第一章 出会い
それから一週間が経った。
入学式の喧騒が落ち着き、学内も少しずつ日常を取り戻していく。
青日もまた講義と移動を繰り返す生活に慣れ始めていた。
妖が視えることは、変わらない。
ただ、ここ京都だと数は明らかに少ない。
その理由は青日には詳しくわかっていないが、おそらく神社仏閣が点在するこの町では、
妖たちの動きがどこか慎重にみえた。
東京では、帰宅途中に付きまとわれることは少なくなかった。
青日以外は視えていない。
それは、他人の目から見たら青日は奇妙な動きをしていることになる。
"バスケ出来なくておかしくなった"
自他ともに認めるバスケ一筋だった青日は周りにそう思われていた。
『ーーーここなら、やっていける』
そう思い始めていたのは、確かだった。
昼休み
人の多い食堂を避け、青日は校内を歩いていた。
講義棟とは別の、サークル棟や学内の備品などが置いてある別棟があることに数日前から気づいていた。
そこは人の気配が薄い。
それなのに、不思議と不安はなく引き寄せられるようにその棟へ足を踏み入れた。
そして、踏み入れて確信したのはここは妖の気配がかなり薄い。
静かな廊下に青日は無意識に息を吸い込んだ。
一階は人の通りが多いだろうと、入って目の前にある階段を上がる。
この別棟は三階建てで三階のまで上がると、人の気配がまったくなくなった。
ーーー静かだな
耳鳴りのように常に感じていた"気配"がここでは感じない。
教室の扉はすべて施錠されており、入ることが出来なかった為日差しの入り込む窓際で
青日は腰を下ろした・
壁に背中を預けると、張り詰めていたものが少しだけ緩む。
ーーー事故の後、こんな風に何も感じずにいられる場所は神社以外になかった。
それからというもの、青日は昼休みや講義の合間、放課後はこの棟で過ごすことを選んだ。
三階のここは、いつ来ても誰もいない。
そして、妖も出ない、こない。
まるでここだけが、世界から切り離されているようだった。
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