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というわけで、俺の叫びで中にいた人たちがわらわらと集まってきた。見慣れた顔が俺を見て笑っている。ほとんどが五十を過ぎている。彼らは実際に奴らの襲撃を受けた生き証人なのだ。そして祖父と同じ炎を抱えている。
彼らは全員が全員技術士だったわけではない。例の事件より祖父を中心に集まり、そこから学び始めた人たちの方が多い。支援してくれている機関の方もそうだ。お年をめした人たちが多い。
逆に俺や松田さんのような若年層の人間は少ない。それも仕方ないのだ。戦争を経験した人としてない人の価値観が違うように、あれを経験した彼らと経験していない俺たちも違うのだ。
「おお、翔じゃないか」
従業員たちを掻き分け、後ろから祖父が現れた。すっかり白く薄くなった頭だけを見ると、とても頼りなく感じるが、顔は七十を超えているとは思えないほど生気が溢れている。身長は百八十あるぐらいの長身で力仕事をしてきたからか、筋肉は衰えを見せていない。
コリーは祖父の姿を見つけると、彼の足元で座って待機し、尻尾を左右に激しく動かしている。
「だいぶ出来上がってきたんだね」
「まだ試作品段階だけどな。ここまで形になった。やっとここまで来たんだ」
あれから五十年、途方に暮れるような月日である。それだけの年月をかけて、やっと一筋の希望を見出したのだ。挫折もあっただろう。それを乗り切ってきた祖父の偉大さはとてもじゃないが計り知れない。
「本当に、これで倒せるの?」
「なんだ? 興味あるのか?」
興味がないといえば、嘘になる。物心ついた頃から開発の過程を見てきた。幼少期から、ずっと俺も憧れでもある。乗れるなら一度でいいから乗ってみたい。
俺が頷くと、祖父は嬉しそうに俺の頭を乱暴に撫でた。この乱暴な撫で方も大好きだった。
「付いてこい。詳しく操作の仕方を教えよう」
取り敢えず、プロローグが終わりました。
遅くなってすみません。もう少し、早く更新できたらよかったんですが、色々うだうだしているうちにこんなことになってしまいました。
次の章から、本格的に話が進みます。
よろしくお願い致します。