第22話・二人の射撃の天才【定期交流戦⑥】
スタートから1時間40分ほど経った。
足をもつれさせ、文字通り這々の体で翔馬と冬矢はチェックポイント②へと辿り着いた。
「はぁ、はぁ......やっと、着いた......」
「......なんか最初の10キロより長く感じたんだけど......」
「冬矢、それはいいすぎ」
地面に座り込みそうになりながらも、二人は顔を見合わせて笑った。
この過酷な道のりの中で、いつの間にか名前で呼び合うほど打ち解けていた。
二人が辿り着いたチェックポイント②は、屋外射撃場だった。
複数の射撃ブースが並び、先行している生徒たちが、前方に設置された魔獣を模した的へ向けて射撃を行っていた。
中間試験では固定されていたそれらの的は、今は不規則な軌道で動き回っていた。
「今着いた子たちですね」
担当の女性教師が声をかけてくる。
「はい」
「ここでは通常の実技試験と同じ的を使用します。ただし――」
女性教師は、射撃場を見渡す。
「ご覧の通り、すべての的が自由に動きます。急所に命中させるほど高得点。100点満点中70点以上、かつ2分以内で合格です」
「得点は分かるんですけど時間制限があるんですか?」
「ええ。高得点を狙って撃つまでに時間をかける――それは実戦では命取りになりますから」
「......確かに」
翔馬は、納得したように頷いた。
「それでは、準備出来次第始めててください」
「わかりました」
射撃ブースは先行していた生徒たちで埋まっており、二人は待つことになった。
その間、どちらが先にやるかをジャンケンで決める。
「じゃあ、俺から行くよ」
「うん」
数分後、空いた射撃ブースに先に翔馬が立つ。
『銃を構えてください......開始まで5秒前,4,3,2,1,開始』
合図と同時に、十体の魔獣標的が四方八方から飛び出し縦横無尽に動き出す。
さらに遮蔽物を利用して姿を隠すという、極めて意地悪な設定だ。
――バン、バン、バン!!
迷いのない射撃。
翔馬の放つ銃弾は、まるで吸い込まれるように次々と標的の「核」を貫いていく。
一発撃つごとに次への照準が完了しており、無駄な予備動作が全くない。
全ての標的が沈み、静寂が訪れる。
『試験終了......得点・100点、終了時間・34秒』
機械的なアナウンスが響き渡った瞬間、それまで自分の試験に集中していた周囲の生徒たちが、一斉に翔馬の方を向いた。
「……100点? 30秒台だって?」
「誰だあいつ?一年だよな?」
ざわめく周囲を余所に、翔馬は小さく息を吐いてライフルを下ろした。
「すごいよ、翔馬くん」
「普通だよ。次は、冬矢の番だよ」
「うん」
『開始』
魔獣型の的が動き出す。
開始の合図と共に、冬矢のライフルが火を噴く。
――バン、バン、バン!!
必要最低限の射撃。
翔馬と同じく無駄が、一切ない。
『試験終了......得点・100点、終了時間・32秒』
先程よりもさらに短いタイムが読み上げられると、射撃場内は静まり返り、直後に大きなざわめきに包まれた。
「……えっ!?また!?」
「なんだあいつら?誰だよ」
視線が二人に集中した。
「冬矢の方がすごいじゃん」
「そんなことないよ。一度翔馬くんの見てたから何となくこんな感じかってのが分かったから」
「そういうことにしておこう」
二人は顔を見合わせて笑った。
「それじゃあ、次行くか」
「うん」
そう言って、二人はすぐに走り出す。
射撃に関しては、疑いようのない才能。
そんな二人が、再び地獄の移動へと戻っていく。
翔馬と冬矢は、周囲の視線を背中に受けながら、チェックポイント②を一瞬で通過していった。
この度は読んでいただきありがとうございます。
この作品は、構成、文章を先に考え細かい描写等に関してはAIにて修正しています。
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