第28話・翔馬争奪戦!【戦技祭①】
【戦技祭】
1年に1度、全学年が参加する実技競技祭。
交流戦が校長――すなわち学校側主導で行われるのに対し、戦技祭は生徒会主導。
競技内容も形式も、生徒たち自身が決める。
その自由度の高さゆえ、一年で最大の盛り上がりを見せる皆方高校の行事だった。
戦技祭開催の2週間前の放課後。
生徒会から全生徒のメッセージアプリに一通の通知が一斉に届いた。
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皆方高校生徒諸君
生徒会長の明石矢三郎だ。
今年もこの季節がやってきた。
2045年度戦技祭の概要が決まったので連絡する。
今年の戦技祭は3人1組による団体戦を行う。
チーム編成に関するルールは以下の通り
・3人1組
・過去学校の授業・行事で一度もチームを組んだことない者同士であること
・学年は問わない
・強制的な勧誘は退学処分とする
チーム登録は、戦技祭当日の8時まで。
競技内容は当日発表とする。
不明点がある場合は、生徒会まで問い合わせること
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「.....何だこれ?」
通知を見た翔馬が思わず声を漏らす。
「戦技祭の概要でしょ」
「チーム編成の条件がきつすぎるって」
下校途中、三人は並んで歩いていた。
「俺、誰と組めばいいんだよ」
翔馬は深いため息を吐いた。
もともと交流関係の狭い陰キャにとって、新しい人間関係を構築しなければならないこのルールは、正直なところ精神的にかなり重かった。
「クラスの人間で組むのが一番手っ取り早いか」
「それが一番早いね.....でも、僕はこの機会だから、上の学年の人とでも組んでみようかなって」
「確かにそれもありだな」
「それでも、俺そんなこと出来ないって」
翔馬は、目に見えて落ち込んでいた。
「まぁまぁ、なるようになるって。明日から探していこうぜ」
相変わらず呑気に笑う環太だった。
翌朝――
気が重いまま登校する翔馬の隣で、環太は口笛まで吹いている。
二人が、校門をくぐったその瞬間。
「世渡くん、俺とチームを組まないか?」
突然、見知らぬ男子生徒が翔馬に声をかけてきた。
「......だ、誰ですか?」
「おい、先行くなんてずるいぞ!」
次の瞬間、別方向からも声が飛ぶ。
気づけば、翔馬の周囲に生徒が集まり始めていた。
「ええ、これってどういうこと」
押し寄せる人だかりに、翔馬は悲鳴を上げた。
「翔馬、早く教室行くぞ」
「うん」
環太は、翔馬を半ば引きずるようにして、教室へ逃げ込んだ。
「はぁ......一体なんだったの」
「わからん」
「交流戦の噂が原因みたいだよ」
真が肩をすくめる。
「噂?」
「あぁ、あの”ヤバい1年がいる”ってやつか」
「そうそう」
「ってことは、これから翔馬を狙って争奪戦が始まるってことだな」
「ちょっと待って、争奪戦って言い方恐いから」
翔馬が顔を引きつらせる。
「そうは言ってもよ、このクラスでもお前と組みたいって奴いっぱいいるぞ」
「えぇ.....」
視線を巡らせると、クラスメイトたちが露骨に目を輝かせていた。
「うわぁ.....」
思わず頭を抱える翔馬。
「こりゃ、何とかしないとダメだな」
「そうだね......じゃあ、こうしたら?」
真が出した案は、シンプルだった。
――”どうして翔馬とチームを組みたいのか”をA4一枚にまとめて提出。
「それいいな、面白い」
環太は、勢いよく立ち上がる。
「いいか、翔馬とチーム組みたいって奴!A 4用紙1枚に理由と名前書いて持って来い」
その宣言は瞬く間に広まり、この日だけで数十枚の紙が翔馬のもとに集まった。
放課後。
三人は、教室で提出された紙の山を前にしていた。
「はぁ......今日でこんなに届くとはねぇ」
「ホントにねぇ......」
だが、いざ読んでみても決めきれない。
「誰選ぶんだよ、翔馬よ」
「わからないって......」
知らない名前、知らない実力。
判断材料が足りなさ過ぎた。
「この際だから同学年は除外しちまえば?」
「そう?」
「自分で言うのもなんだが、1年生で俺と真以上の前衛はいないよ」
「そうだねー、それは否定できないんだけど......」
その時、ガラリと教室の扉が静かに開く。
「失礼する」
女子生徒が入ってきた瞬間、その場にいた全員が息をのんだ。
「「だ、伊達先輩!?」」
皆方高校3年主席、伊達政美。
ウェーブがかかる黒く長い髪に凛とした空気を纏った女性。
「世渡くんだね?」
「は、はい」
「私は、3年の伊達という」
落ち着いた口調、その存在感が際立つ。
「単刀直入に言おう。私は君をチームに入れたい」
「え!?」
「「えぇぇぇ!?」」」
教室がどよめいた。
「言い方が失礼だったな。私のチームに入ってもらえないだろうか?」
「え、えっと」
「チームのもう一人は2年の片倉だ」
「......片倉先輩って」
「あぁ、2年主席の片倉だ」
息をのむ音が重なる。
「すぐ返事が欲しいとは言わない。これを読んで考えてもらえないか?」
伊達は1枚の紙を差し出した。
「は、はい」
「それでは失礼する」
颯爽と教室を後にする伊達の背中を、翔馬はただ見つめるしかなかった。
「おいおい、ちょっと、ちょっと真さんや」
「なんだい、環太さんや」
「伊達先輩に片倉先輩に翔馬って最強のチームなるんじゃないかい?」
「うん、僕も、そう思った」
環太と真がふざけながら言ったあと、真面目な顔をして翔馬に身体を向ける。
「それで、どうするんだ?翔馬」
「せっかく上級生の主席と組めるチャンスだから伊達先輩一択じゃない?むしろ、僕が行きたい」
悔しがる真。
「そうだよね.....」
この日のうちに翔馬は伊達に承諾の連絡を入れ、この情報はすぐ学校中に知れ渡る。
戦技祭の舞台に、最強と呼ばれる即席チームが誕生した瞬間だった。
この度は読んでいただきありがとうございます。
この作品は、構成、文章を先に考え細かい描写等に関してはAIにて修正しています。
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