第37話・女帝と狂乱姫【戦技祭⑩】
『さぁ、皆様。戦技祭もとうとう最後の試合となりました。勝った方が優勝です!......それでは大将戦、選手の入場です!!』
アナウンスが絶叫し、闘技場のボルテージは一気に最高潮へ達する。
『まずは、東のゲートより三年!伊達ぇ、政美ぃ!!』
政美が威風堂々と現れた。
その身にまとうオーラだけで、空気が震えているかのようだった。
『続いて、西のゲートより三年!黒見ぃ、瑠奈ぁ!!』
背にバックパックを背負い、巨大なライフルを肩にかけた瑠奈が登場する。
茶色がかったボブヘアをなびかせ、静かに歩き出した。
「瑠奈......こうして戦うのは最後かもしれないな」
「そうね。政美、あなたと戦うのは本当に楽しかったわ」
「私もだ」
二人は、マスクを装着し構えた。
『大将戦!......始めぇぇ!!』
合図と同時に、瑠奈のライフルが火を噴いた。
だが、政美はそれを一本の刀で、まるで見えるかのように全て叩き落としていく。
その攻防が続くこと15分。
最初は異次元の攻防に沸いていた会場も、あまりに拮抗しすぎた攻防に、次第に静まり返っていく。
「巧さん」
「ん?」
「凄いってのは分かるんですけど......」
「......戦況が変わらないから飽きてきた?」
「えーっと......そうですね......」
「観客も同じだね」
翔馬は頷き、ふと疑問を口にする。
「一つ疑問があるんですけど......」
「瑠奈さんの弾数......かな?」
「はい。あれだけ撃って、どこから......」
「あのリュックとライフル、コードで繋がってるでしょ?」
「はい」
「あれで補給されてるんだよ」
「あ、なるほど......しかし、決着つくんですかね?」
「そうだねぇ......こればっかりはわかりません!!」
腕を組みドヤ顔で言う巧。
「そんなドヤ顔で言われても......」
「一つ言えるのは......このままじゃ終わらないってのは、あの二人が一番分かってる。だから、そのうち動き出すよ」
その言葉通り......動き出した。
瑠奈は、突如上空に向かって数発ゴム弾を撃ち放った。
「......えっ?」
という観客席から戸惑いの声。
その一瞬の隙を突き、政美が距離を詰めようとする。
だが、瑠奈は即座に政美へ射撃を再開。
政美は立ち止まり、その場で撃ち落とす。
「あれって、何のために......」
翔馬の疑問は、すぐに答えを見せられた。
落下してきたゴム弾に、瑠奈が撃ったゴム弾が命中。
弾道が変わり、二発が不規則な軌道で政美へ向かう。
一発は落とすが、もう一発が.....。
ピッ。
ヒット判定音。
闘技場が一気に沸き立つ。
さらに、落下弾を利用した追撃。
神業じみた射撃が続き、立て続けにヒット判定が入り合計5。
「……っ!」
翔馬は言葉を失った。
「何やってるんですか……あの人」
「いやぁ……あれは僕も初めて見た。やっぱり、とんでもないね」
政美は悟った。
真正面からでは、勝てない。
次の瞬間、動きが変わる。
回避に徹した高速移動。
瑠奈の射撃ですら、追いつかなくなっていく。
「.....さすがだわ、政美......あなたのことだから真っ向勝負で来るのは分かってたけど......それを捨てる覚悟も、あなたは持っている」
瑠奈はライフルを投げ捨て、リュックから大型拳銃を二丁引き抜き両手に構える。
その瞬間――空気が一変した。
「さぁ......ここからが本番だよ」
銃声の嵐。
政美は側転、前宙でかわし続ける。
観客席は再び熱狂する――だが、最も視線を集めていたのは瑠奈の姿だった。
「あーっははははは!! 」
狂ったように笑いながら、二丁の拳銃で弾丸をばら撒いていた。
「えっと......何ですか?あれ?」
翔馬は呆然とつぶやき、その隣で腹を抱えて笑っている巧。
「瑠奈さん、【精密機械】って言われてるけどもう一つ、二つ名があるんだよ......【狂乱姫】っていう」
「......狂乱姫?......なんか嫌ですね」
「でも、あの姿見たら納得でしょ?」
「……確かに。最早別人ですね」
政美は、弧を描くように距離を詰め、一撃。
瑠奈は、逃げるながらも反撃。
瑠奈を追い、攻撃を入れる政美。
逃げながらも撃つ瑠奈。
政美の攻撃の方が少し速く、互いにヒット判定を積み上げ両者同時に9になっていた。
あと一撃どちらかが先に攻撃を与えれば終わる。
そして、同時に放たれた、最後の一手。
ピッ。
ピッ。
二つの判定音が、重なった。
静まり返る闘技場。
『......勝者は』
一拍。
『二人!両チーム、優勝とする!!』
生徒会長・明石の宣言に、会場は歓声とどよめきに包まれた。
こうして、戦技祭史上初となる2チーム同時優勝が刻まれたのだった。
この度は読んでいただきありがとうございます。
この作品は、構成、文章を先に考え細かい描写等に関してはAIにて修正しています。
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