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第9話

長い間お待たせしました!(誰も待っていないのに言ってみました!《笑》)ではでは、読んでいただけたら幸いです。

「ライク、ファストからです。イガードは仕事に戻ったそうです」

「そうか・・・心配だな。ファストの進行状況は?」

「一つ目の大陸は終わったと書かれています」

「すぐ終わるな・・・早急に小精霊をイガードの元に、何かあったら困るからな」

「はい」

 広々とした部屋にライクとバルタルの二人は走りまわっていた。いかにも人手が足りなさそうだ。

 バルタルは地上に行っている仲間からの連絡を取り持っていた。他はライクの手助けをしている。ライクは過去の資料を引っ張りだし今後の進路などを推測し、皆に指示を出している。

「ベルバーから報告がきました」

「何か変化はあったのか?」

「それが・・・」

 バルタルは顔を曇らせだ。

「少年ノイと少女アイラの仲が思わしくないと、」

「具体的には何か書いてないのか!?」

「完全に喧嘩をしているとのことでして、このままでは二人で旅には・・・」

「わかっている!!」

 苛立っていたのだろう、ライクはバルタルに怒鳴ってしまった。

「・・・すまない。本当はこんなことをしている場合じゃないということはわかっているんだが、」

 我に返ったライクはバルタルに背を向ける。今日のライクの背中は小さく見えた。

「私は大丈夫です、貴方がいまどんな立場に居るのかも承知の上でここにいます。ライク、少し休まれたらどうです?」

「大丈夫だ」

「・・・はい、何か悩みがあるなら私でよければ話してください」

 直ぐに返された言葉はどこか寂しげで頼りなく聞こえた。

 バルタルはゆっくりと足を動かす。 とっ 背中に何かが当たった。いや、寄り掛かってきた。

 その重みが誰のものかはすぐにわかった、鼓動が段々と速くなる。

「あっあの、ライク?どうしたの?」

「ごめん、しばらくこのままで居てくれないか?」

「・・・はい」

 背中で彼が震えているのがわかった。けれど何をすれば彼が休まるのかがわからないため、その場に居続けることしかできなかった。

「こんなこと言ってくれたのは君が初めてだよ、・・・ずっと、プレッシャーというか、隊長っていう肩書きに重いものを感じて押しつぶされそうだった、苦しかった。それだけでもキツイのに部隊長統括にまで選ばれて、見た目だけで決められて。すがってくる奴も何人もいた。そんなのが重なって、僕は何なのか分からなくなって、頼れる人がいなかった」

 ライクの言葉は小さく、震えている。言葉の一つ一つが重かった。

「頼る人がいないなんて言わないでください。私がいるじゃないですか、私が部隊長になったのはただ単になりたかったわけじゃないんです。あなたを支える存在になりたかったんです。これからは私を頼れる存在にしてください」

「ありがとう・・・」

 微かだが彼が笑った気がした。

「本当はサンダーとも仲良くなりたかったが昇格の試験で色々あったから」

 いつもは大きな存在の彼。今は小さく、今にも壊れてしまいそうなくらいスカスカだ。

「何だか君と居ると落ち着くな。なんでも話せてしまうし、」

「・・・嘘でもそう言っていただけて嬉しいです」

「嘘じゃないよ・・・」

 二人の間に時間というものが無くなった。すべてが止まり、胸の鼓動だけが進む。

 ふっ と背中が軽くなる。後ろを振り替えると伸びをしているイガードの姿が見えた。

「さぁ、仕事に戻ろうか」

「はい」

 振り替ったそこにはいつものライクの姿があった。

「できたらまた聞いてくれる?」

「言ったじゃないですか、私は貴方を支えるためにここまできたんだって」

「そうだったね」

 広い部屋の中で二人だけの話し合いがまた始まる。



 時を待っているカレンの下に四人の若者が現われた。一人は青年。あとの三人は少女、という構成。

「そなた達は何を求めて来た?」

 カレンの言葉に最初に口を開いたのは少女。茶髪でウェーブのかかったショートヘアー。第一印象は・・・

「私はスズネ。スズネ・カミューといいます!」

 そう!活発というか、元気がいい。っていうかんじだ。次に口を開いたのは小さな女の子。

「こんにちわファイヤー様!私の名前はアリス・ストカーヌっていうの!よろしくです」 この子は笑顔が可愛い、思わずこちらまで笑顔になってしまう。質素だが子供らしい服がまた可愛い。

「私はリン・ストカーヌと申します」

 名前からして先程のアリスとは姉妹か何かなんだろう、だが顔は全然似ていないし、常識もなっているようだ。この中で一番まともそうなのが言葉を交わして分かる。

「オレはカイド・K・シェインド。ってか眠・・・」

 非常識極まりないのはこの中で唯一の異性。目はすでに半分瞑っている。弓使いなのだろう。背負っている弓矢を邪魔にしながら立っている。

「私達の守護精霊になってください!」

「は・・・?」

 前置きもなくすぐに本題に入ったスズネの言葉に、反射的聞き返してしまった。

「すみません!実は、私たちの村は今ひどい状態なんです。近くで魔物と王国軍の衝突があり、私たちの村は作物が育つような土地ではなくなってしまいました。もちろん、人が住むような場所でも。そこでファイヤー様にお力をお借りしたいと思いましてここまで来ました」

「・・・わかった。事情は大体理解できたが、協力することはでない」

「「!!」」

「何故ですか!?ファイヤー様!!私達ではダメなんですか!?」

「違う。村を救いたい。その気持ちはわかる。手伝ってはあげたいとは思うが、強大な力が手にはいっても必ずしもプラスの方向に事が進むとは言い切れん。だからと言って気持ちだけではできることは限られてしまう。そこでそなた達四人に『精霊の卵』をお渡ししする」

「『精霊の卵』ですか・・・?」

「あぁ」

 カレンが上空から何かを降ろす仕草をするとどこからか赤・青・黄・白の小さな珠が現われる。

 赤い珠はスズネの前に、青い珠はリン、黄の珠はカイド、白い珠はアリスの前にそれぞれ舞い降りる。手を差し出すとそれはゆっくりと降りる。珠は弾けると小さな精霊が現われた。

「彼らは『四神』。今はまだ何も出来ない精霊達だが、必ずそなた達の力になるはずだ。この子達を育ててはくれないか?」

「はい!よろこんで!」

 スズネが元気に答えてくれたがカイトが口を挟む。

「だが、肝心の村のことが何も・・・」

「今回の村のことは私達精霊で対処しよう」

「ありがとうございます!!」

「次からはそなた達が守るのだぞ?」

「はい!」

 若者の四人はそれぞれの『精霊の卵』、『四神』を連れて歩きだす。

 スズネは朱雀を、カイドは玄武、リンは青竜、アリスは白虎を。

カレンはまた精霊達に仕事を伝え、また時がくるのを待つ。

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