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第27話

めっさ遅い上に長くてごめんなさいm(__)m一応、そろそろ無理やり終わらせるつもりです。小説を書く時間が確保できないため自分的にも、一番はやはり読者の方々にもだらだらいくのは良くないと、自分で勝手に判断させていただきました。ラストまであと少し、このまま呼んでいただけたら幸いです。

 グラダが語り始めた今回の事の真相。

 この間ライクの手元に届いた手紙の内容は本当であり嘘であると言った父親、グラダは真実を語ると言い出した。

「わしがお前に送った手紙の内容は…もちろん覚えているな?」

 岩に腰かけたままグラダが顔を上げて問いかけると、イガードはゆっくり頷いた。持っていた剣を納め、グラダの向かいにある小さな岩に腰かける。

「あぁ、今回の事の発端はあなたと如月(きさらぎ) 史遠(しおん)が出会い、史遠から計画を持ちかけ、それをあなたは了承して手を貸した。史遠の計画はたしか…封印された自分の主人、ルイ・スベアを最終的には開放するってことだ。そのために、邪魔者を排除し同志を集める必要がある」

 グラダを見据えたまま話続けるライクだが、グラダはどこか別の場所を見たり、目をつむったりしていたが話しはちゃんと聞いてくれていることは分かる。

 ライクは一呼吸おいてまた直ぐに口を開いた。

「だから最初に天界から追放されたあなたを仲間に、そうすれば反精界派にも手伝わさせることができるから。次にブルニアルスを仲間に引き入れあなた方三人が中心になって動いた」

 一つ一つ、確認するように話すライクにグラダはうんうん、と頷いて返している。

「少し経ち、史遠があなたとブルニアルスに断りもなくルイを復活させた。そして全てを知った希龍家を魔物を使い滅亡に追いやり…私たちが介入してきたと」

 ライクが言葉を切ると、グラダがにっこりと笑みを息子に向けた。

「さすがだな、そうだ。わしが手紙に書いたのはその内容。だが真実は違う」

「それは?」

 ライクは身を乗り出して父親の言葉に耳を傾けた。グラダは続けた。

「わしは確かに史遠に会って計画を聞かされた。だが、わしは条件つきで史遠の計画に協力することに決めたんじゃよ」

「条件?」

 聞き返したライクにしっかりと頷くと、更に続けた。

「期限はわしが息子に会うときまで、それまでしか協力せん。もし、息子に会うとき、わしの力がほしければ力ずくでわしを従わせてみろ。とな」

「…あなたらしくない条件だ」

 ライクは今まで、父親であるグラダは自分を見てくれていないと思っていた。自分の欲ために行動するグラダを幼いライクは冷めた目でしか見れなかった。

 高位にいる彼をいくら周りの者が羨ましがろうと、そんなもの家族として、息子として存在している自分には―。

「確かにの…だが、わしは一度罪を犯した犯罪者。この世の真理を知るために逃げてきた。いまだ真理は知ることができていないが、今回の真相だけは誰かに伝えなければならない、最後は人らしくありたい…そう思ったのだよ」

 ますますライクは分からなくなった。傷付いた自分の地位を補修するために言ったのか、それとも本当に心からそう思い、言っているのか。

「自ら密偵になった。ということですか? だが、ことの真相を話すのは私でなくても良かったはず、先に捕まえたイガードでも良かった。彼は雷良(らいら)を使い外に伝達することができることをあなたは知っていた」

 更に彼を試すかのように追求した。

 そして分からなくなっていた。今まで理解できなかった彼を自分は理解しようとしているのか、否か。

 彼に聞きながらも自問自答している自分がいる。

「…わしがどんなに訴えようともそれを信じる者は限られる。一番信じてくれる可能性があったのは自分の息子しかいないと思ったからな」

「……」

 複雑な表情を浮かべる息子にグラダはまた笑みを浮かべた。彼の心が読み取れない―。

「さて、次の話をしようか。ルイは未だ復活していない」

「え…?」

 急に話を進め、切り出したグラダの言葉に聞き間違いなのでは。という思いから聞き返すように言葉を発した。

「イガード君が捕まる前に一度、塔に来たな? その時彼はルイを見たはずじゃ、しかし、そいつはルイじゃなかったんじゃよ」

 それは、自分の出した結果に自信があったから。

「ルイじゃない? 外見は全て一致したと…」

「外見だけ一致してルイだと判断したのか? 面白いな…近くには史遠がいることを忘れてたのか?」

「……」

 自分の判断に自信はあったが、グラダに言われて何か引っ掛かるものを感じた。

 何故、史遠の名が出たのか。そして自分は何故、史遠という名を聞いて引っ掛かりを感じたのか。

「史遠の能力は『パペット』、人を操る力。そしてもう一つある」

「! 『マリオネット』か! 普電からはその可能性があると言われたが、それは一時的なものかと…」

 グラダの誘導によって導きだせた答。不服だが、彼の誘導がなかったらなかなか導きだせなかったと思えた。

 史遠が使う『マリオネット』という術は一番気をつけなければならないモノだった。しかし、先に『パペット』を使われたため、普電に言われるまで気付くことができなかった。

 ―いや、気付きたくなかったのだ。『マリオネット』という術はまだ対処方法がわからない術なのだ。だから、そうだと気付いたら急激に濃い不安がココロを支配すると知っていたから。怖れていた。

「そう、人形(ひとがた)を造り、それを操る『マリオネット』。これを史遠は使い、ルイそっくりの人形を造ってブルニアルスに仲間、兵士になるよう言ったのだよ。ブルニアルスはルイの命令ならなんでも従うからの…」

 グラダの言葉に、ライクのココロには不安とは別のモノが新たに現れた。

「ブルニアルスとは何者なんです?」

 この質問にグラダは眉間に皺を寄せ、ため息を吐いた。

「敵に関する情報は手に入れていないのか?」

「…すみません」

 グラダの言葉に何故か頭にきたライクは不服そうに謝った。悪いのは自分だ、それは理解している。

 頭で理解していても心はついていかない。彼は今、思春期の子供のように素直になれない大人、といったようなものだろうか。

「まぁ、良い。ブルニアルスは半魚人族(はんぎょじんぞく)でな、魔族に分類される種族なんじゃ」

 先程よりは冷静に言葉を受け止め、頷いた。

「彼が半魚人族ならイガードが負けたのは納得できる…あの強さにも」

 そう、イガードはブルニアルスに戦闘不能の直前まで追い込まれ事実上の敗北をし、また、ライクは普電と共に戦ったがかなり強かった。普電の矢を見ずに踏みつけ、特有の槍術で自分達を追い込んだ。イガード以上の槍の使い手。

 彼が半魚人族なら全てに納得がいく。

「そして彼は、半魚人族の最後の一人」

「最後の…末裔ですか」

「何故、半魚人族が彼一人になったのか知りたくないか?」

 気になるフレーズを繰り返すように呟くと、それに応えるようにグラダはにやり、と笑って尋ねた。

 それにライクは思わず身を乗り出して問い返した。

「まさか、ルイが!?」

「あぁ、だが実際にはルイではなく史遠だ。やつがルイの指示なくやった。まぁ、ルイはまだ復活しておらんからルイからの指示はない。確実に史遠の独断だの」

「半魚人族への襲撃理由は何なんです?」

「史遠は、邪魔者を排除した。とだけ言っていた。確かに、戦闘部族と呼ばれる半魚人族の魔力は強大だった。下手すれば、自分達は一掃されてしまう。だが、実際の狙いは違うとわしは思っとる。やつは何も知らない幼いブルニアルスをこちらの手駒とするべく、彼以外の半魚人族を殺しルイの言うことを聞くようにしつけた」

「ルイに忠実なホントの『マリオネット―操り人形―』ということか」

 しつけとの言葉は、本当にブルニアルスのことを駒の一つとしか見ていない証拠だと、ライクは思ったが、口には出さなかった。

 グラダから話された今回の事の真実。信じられるか否かと問われたら否、とライクは答えるだろう。一般的に証拠のない情報は信じられない。

 だが、有益な情報であると問われたらYesとライクは言う。真実味があるなら今後、調べる価値があるからだ。

「息子よ」

 いろいろと考えていると、グラダから声が掛けられた。

 前を見ると、ライクに因果の、鞘から抜けている自分の剣を突き渡しているグラダが居た。

「わしを捕まえるなり、殺すなり好きにしろ」

 息子、ライクはどのような判決を父親に下すのか。

父親の剣を手にとったライクの表情は喜びも哀しみも恐れもなく、ただ冷静だった。


仕事と勉強が落ち着くまで、チャージ本編、チャージ精霊編が終わったら短編のみでいこうと思います。落ち着いたらチャージのサイドストーリーを書いていきますので。

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