
「カレン?」
すばやい身のこなしで攻撃をよけたバルタルは明るい声で友人の名を呼んだ。攻撃をしかけてきた女は、その声を聞いたようでびっくりし、急いでバルタルの元へとかけて来た。
煙の中から出てきた女性は、ピンクの髪と赤い着物を着ており、紐でつながれた二つの鈴を空中に浮かばせながらかけよってきた。
「バルタル!どうしたのこんな所にくるなんて・・・?」
「ええ、実はライクの命でここに来たの。」
「ライク様の?」
そして、カレンにすべてを伝えた。ルイ・スベアが復活したこと、そしてもう一つ、カレンだけことを・・・。
「かくまればよいのだな?」
「そう、今から1年と2ヶ月後、ここに生き残りの忍者が来る。その者の一人は、地上の運命を変えることのできるカギがいる、その者をかくまってもらえぬか?」
「わかった、・・・しかしバルタル・・・お主大丈夫か?よろけておるぞ・・・」
「ありがとう・・・でもカレン・・・その喋り方どうにかなんない?」
「なにかおかしいのか?」
「だって・・・今時“お主”やら語尾に“ぞ”をつけるのは・・・古いよ・・・」
「そうなのか?・・・それより他のところにもこれから行くのだろう?」
「あっ・・・やば〜!」
バルタルはカレンにあいさつもなしに走り去ってしまった。
「相変わらず忙しい人だ・・・」
熱い塔の中で、温かいお茶を飲むカレンでした・・・。
次に自由の塔に住むウィームの元に急いだ。
バルタルとウィームは正反対のような性格で、まったく気の合わない仲だ。
塔の外には風が吹いており、その風には規則性がない。塔の中にもやはり風が吹いていて下から上へと風が吹いている。そのため普通の人間ならば、外の風で中に入れなかったり、中の風をうまく利用して先に進めなかった者が数多く存在する。―ウィームの塔は風、つまり自由を属性としている―
バルタル自分の力を最大限に利用し、塔の最上階までたどり着いた。
「どこに居るのかしらウィ―ムは・・・」
バルタルの上から天使のような白い羽根と共に舞い降りてきたのはウィ―ムだった。
「どうしたんですか?バルタルさん、こんな所に来るなんて珍しい。」
「まぁね、今日はライクの命でここに来たの。」
「まぁ、そうなの・・・じゃあ中に入ってください。ここだと邪魔も入りますし・・・」
「そうね、じゃあ入れてもらおうかしら。」
バルタルはちょっと強引気味に中に入れられた。そして、少し落ち着いた所で今日の用件を話した。
「わかったわ、それじゃあ他の精霊には私が伝えておきます。」
「ありがとう。じゃあ私はこれで失礼するわ。」
バルタルが塔から出たのと同時に、風の小精霊達が勢い良く飛び出して行った。たぶんウィ―ムに命令された精霊達だろう・・・。
その後、バルタルは過酷の塔に住むルナーダの所へ向かった。ルナーダはとても無口でいざという時にしか口を利かない。
塔の外はどんよりとした黒い雲が上にかぶさっており塔の壁は電気を保っている。最上階にたどり着くには、仕掛けから出てくるモンスターを何百匹も倒さなくてはいけない。バルタルがため息混じりで行こうとしたその時、上空から雷が落ち、ルナーダが現れた。
「何でここに・・・客人が来ても外に全然出ないはずのあんたが・・・」
「・・・用が有るんだろう?・・・早く言え・・・」
「本当にムカツクわねあんた!」
「・・・用がないなら戻るよ・・・」
「あーっまって!今話すから・・・これはライクからの命・・・」
「!」
ライクの名を出したとたんルナーダの顔は凍りついた。それはそのはずだ、昔のライバルだったのだ。実は二人とも雷精霊でどちらが上へいくかでちょっとしたいざこざがあったらしい。
「というわけ・・・わかった?ルナーダ」
「・・・」
ルナーダは無口に頷いて答えた。
「じゃ私はフリーズムの所に行くから、じゃーね!」
バルタルは急いで飛んで行った。
最後に中央の塔に住むフリーズムを訪ねた。
フリーズムは他の四大元素とは違い、動物なのだ!(しかもウサギ・・・)なので話をしても、わかっているのかないのかが判りにくく、コニュニケーションが取りにくいのだ。
塔の周囲には堀が掘ってあり、冷水が流れている。塔の中央には最上階から一階まで滝 (?) が流れている。最上階は氷で出来ていて塔の全体の気温は約マイナス二度である。しかし、最上階に限りマイナス十五度である。
バルタルが塔の中に入ろうとしたその時・・・
「うわっ!なにすんのよ、私はフリーズムに用が・・・!」
バルタルを止めたのは小精霊だった。小精霊の話によると、「フリーズムは今寝ており、無理やり起こすと大変なことになるので、用があるなら私が伝えておきます。」とのことだった。
「う〜ん・・本当は本人に直接じゃないといけないんだけど・・・しょうがない、じゃ伝言お願いね。」
バルタルは心配しながらも空にある城に戻った。
大変遅くなって申し訳ございません・・・(^^;ヾ
諸事情により掲載が遅くなりました。
読んでくださってありがとうございます(>v<)/♪
今後とも頑張りますのでよろしくお願いいたします!