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第29話・二人の主席の関係【戦技祭②】

「まぁ、これでも飲んで気楽にしてほしい」

「あ、はい、ありがとうございます」


政美が、静かにティーカップを翔馬の前に置いた。


(......えっと、これはどういう状況?)


承諾の連絡を入れた次の日の放課後。

翔馬は、政美の家の広々としたリビングに招かれていた。


校内でも指折りの美貌を誇る彼女は、自宅ではさらにそのオーラを際立たせて見える。

緩やかなウェーブを描く黒髪、制服の生地を内側から暴力的に押し上げるような豊かな胸元。

目の前に座る3年主席伊達(だて)政美まさみのあまりにも完成されたプロポーションを前に、翔馬は、完全に落ち着きを失っていた。


「ごめん、政美ちゃん。遅くなっちゃった」

(政美ちゃん?)

「そんなことはない。大丈夫だ、こう

(巧?)


リビングに入ってきたのは、2年主席片倉(かたくら)こう

きちんと整えられた黒髪に眼鏡。

真面目な堅物という印象だった彼は、まるで自分の家のようにリラックスした笑顔を浮かべていた。


「やぁ、世渡くん。2年の片倉です。よろしく」


差し出した手に、翔馬は慌てて立ち上がり、握手を返した。


「よろしくお願いします」

「いやぁ、世渡くん」


政美の隣に腰を下ろした巧が、面白そうに笑う。


「主席2人とチーム組むってなったら、普通、悩むと思うんだけど......よく即決したね」

「そ、それは......お二人とチームを組めるなら、いい経験になるかと思って......」

「いやぁ、ある意味いい度胸してると思うよ....でも、なんでさっきから落ち着きないの?」

「いえ、その......片倉先輩が政美ちゃんって呼んでいたので......」

「あぁ、それね」


巧は、あっさりと言った。


「僕と政美ちゃんは、家族ぐるみの関係で物心つく前からの幼馴染なんだよ」

「そ、そうなんですね」

「この家見て分かると思うけど」


海外製の家具が並ぶ広いリビング。

一般家庭とは明らかに違う。


「家柄も実力も凄すぎて性格こんな感じでしょ。慕ってくれる子たちはいても、友達って呼べる相手が少なくてさ」

「おい、私だって友達はいるぞ」

「はいはい、静かにねぇ」

「おい」

「ハハハ」


二人のやり取りに、翔馬は思わず笑ってしまった。


「お、やっと緊張解けた?」

「はい、そうですね」

「まぁ、年も近いし政美ちゃんの世話係みたいなことやってるんだよ」

「そうなんですね」

「ところで、政美ちゃん」

「なんだ?」

「ティーカップにコーヒーってお客さんに失礼でしょ」

「紅茶の場所が......」

「いつも同じ場所にあるって言ってるでしょ」


巧は慣れた手つきでキッチンへ向かい、数分後、芳醇な香りを漂わせるティーポットとティーカップを持って戻ってきた。


「ごめんねぇ、世渡くん。この子、こういうことはポンコツだからさ」


その言葉が図星だったのか、政美がわずかに頬を染めて視線を逸らした。

政美の意外な姿に翔馬は微笑んだ。

注がれた紅茶が、翔馬の前に置かれる。


「いただきます」

「それじゃ、改めて」

「はい」

「チームを組むんだし、政美ちゃんって呼んであげて」

「ブッ!?」


飲もうとした紅茶を、翔馬は盛大に吹き出しそうになった。


「ゴホッ、ゴホッ、それは流石に無理です!?」

「ははは、だよねー。せめて名前で呼んであげて……ね? 政美ちゃん」

「……ああ。構わない。翔馬」

「.....わかりました。政美さん、巧さん」


照れくさそうに応じる翔馬に、二人は満足げに微笑んだ。

しかし、翔馬には一つ、気になることがあった。


「あの......お二人、幼馴染でも今回のチーム編成の条件大丈夫なんですか?」

「それなら問題ない。条件に書いてあっただろう。授業や行事でチームを組んだことないことと」

「そうですね」

「学校では同じチームになったことはない」

「交流戦の大型機械魔獣も一人で倒したんですか?」

「当然だ。大きさに惑わされて強いと思った者たちがほとんどだろうな」

「え、あれって危険度Aじゃないんですか?」

「完全に騙されているな。本質を見抜く試験でもあったんじゃないか」

「はぁ、そうなんですね」

「ま、そういうことだからあの生徒会のメッセージ来てすぐ政美ちゃん、僕に連絡してきたんだよ」

「へー.....それで、なんで俺を?」


二人は一瞬、視線を交わす。


「それは僕が推薦したんだ。君がいいんじゃないかって」

「交流戦での君の噂は聞いていた。そして、君のチェックポイントでの映像も全て見させてもらった」

「えっ!?映像、見れるんですか?」

「何だ知らないのか?普通に全生徒、タブレットから見れるぞ」

「そうなんですね」

「話を戻すが、君の射撃精度は、この学校では間違いなく一番だろう」

「そうだね。むしろ君みたいなスナイパー初めて見たよ」

「あ、ありがとうございます」

「体力に関しては難ありみたいだが」

「それは、否定しません」

「翔馬」


政美の声が、少しだけ柔らぐ。


「失敗を恐れずにやってくれ」


うんうんと頭を縦に振る巧。


「私たちがいる。失敗をカバーするために私たちがいるんだ――それがチームだということを、忘れないでくれ」

「......はい!」

「うむ、それじゃ巧。お菓子を用意してもらってるはずだ」

「はいはい、お姫様。待っててくださいよ」


巧がキッチンへ向かう。

運ばれてきたのは、見たこともない高級そうなケーキと焼き菓子。

翔馬はそれを口にしながら、二人との距離が確実に縮まっていくのを感じていた。

この度は読んでいただきありがとうございます。

この作品は、構成、文章を先に考え細かい描写等に関してはAIにて修正しています。

よろしければ感想、評価など書いていただければ今後の参考にさせていただきたいと思います。

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