賞味期限切れの「純愛?」
鏡の中の私は、今日も「いい子」の顔をしている。
口角を数ミリ上げ、瞳に偽物の光を灯す。
アイビスのキャンバスを塗りつぶすみたいに、真っ黒な本心をパステルの絵具で隠すのは、もう慣れっこだった。
「愛してるよ」
スマホの画面に浮かんだその五文字を見て、喉の奥からせり上がるような笑いが漏れた。
愛?
そんな安っぽい言葉で、私を縛れると思っているの、?
あなたの言う愛は、コンビニの棚に並んだデザートみたい。
甘くて、誰にでも買えて、すぐに賞味期限が切れる。
でも、私の愛は違う。
私の愛は、地下室の隅に溜まった澱のようなもの。
あなたの呼吸、あなたの指先のささくれ、私以外に向けた無意味な微笑み。
そのすべてを瓶に詰めて、永遠に腐らせておきたい。
昨日、あなたが別の誰かと笑っていた時、私の心の中では真っ赤なインクが派手に弾けた。
ねえ、知ってる?
神様の子どもだって、嫉妬で指先が震えることもあるんだよ。
アイドルみたいに可愛く振る舞ってあげている今のうちに、全部捨てて私のところへ来ればいいのに。
逃げようとしても無駄だよ。
あなたの影には、もう私の執着がべったりと張り付いているから。
次に目が合った時、あなたの瞳に映るのは「いい子」の私じゃない。
あなたのすべてを飲み込んで、二度と外に出さない、本当の私。
「……ねえ、今すぐ死んで、もう一回私に捕まってよ」
私はスマホの電源を切り、暗くなった画面に映る、歪んだ自分の笑顔を見つめた。




