第19話・新たな友情の芽生え??【定期交流戦③】
食堂には、両校の生徒が集まっていた。
皆方高校の食堂は、一度に約300人が入れるほどの広さがあり、テーブルには軽食や飲み物も用意されている。
最初は互いに様子をうかがっていた生徒たちも、時間が経つにつれて少しずつ会話が生まれ、やがてあちこちから笑い声が聞こえ始めていた。
しかし、翔馬は、食堂の隅に置かれたベンチに座り、相変わらず顔色の悪いまま俯いていた。
「はぁ........」
思わずこぼれたため息。
すると、ほぼ同時に、隣からもため息が聞こえた。
「......ん?」
顔を上げると、同じように顔を上げた生徒と目が合う。
「どうも........」
「どうも........」
「「あ、あの........」」
「「どうぞどうぞ」」
妙に噛み合わない。
けれど、そのぎこちなさすら、どこか心地よかった。
「あ、じゃあ僕から........僕、東鳳学園一年の那須冬矢です」
「俺は、皆方高校一年の世渡翔馬です」
「同じ一年ですね」
「......ですね」
那須冬矢。
冴えない見た目で、少し猫背。
翔馬と似たような雰囲気を持っていた。
「武器は何を使ってるんですか?」
「僕はスナイパーライフルです」
「えっ、俺もです」
「そうなんですね........」
一瞬、言葉が途切れる。
那須は周囲を気にするように視線を泳がせ、声を潜めた。
「もしかして.....ため息ついた理由って...マラソンですか?」
「は、はい。体力測定で女子にも負けるぐらいなのに、ライフル持って20キロなんて憂鬱すぎて........」
「ぼ、僕もです。僕も走るのは本当に苦手で。スナイパーは、体力より集中力だって思ってるんですけど......」
「......俺たち似てますね」
と、翔馬は自然に笑う。
「......ホントですね」
那須も照れたように笑った。
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少し離れた場所から、その様子を眺める二人がいた。
「なんか友達出来たみたいだね」
「そう........みたいだだな」
環太と真である。
「しかし、あの二人。雰囲気そっくりだな」
「確かに」
「すみません」
そこへ、二人の東鳳学園の生徒が声をかけてきた。
「あのベンチの皆方の生徒って......あなたたちの友達ですか?」
「そうですよ........ってことはあの東鳳の生徒は?」
「はい、俺らの友達です」
「正直、あいつが初対面の人とあんなに話してるの、初めて見たな」
と、東鳳学園の生徒は少し驚いた表情だ。
「俺は、皆方高校一年の犬童です」
「僕も、同じく一年の諏訪です」
「俺は、東鳳学園の一年の源野義人です」
「俺も、同じく一年の武蔵原慶次だ」
源野は凛とした雰囲気の少年。
武蔵原は体格がよく、落ち着いた佇まいをしていた。
「お、仲良くやってるな」
背後から聞こえた声に、真が振り返る。
「あっ、チャラい先生」
「チャラい??」
金髪ピアスの教師――城崎だった。
「あっ、すみません」
真が慌てて頭を下げる。
「ははは、いや、いいよ。見た目は実際そうだから......ところでどこかで会ったかな?」
「僕は、諏訪真と言います。八月にハニリプのライブでドームで」
「諏訪........尊さんの息子さんかい?」
「はい」
「そうか.......確かに若い頃の尊さんにそっくりだ」
「そんな昔から知ってるんですか?」
「そうだね。初めて会ったのが僕が高校卒業してすぐだったから、もう二十年近いかな」
「そんな前から」
「あぁ、そうなんだよ........」
城崎は、翔馬たちの方へと視線を向ける。
「ところで、源野。あれって那須だよな?」
「そうですよ」
「へぇ......あいつが初めての人とあんな仲良く話してるなんて初めて見るな」
「ホントですよ」
遠目に見える翔馬と那須は、まるで昔からの友人のように、楽しそうに話していた。
「ハンターは、急にチームを組むこともある。その時に意思疎通ができないようでは、連携も取れず命取りになるからな。ただ座って黙ってるだけじゃ全く意味がない......だから、少し安心したよ」
微笑んだ。
「城崎先生、ところで何ですが」
環太がグイッと城崎の目の前に。
「な、何かな」
その強引さにたじろぐ城崎。
「俺は、犬童と言います。ハニリプのライブに一緒に行った生徒はどちらに」
「えっと、あそこにいる」
指差した先を見て、環太は深く頷く。
「あの子ですね。ありがとうございます」
そう言って、勢いよく走り出した。
「えっと........真くん」
「はい」
「あの子は一体」
「ガッチガチのリッパ―(ハニリプファンの総称)ですよ」
「な、なるほど」
環太はすでに東鳳の生徒と推しという共通の話題で意気投合し、妙に盛り上がっていた。
「じゃあ、俺は他も回ってくる。お前たちも、せっかくだから色んな人と話せよ」
城崎はそう言って去っていった。
「父さんが行った通りいい人だな」
「そうなんだよ」
「見た目で損してるけどな」
その言葉に、三人は同時に笑った。
こうして交流会は、翌日から始まる地獄を忘れているかのように、終始穏やかな空気のまま幕を閉じたのだった。
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この作品は、構成、文章を先に考え細かい描写等に関してはAIにて修正しています。
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