第32話・この迷路、真面目にやる気あります?【戦技祭⑤】
【グループ3の皆さん、ご準備をお願いします】
体育館に、アナウンスが響き渡る。
「さぁ、行こうか」
「「はい」」
翔馬、政美、巧はスタート地点へと向かった。
【皆さん、イヤホンは装着していますか?退場となった方は、イヤホンにて帰還ルートを指示させていただきます】
そのアナウンスに、三人はそれぞれ耳元へと手をやる。
【......それでは開始まで5秒前,4,3,2,1、スタート】
「よし、行こう」
政美を先頭に、三人は迷路へと踏み込んだ。
右へ、左へと進み、最初の行き止まりに辿り着く。
そこには宝箱が置かれていた。
「おっ!何が入ってるかなぁ」
巧が軽い調子で蓋を開ける。
中に入っていたのは――
「......ハリセン??」
「これで戦えと......?」
「奴のことだ。そういうことだろう。巧、お前が使え」
「オッケー」
巧がハリセンを振ると、
パン!
と間抜けな音が響き、本人は腹を抱えて笑った。
「これで一本取るのか......なかなか面白いね」
「ふざけてる場合じゃないぞ。次へ行くぞ」」
来た道を引き返し、別の通路へ。
角を曲がった瞬間、他チームと鉢合わせた。
他チームは、政美の姿を見るなり顔を引かせた。
「げっ、伊達先輩……!?」
それは一瞬だった。
政美が懐に入り、鮮やかな一本背負いで静める。
同時に巧がハリセンで胴を叩き、さらにもう一人の頭を狙う。
「ちくしょう、主席二人相手とか、無理ゲーだろ!」
床を叩きながら、相手チームは悔しがる。
「ところで、お宅らの武器は?」
「これだよ」
「......これ?」
「そうだよ」
巧が尋ね、差し出されたのはプラスチック製のスリングショットだった。
「翔馬、試してみろ」
「はい」
政美に促され、翔馬はスリングショットを手に取った。
付属のビー玉をゴムに番え、壁を狙う。
コン!
乾いた音を立てて、ビー玉が壁に当たった。
「どうだ?」
「なんとかいけると思います」
「よし、それで行こう」
「でも、ビー玉って、頭狙ったら危なくないですかね?」
「当たればね。でも、それぐらい避けれないとハンターなんかなれないよ」
「......ですよね」
さらに進むと、やや広い部屋に出た。
「ここだな、鳥飼たちとやるなら」
「そうだね」
数分後、鳥飼チームが現れる。
「伊達、ここで会ったが百年目」
「鳥飼、負ける側のセリフだぞ」
「やってみなきゃ、わからんだろ」
先に動いたのは環太だった。
狙いは――翔馬。
翔馬は即座にスリングショットを構え、ビー玉を放つ。
――だが。
「ふんっ!」
「はぁ!?取るの!?」
環太は、放たれたビー玉を鷲掴みにしていた。
「翔馬、狙ってるのわかってりゃ簡単だよ」
「簡単じゃないでしょ!?」
素手の環太が、翔馬の胸倉を掴みに来る。
その瞬間――
スパーン!
巧のハリセンが、環太の右腕を叩き落とした。
【犬童退場】
「マジで!?」
「翔馬くんを狙うのは、バレバレだよ」
――パンッ!
不意に乾いた音が響き、翔馬は腹を抑える。
「うっ!?」
【世渡退場】
少し離れた場所で猿渡がエアガンを構えていた。
「サルちゃん、よそ見してる間に撃つなんてずるくない?」
「勝負にずるいも何もあるかよ。隙を見つけたら撃つ。それが鉄則だろ」
「そうだね」
巧は銃弾をかわしながら間合いに入り、胴を打ち抜く。
【猿渡退場】
「......あとは、お前だけだぞ。鳥飼」
政美と鳥飼が向かい合う。
「素手で、俺に勝てるかな?」
「......プラスチックのバット持ってるお前に言われたくはないな」
鳥飼の武器は、子供用の赤いプラスチックのバット。
「政美ちゃん、ハリセンいる?」
「ふ、いらんよ」
「武器なしで負けたと言うなよ」
鳥飼が踏み込み、上段から振り下ろす。
政美は最小限の動きでかわし、裏拳でバットの軌道を逸らす。
そのまま腕を取り、投げ飛ばした。
鳥飼は空中で身を翻し、見事に着地する。
「......やっぱ、おもちゃはダメだな」
「巧、手出しは無用だぞ」
「分かってるよ」
「よろしい」
政美と鳥飼は構えじりじりと距離を詰める。
服を掴もうとする鳥飼、それを跳ねのける政美。
二人の激しい攻防が繰り広げられる。
「そこだ、鳥さん」
「いいぞ、政美ちゃん」
「Tシャツが待ってますよ、鳥飼さん」
「政美さん、今です」
完全に観客と化す四人。
そして――
「はっ!!」
一瞬の隙を突き、政美が深く懐に潜り込む。
重心を奪い、身体を浮かせる。
鮮やかな弧を描き、鳥飼の身体が宙を舞った。
完璧な一本背負い。
【鳥飼退場】
「くそぉぉぉ! サイン入りTシャツがあぁぁ!!」
地面に伏したまま、鳥飼が絶叫した。
「鳥さーん!」
「鳥飼さーん!」
環太と猿渡も駆け寄り、男たちは抱き合って涙を流している。
「......巧さん、あんな悔しがるものですか?」
「......いやぁ、あの子たちだけでしょ」
「ですよね」
本気で悔しがる三人を、翔馬と巧はどこか冷ややかな目で見ていたのだった。
この度は読んでいただきありがとうございます。
この作品は、構成、文章を先に考え細かい描写等に関してはAIにて修正しています。
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