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第一章 出会い
妖は何故か、神社や寺の敷地内には入って来なかった。
たまたま高校の近くにある、無人の小さな神社に逃げたことがきっかけで知ることが出来た。
しつこく付きまとわれる時は、そのまま神社で時間を潰し妖が居なくなった頃に急いで帰宅する。
理由はわからないが、確かに妖の中で一線があるようだった。
神社や仏閣が多いことで知られる、京都。
何かあれば逃げ込める場所は東京よりも多い。
構内を歩きながら、青日は目線を下げる。その際に、朝整えていた前髪が目元にかかる。
艶のある黒髪は短く切っているが、下を向くとどうしても視界に触れてくる。
青日は小さく息を吐き、指先で髪を払いのけた。
人の気配と妖の気配が混じっている。青日にはもう、人なのか妖なのか見分けがついていない。
人の形をしていない妖は悪戯するか、青日をみて逃げるかで害があることは少ない。
青日が一番警戒してるのは、人の形をした妖だ。
一度困っていると思い声を掛けたら、隣の友人は視えていなかった。
その時から、青日は無暗に声をかけることをやめた。
そして人の形をした妖は、知恵もある。
人込みを抜けるように足早に、校舎へ向かった。




