第35話・サイレントキラー 対 英雄の子【戦技祭⑧】
真は、右手の拳銃の引き金を引いた。
放たれたゴム弾は一直線に翔馬へ――
だが、その軌道上に割り込むように、翔馬の弾丸が叩き込まれる。
――弾と弾が衝突し、真のゴム弾は、明後日の方向へ。
だが翔馬のゴム弾は、そのまま真へ迫る。
「っ……!」
真は即座に剣を振るい、ゴム弾を薙ぎ払った。
(弾丸を空中で迎撃するなんて……流石だよ、翔馬くん。やっぱり拳銃とショットガンの大きさが違うよな)
内心で感嘆しながら、真は引き金を引き続ける。
同時に、間合いを詰めるため足を運ぶ。
だが――
二丁のショットガンから放たれる連弾が、真の前進を許さなかった。
(近づけない……!?ショットガンで、なんでこんな連射が……)
疑問が頭をよぎるのも無理はない。
通常、ショットガンはポンプアクション方式。
使用済みの弾薬を排出し、新たな弾を装填するには、両手での操作が必要だ。
弾の補充も同様。
一発一発、弾倉へ装填しなければならない。
――つまり、片手運用など不可能。
だが、翔馬が見つけたショットガンは違った。
引き金を引き続けるだけで、次弾が自動装填され補充は箱型弾倉式。
腰に装着された交換ユニットに銃を一瞬差し込むだけで、弾倉が瞬時に入れ替わる構造だ。
「翔馬くん......その姿、相手にすると本当に厄介だよ」
真の言葉に、翔馬は返さない。
それは、【DEAD ARSENA[デッド・アーセナル]】をプレイしている時の翔馬。
サイレントキラーと呼ばれている翔馬の姿だった。
避けても、捌いても、次の一手を読まれ、真は何度も踏み込もうとするが、そのたびに弾幕が行く手を阻んでいた。
この攻防が続き――試合開始から、10分。
闘技場の歓声は、最高潮に達していた。
(......10分経っても、連弾が止まらない。弾切れしないの?)
真の焦りが募る。
滑らかな補充と装填。
翔馬のゲームで鍛えられた射撃技術は、確実に本物だった。
しかし、技術がどれだけ研ぎ澄まされいても、それを支える肉体には限界があった。
(あ......しまった)
運命の瞬間。
空になったマガジンを排出し、交換ユニットへ銃を差し込もうとした翔馬の左手が、わずかに震えた。
実物のショットガンの重量、そして射撃の反動。
それらが10分間、翔馬の手首と前腕の筋肉を確実に破壊し続けていたのだ。
リロードの失敗。
わずかコンマ数秒の空白。
「......そこだっ!」
真が、その隙を見逃すはずがなかった。
一気に間合いを詰めた真の、目にも留まらぬ10連撃。
「......っ!」
真の剣筋は、翔馬のスーツを確実に捉え、センサーがヒット判定の非情な電子音を鳴らした。
翔馬は、力なく片膝をつき両手の銃を地面に落とす。
『勝者ぁぁ!諏訪ぁ!真ぉ!』
闘技場を揺らすほどの大歓声の中、真は右腕を高く掲げた。
「翔馬くん、ナイスゲーム」
真が、爽やかな笑顔で手を差し出す。
「はは......もう腕を上げる力も残ってないよ」
翔馬は苦笑し、真の手を借りて立ち上がった。
敗因は明確だった。
身体能力だけは変わってない翔馬。
ゲームとは違い、実物のショットガンは重い。
その重さが、確実に腕を削っていた。
「もっとトレーニングを増やした方がいいね」
「うん......そうするよ」
二人はお互いの健闘を称え合い、会場は温かな拍手に包まれる。
ゲートへと戻る翔馬を、政美と巧が迎えた。
「すみませんでした」
「いやいや、面白い試合を見せてもらったよ」
「その通りだ、翔馬......ただし、身体はもっと鍛えようか」
「真くんにも言われました......そうします」
「よし、次は僕だね」
「頑張ってこい」
「はいはい」
『続いて、中堅戦の選手の入場です。東ゲートより、二年!片倉ぁ、巧ぉ!』
巧が観客に手を振りながら、軽やかな足取りで入場する。
『西ゲート、二年!神宮寺ぃ、かぐらぁ!』
凛とした佇まいで、かぐらが入場する。
「かぐらちゃん、手加減してくれると助かるんだけどなぁ」
「片倉さん、そんなこと出来るわけないじゃないですか」
口元に手を当て笑うかぐら。
だが、その瞳は笑ってはいない。
「ははは.....だよね」
巧の表情が、ふっと変わる。
「僕も手加減はしないよ」
「こちらも同じですわ」
闘技場の中央、二人は向かい合いマスクをかぶり刀を構えた。
『中堅戦.....始めぇぇ!!』
刀がぶつかり合う金属音が、闘技場に高く響き渡った。
この度は読んでいただきありがとうございます。
この作品は、構成、文章を先に考え細かい描写等に関してはAIにて修正しています。
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