第31話・迷路とバトル【戦技祭④】
山林から続々と生徒たちが生還し、体育館の熱気はさらにその密度を増していく。
「会長、残り5チームほどです」
「うむ、ありがとう」
体育館の壇上に特別本部を設営した生徒会。
生徒会長の明石は腕を組み、1回戦の行方を静かに見守っていた。
「会長、2回戦の準備完了しました」
「ありがとう......やはり、1着は、政美のところだったな」
「はい、一番近い門裏に隠した物を、きちんと持って来ました」
「さすがは、政美だな。私の性格を、よく理解している」
「意地悪なところまで、ですよね」
「おい、それは私が意地悪だと言いたいのか?」
「事実じゃないですか」
生徒会メンバーの間に、和やかな笑いが広がる。
「会長、32チーム、ゴールしました」
「わかった。まだ山中で探索しているチームに、終了のアナウンスを」
「はい」
明石は一歩前へ出て、マイクを手に取った。
「1回戦突破の諸君。おめでとう。これより、二回戦の内容を説明する。スクリーンを見てくれ」
背後のスクリーンに映された文字は――【迷路】
「2回戦は【大迷路バトルロイヤル】だぁぁ!!」
体育館が一気にざわめき立つ。
「なにすんだよ、今度は......」
「また変なの考えやがったな......」
明石は、構わず続ける。
「2回戦は、32チームを4チームごとの8グループに分け、そのグループ内で戦ってもらう。各グループ最後まで残った1チームが2回戦突破だ。分け方は、1回戦で手に入れたボールに1から8までの数字が書かれている。その数字がグループとなる」
スクリーンに長方形の迷路が表示される。
「この迷路の四隅に各チームを配置する。迷路内には宝箱が置いてあり、その中には武器が隠されている。途中で敵チームと遭遇した場合は、その場で戦ってもらう。それでは、ルールを説明する」
1.打撃系武器による攻撃は、剣道と同様に「面・胴・小手」のいずれかで一本取られたら退場
2.射撃系武器による攻撃は、「頭・胸・腹」に被弾で退場
3.武器未所持(体術)の場合は、柔道と同様に投げ技で一本取られたら退場
4.三人退場したら敗北。
5.勝利チームの退場者は、二回戦中は再出場不可
6.勝利チームは、敗北チームの武器を回収可能
7.最後まで残った1チームが二回戦突破
「開始は30分後。グループ1から順に始める。以上、一時解散!」
明石の宣言と共に、会場は一気に喧騒に包まれた。
翔馬は、自分の手のひらにあるボールの数字を見つめる。
「俺たちは......グループ3みたいですね」
「3番目か」
政美は腕を組みながら答え、巧は顎に手を当てながら翔馬を見る。
「翔馬くん、体術は?」
「......それ聞いちゃいますか?」
「......なるほど......これは、拳銃でもいいから早く入手したいところだね」
「......はい、すみません」
弱々しく答える翔馬に、政美はフッと口角を上げた。
「案ずるな。銃を取れなかった時は、その時考えればいい。それより......我々の相手はどのチームだ?」
その時だった。
「伊達、俺たちもグループ3みたいだ」
声をかけてきたのは鳥飼だった
その後ろにいる環太。
「環太」
「よう、翔馬」
環太が軽く手を上げる。
「翔馬、悪いな。俺たちは絶対に負けられないんだ。親友だからって、今回ばかりは容赦しねぇからな」
真剣な表情の環太に、翔馬は即座に返した。
「理由って、ハニリプのTシャツじゃん」
「じゃんって、なんだ。それ以上に大事な理由なんかないだろ!?」
「その通りだ、犬童!」
鳥飼も当然のように頷き、政美に指差した。
「伊達、お前に何をしてでも勝つ!!」
「ほう......それは宣戦布告と受け取っていいな?」
「あぁ、もちろんだ」
政美が不敵に、そして冷徹に言い放つ。
「ふっふっふ......面白い。受けて立とうじゃないか」
バチバチと視線がぶつかり合い、周囲の温度が上がるような錯覚。
だが、その熱気の中、翔馬だけは遠くを見つめていた。
(……ああ、早く終わって帰りたい。というか、武器手に入んなかったらどうしよう……)
闘志に燃える周囲と、胃の痛みを感じる翔馬。
大迷路の幕が、まもなく上がろうとしていた。
この度は読んでいただきありがとうございます。
この作品は、構成、文章を先に考え細かい描写等に関してはAIにて修正しています。
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