第41話・大暴走<スタンピード>②
【1月17日7時00分――対策本部移設開始】
対策本部予定地までの主要資材はドローンで空輸されていく。
それ以外の装備や物資は、車両の通行が困難なためハンターたちが各自背負って運搬していく。
朝の冷たい空気の中、山道を進んでいた。
【同日8時00分――皆方高校生徒・職員、秋保ゲート集合】
「まさか、大暴走に駆り出されるなんてね」
「ホントにね.....」
「いやぁ、ワクワクするなぁ!!」
呑気に笑う環太に、翔馬と真は同時にジト目を向けた。
秋保ゲート前には、生徒たちが集まっていて、まだどこか大規模な課外授業のような浮ついた空気が漂っていた。
管理棟の近くでは、衣笠校長と鳴尾支部長が言葉を交わしていた。
「衣笠さん、お久しぶりです。」
「鳴尾くん、お久しぶりですね、......いや、今は鳴尾支部長と言った方がいいかな」
「やめてくださいよ。二人の時は今まで通りでいいですよ」
「そういうことにしておきましょう」
軽く笑い合いながらも、互いの表情は硬い。
「それより……すみません。大事な生徒さんを、こんな場所に立たせることになって」
「謝らないでください」
衣笠は即答した。
「この子たちは、ハンターになると決めた時点で、いずれこういう場に立つ運命です。それが早いか、遅いか、ただそれだけの違いですよ」
鳴尾は深く頭を下げた。
「ありがとうございます」
「それでは、始めましょう」
衣笠は、生徒たちの前に設けられた簡易台へと上がる。
「えー、みなさん」
その一言で、先ほどまで騒がしかった生徒たちの声が一瞬で消えた。
「これより、鳴尾ハンター協会・宮城県支部支部長より、今回の任務についてお話しいただきます」
衣笠と入れ替わるように、鳴尾が前に立つ。
「宮城支部長の鳴尾だ。知っての通り、このゲートの向こうには魔獣が溢れている。正直に言うと、若い君たちに頼まなくてはいけないことは大変心苦しい。だが、今君たちの力が必要だ。君たちには主に、補給物資の搬送など、後方支援を任せたい。最前線のような危険はないはずだ。どうか、君たちの力を貸してくれ。よろしく頼む」
鳴尾は頭を下げざわめきが起こる中、衣笠が再び台の上に上がった。
「一つ言っておきます」
声のトーンが変わる。
「鳴尾支部長は危険はないと言いました.....ですが、気を抜けば、ここでは簡単に死にます」
その瞬間、生徒たちの背筋に冷たいものが走った。
「これは課外学習ではありません。本物の戦いです。ここは戦場。そしてこの戦いの結果次第で、宮城と山形の未来が左右される」
衣笠は、生徒一人ひとりを見渡す。
「覚悟のない者は、今すぐ引き返しなさい。以上です」
衣笠が台から降りると鳴尾は顔を引きつらせていた。
「衣笠さん、脅しすぎちゃないですか?」
「そうですか?やっぱり死の危険と隣り合わせだということぐらい言っておかないとあの子たちのためになりませんよ」
「はぁ、スパルタですね」
「現実はもっと残酷ですからね」
その後、戦技祭の決勝に立った6人が呼び出された。
「来ましたね」
「校長、何用だ?」
相手が校長であっても物怖じせず、腕を組んで問いかける政美。
「用があるのは、支部長の方ですよ」
鳴尾が、真剣な眼差しで6人を凝視した。
「君たち6人には、後方支援ではなく、殲滅部隊に加わってもらいたい」
「えっ!?」
翔馬が素っ頓狂な声を上げた。
周囲の視線に気づき、慌てて口を押さえる。
「す、すみません」
「驚くのは無理もないな」
鳴尾が頷く。
「衣笠校長から話を聞いていたし、君たちの決勝の映像は見させてもらった。高校生がやる戦いではなかった。Bランク以上のプロと遜色ないその力、前線で振るってくれないか」
「「はい!!」」
迷いのない返事が重なった。
だが、その中で翔馬だけは、戸惑いを隠せないまま小さく頷くのが精一杯だった。
【同日9時00分――対策本部設置完了】
【同日9時15分――対策本部内にて対策会議開始】
簡易テント内。
関係者が集う中、偵察から戻ったハンターが立つ。
「それでは、報告を」
「はい、映像と共に報告いたしますのでお手元のタブレットをご覧ください」
タブレットに映像が映し出される。
「まず侵入したのは入口を塞いでいる瓦礫の上部からです。洞窟内の高さは約10メートル。入口付近には危険度が低く、小さい魔獣ばかりなので瓦礫をどかし外に出る可能性は低いと思われます」
映像が進む。
「洞窟は迷路上になっています。そして、最奥に巨大な魔獣を確認しました」
映った魔獣は、巨大な狼型。
だが、たてがみがなびくほどの長さと長く鋭利な爪を持っていた。
「......こいつが今回の原因か?」
「断定はできませんが......」
鳴尾は短く息を吐いた。
「最悪な事態だったようだな。突入部隊を編成する。隊長は、諏訪尊。メンバーについては尊に任せる」
「了解。じゃあ......真たち連れてっていいか?」
尊の言葉に、その場が一瞬止まった。
「......真ってお前の息子だよな?」
「そうだ」
「そうだ、じゃなくて......確かにお前の息子の実力は分かっているつもりだ。だが、高校生だぞ」
「でも、鳴尾さんが真たちを前線で戦わせようとしてるのは知ってんだよ」
鳴尾は、黙り込む。
「それに......ただの勘なんだけど」
「勘?」
「あの子たち、今までのハンターと何かが違う。何がとは言えませんけどね......」
やがて鳴尾は、ゆっくりと頷いた。
「......分かった。任せる。本部やら世間から批判が出たら、俺が責任を取ってやる」
尊はニヤリと笑った。
「さすが、鳴尾さん。そのお返しに、あのデカブツの首を獲ってきますよ」
この度は読んでいただきありがとうございます。
この作品は、構成、文章を先に考え細かい描写等に関してはAIにて修正しています。
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