第39話・災厄の始まり!!
【征歴2046年1月16日8時29分】
秋保ゲート横の管理棟。
管理室内のモニターに無視できない異変が起こっていた。
「所長、点が......増え始めています」
冷静ではあるが動揺を含んだオペレーターの声。
秋保ゲート所長・栗生が、背後から身を乗り出す。
モニターに映る赤い点。
それは、山形との県境に近い山間部を中心に、小さなものから大きなものまで、ポツポツと数を増やしていた。
「この増え方……自然発生の範疇を超えているな」
「はい」
「この位置だと、山寺ゲートの方が近いか?」
発生地点は、秋保ゲートから約10キロ。
山寺ゲートから約8キロ。
「若干ですが、そうですね」
「わかった」
【同日8時31分――秋保ゲート所長、山寺ゲート所長へ連絡】
『......こちら山寺ゲート所長、天道』
モニターに映る山寺ゲートの所長、天道。
「栗生だ。天道。そちらでも点は確認はできているのか?」
『あぁ......確認している。正直、あまり悪いことは思いたくないのだが......』
「同感だ......大暴走の可能性が高いな」
『こちらで偵察ドローンを出している。現場付近に到達次第、映像を共有する』
「頼む......こちらもすぐ動けるよう協会へ連絡へ入れておく」
『こちらも同様だ』
「それでは連絡を待っている」
【同日8時38分――秋保、山寺両所長、ハンター協会宮城、山形両支部へ初期報告】
【同日8時40分――ハンター協会宮城、山形両支部長よりハンター協会本部へ初期報告】
【同日8時50分――各所オンライン会議開始】
【同日8時57分――偵察ドローン現場到着】
秋保・山寺の両ゲート、宮城・山形の両支部、そして、ハンター協会本部がオンラインで結ばれドローンの映像が共有された。
森が開け、絶壁が聳え立つ岩壁の麓。
そこには、数え切れないほどの魔獣が黒い絨毯のように蠢き、不気味な咆哮を上げながらひしめき合っていた。
「あらぁ......ずいぶん、いるねぇ」
軽い口調でそう言ったのは、金髪で二十代前半にも見える男。
ハンター協会会長・成宮星。
「画面左下の方をアップできる?」
指示に従い映像が拡大される。
そこには、口を開けた洞窟がはっきりと映っていた。
「あの洞穴から魔獣が湧き出しているね」
「......間違いありません」
答えたのは、宮城県支部・支部長の鳴尾大輔。
「完全に大暴走だねぇ、これ」
「速やかに対策本部を設置し県内に在住しているBランク以上に緊急招集をかけます」
「そうしてくれ。発生地点は宮城だったな」
「はい」
「では、宮城支部長を本部長として、宮城・山形合同の大暴走対策本部を設置」
「了解」
「政府と両県知事へは私から連絡しておく」
「お願いします」
成宮は一瞬だけ、映像に視線を戻し――
「……幸いなのは、まだ移動を始めていないこと、かな」
その言葉は、希望にも、猶予にも聞こえた。
【同日9時15分――ハンター協会会長、政府、宮城・山形両県知事へオンラインにて緊急連絡】
「これが大暴走!?」
ドローン映像を前に、宮城県知事・室井が声を荒げる。
「はい。ご覧の通り、洞窟から魔獣が発生しています。現在、対策本部設置とBランク以上のハンターに緊急招集を進めています」
「報告は分かりました。迅速に大暴走の殲滅に対処してください」
冷静に言葉を発したのは、ショートカットに鋭い眼差しを持つ女性、鷹藤内閣総理大臣。
「承知いたしました」
「この後、政府として緊急会見を行い情報は国民へ即時公開します」
「「承知いたしました」」
【同日9時20分――秋保ゲート、山寺ゲートに対策本部設置開始】
【同日同時間――県内在住Bランク以上のハンターへ緊急招集連絡】
諏訪宅。
リビングでくつろいでいた尊のスマートフォンが、甲高い警告音を鳴らした。
その音だけで、尊の表情が一変する。
画面を確認し、無言で立ち上がる。
次の瞬間には、出発の準備を始めていた。
【同日9時30分――政府、緊急会見。全国生中継】
「急遽お集まりいただきありがとうございます」
壇上に立つ鷹藤首相へ、無数のフラッシュが浴びせられる。
だが、その表情は微動だにしない。
「本日8時29分、宮城県と山形県の県境付近において、魔獣の異常な発生を確認。8時57分、偵察ドローンの映像により、ハンター協会が大暴走と認定しました」
会場がざわめく。
「既にハンター協会により対策本部設置し、対応を開始しています。国民の皆様、特に宮城県、山形県の皆様には不安にならず、可能な限り普段通りの生活をしていただければと思います」
一拍置き、続ける。
「また、【魔獣化野生動物対策及び治安回復特別措置法】第24条に基づき、当該地域への報道および一般人の接近を禁止いたします」
「総理、住宅地への影響は?」
「はい、現在発生地から移動していないことを確認していますので影響はございません」
大暴走発生。
その言葉と同時にテレビ、ネット、速報が、日本中を駆け巡った。
そして、これは、まだ始まりにすぎなかった。
この度は読んでいただきありがとうございます。
この作品は、構成、文章を先に考え細かい描写等に関してはAIにて修正しています。
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