第27話・名匠の眼
交流戦が終わって数日が過ぎた、ある休日。
翔馬と環太は、真に呼び出され仙台駅のステンドグラス前に立っていた。
「ったく、呼んだ本人が遅れてるってどういうことだよ」
環太が腕を組んで不満げにつぶやく。
「ごめん、遅くなって!」
ようやく現れた真。
だが、その隣には予想外の人物が立っていた。
「尊さんも!?」
「やぁ、二人とも久しぶりだね」
「お、お久しぶりです」
翔馬が頭を下げると、環太が真を見る。
「で? 今日はどうしたんだ?」
「なんだ、真、二人に言ってなかったのか?」
「驚かそうと思って」
てへっと舌を出す真。
「可愛くない」
即座に真顔で切り捨てる環太。
「それで、何の用?」
「ああ。父さんが新しく打ってもらった武器を取りに行くっていうからさ、一緒に行かないかなって」
「「行く」」
間髪入れず、翔馬と環太の声が重なった。
一行が向かったのは、仙台市中心部の外れにひっそりと佇む店。
【WEAPON SHOP 青葉城】
そこは、知る人ぞ知る老舗中の老舗。
無骨な外観が、その歴史を物語っていた。
「いらっしゃ......なんだ、尊か」
カウンターに肘をつき、退屈そうに新聞を読んでいた男が顔を上げた。
スキンヘッドで筋骨隆々の体格、鋭い眼光。
この店の店主・永尾銀。
「なんだとは、ひどくないか?銀」
「失礼ですよ、おやっさん。お得意様になんてこと言ってるんですか」
傍らで元気に応えたのは、可愛らしい外見に似合わずテキパキと動く店員の女の子、川端さつき。
「今日武器の受け取りだろ?....で、そっちのガキどもは?」
「息子とその友達さ。ハンター志望でね。社会見学を兼ねて連れてきたよ」
「へぇ.........そんな歳かよ」
「何を言ってる、同級生だろうが」
銀は鼻で笑うと、店の奥から一つの木箱を抱えて戻ってきた。
「ほら、いい出来だぞ」
「そうじゃないとお前に頼んだ意味がない」
「そうやって信用してくれるのは嬉しいことで」
箱を開け、尊は一振りの長剣を取り出す。
店内の照明を吸い込み、青白く、鋭く輝く刃。
「.....長さ、重さは完璧だな」
「当然だ。寸分狂わず作ってる」
「試し切り、させてもらうぞ」
「あぁ、裏行くか。さっちゃん、店番頼むよ」
「了解っす!」
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店の裏には本格的な訓練場が広がっていた。
尊は、円形ステージの中央に立つ。
周囲には8丁のライフルが設置してあり、銃口は全て中央に向かっていた。
「準備いいか?」
「あぁ、頼む」
銀は、操作盤のスイッチを押す。
カウントダウンが響き、ブザーが鳴った――その瞬間。
――キィィィィィィィン!!
空気を切り裂く高音。 八方向から放たれたはずの銃弾が、すべて一瞬で真っ二つにされ、床に転がっていた。
「な、何が起こったの」
「四方八方から来た銃弾を切ったんだよ」
「そんなことヤバいだろ」
あまりの次元の違いに立ち尽くす翔馬たち。
「ふむ......硬さ、切れ味、重心も完璧だな」
尊は、長剣を見ながら満足げに頷く。
「そりゃ最高の素材を使ってるからな」
「いつも助かるよ」
「俺を誰だと思ってんだよ......ところでだ、お前の息子たちの実力を見てみたいんだがいいか?」
「あぁ、いいぞ」
「それじゃあ」
銀が真の方を向く。
「尊の息子は何が得意なんだ?」
「僕は、剣が得意です」
「そんじゃそこの木剣持って円の中央に立て」
「はい」
「今回は銃弾じゃなく木の板がランダムで飛んでくるからそれを捌いてくれ。それとだんだんスピードが上がってくるから危ないと思ったら避けていいからな」
「はい」
操作盤をいじる銀。
「よし、準備いいか」
「はい、お願いします」
ブザーと共に木の板が飛んでくる。
真は、その板を捌いていく。
段々とスピードが上がっていき途中で対応できなくなり終了した。
「尊よぉ」
「どうした?」
「このレベル、高3の頃のお前だぞ」
「ホントか?Cランクレベルだよな確か、結構苦戦した記憶があるんだが」
「CでもB寄りだがな......センスは当時のお前以上かもな」
「嬉しいやら悲しいやら、父としては複雑な気持ちだよ」
二人は顔を見合わせ笑う。
「それじゃ、二人の得意武器は何だ?」
「俺は、スナイパーライフルを使用してますが銃器なら何でも」
「俺は、刀です」
「そうか、ならお前から行くか。木剣持って円の中央に立って」
「はい」
「そんじゃ、始めるぞ」
環太は円の中央に立ち構える。
ブザーが鳴り飛んでくる木の板を打ち落としていく――その結果は......。
「ほぉ、中々だな」
「今のレベルは?」
「そうだな......Cにいくかどうかってとこのレベルだな」
「高1なら上出来だな」
「あぁ......そんじゃ、次お前そこの銃持って射撃ブースに立ってくれ」
「はい」
ブースの前方は真っ暗な画面だったが銀がボタンを押すと明るくなり前方に丸い的が映し出された。
「その光線銃であの的を狙え。的はどんどん小さくなっていく外したら終了だ。的の中央に近いほど得点は高くなる。あとはお前のタイミングで初めていいぞ」
「はい」
翔馬は、銃を構える。
一定のリズム、迷いのないトリガーワーク。
的は、すでに肉眼では捉えられないほど微小な点にまで縮小していた。
だが、翔馬の銃口は微動だにせず、最後まで中央を射抜き続け、やがてプログラムが上限に達して停止した。
「............」
銀は、しばらく言葉を失っていた。
「どうした?銀」
「こいつホントに高1か?」
「そうだが」
銀は、震える手でモニターの結果を指した。
「Sでも、ここまで狂いのない射撃をする奴いないぞ」
「......は?」
「全ての的の中央を一寸の狂いもなく当ててる」
「ホントか?」
「ホントだよ...それにしてもお前の息子といい、友達といい、この先が楽しみな奴がいて面白いな」
銀は、三人を見渡す。
「......おい、お前ら名前は?」
翔馬たちが答える。
「真、翔馬、環太か............覚えたぞ」
「?」
「お前ら自分の武器を持てるようになったらここに来い。お前らにあった武器を作ってやるよ」
「「はい!!」」
気難しい人間で気に入った人間しかオーダーメイドを許さない名匠・永尾銀。
その男に認められたことに興奮を抑えきれないまま店を後にした。
この度は読んでいただきありがとうございます。
この作品は、構成、文章を先に考え細かい描写等に関してはAIにて修正しています。
よろしければ感想、評価など書いていただければ今後の参考にさせていただきたいと思います。




