第2話
ライクは話し始めた。
バルタルから報告を受けたこと、そして、過去の経験からこれから起こりうることも。それを話したうえで、今度の対策や行っていくことを―。
「―ということだ。」
「了解。やってみるよ!」
「では、整理するぞ。」
ライクは、スッと立ち上がり、自分の右手前にいる、先程自分の名を呼んだ女性を見て伝えた。
「バルタル・ブール、君は四大元素にこのことを報告して。」
席を立ち、胸に手を当て、深々と礼をして答えた。
「承知した。」
次に、バルタルの隣に居る、桃色の髪をポニーテールにし、髪を一つに結っている女性に目を向けた。
「ファスト・レイアー、君は上空から、“奴”が出現した近隣の土地で混乱している人々を癒しに行ってくれないか。」
立ち上がりはしたのだが、何か自身なさげに答えた。
「了解!出来るか分からないけど…。」
次に、紺色の髪の女性に目を向けた。瞳は髪の色とは違い、翠色でをしている。今にも吸い込まれそうになる。
「シュートゥ・クラウン、引き続きシルフ族の長としての役目を果たし、“例の少年”の誘導を頼む。」
ゆっくりと席を立ち、穏やかな表情で答えた。
「はい。緊張しますわ。」
更に、ライクは自分の体を、左手前の異様に顔が整っている翠の髪の男性に向き直し、
「イガート・シュレスは、“奴”の監視を頼む。」
ライクからの命に、彼は何ひとつ表情を変えずに口を動かしながら立ち上がった。
「分かった。」
最後に、先程ライクの言葉に大声を出した、水色の髪の男性の方を向いた。
「ベルバー・マルクス、君は“例の少年”の監視だ。」
彼はダルそうに頭を掻きながら立ち上がり、
「ヘイヘイ!地味だなぁ〜。なんでこう、監視なんて地味なことをやらなきゃいけないんだ?さっさと“奴”をとっちめちゃえばこんな監視なんていらないでしょう??」
ライクはそんな面倒くさがる彼を見て、一つ深い溜息をついた。
「いいか?お前も知っている通り、“奴”は危険だ。確かにすぐに捕まえればいいかもしれない、けれど、もし失敗した時のことを想定してみろ!一体何をするか分からないんだぞ。私たちの使命は地上のバランス・平和を護ることだ、なのに失敗して地上を地獄にしてしまったら意味がない。絶対にバレるな!慎重にいけ!!“奴”、ルイ・スベアと“例の少年”、ノイ・クローゼ、この二人を見失うな!」
ライクの気迫のある言葉に、全員に緊張が走る。
ベルバーは気合が入ったようだ。先程とは違い、真剣な眼差しでこちらを見ている。
全員の顔を見渡し、深呼吸を一つし、また声を大にして言った。
「気上年4年1ノ月3日、只今をもって、ライク・バスクの名をもって作戦命ずる。・・・開始せよ!!」
「はっ!」
ライクが右手を高々と振り上げるのと同時に、ライク以外の五人全員が飛び去った。
全員が行った後、ライクは考えた。長い時間を掛けて、深く……。