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カモメ賢者と黒髪の少女  作者: ジャパンプリン
第一章 カモメと少女(出会い編)
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第8話 二人の旅立ち

 シェリーは無事、呪いから解き放たれた。

同時に、家内の空気も幸福感に包まれて、心地の良いものとなっていった。

あれから9か月。

現在、シェリーは16歳。

そして、(カモメ)は完全にアレスの、いや、ヴェルナード家の一員と化していた。

ゆくゆくはシェリーと結ばれることになる。

俺とシェリーは互いに気持ちを確かめ合い、結婚の約束もした。

両親の公認も得た。

とは言え、今はまだカモメと少女。

婚約者見込の身分だ。

それに、結婚に向けて、どうしても越えなければならない障害がある。

人間への逆転生だ。



 シェリーが汗を流してきた、いつもの庭。

今日も変わらず澄んだ空気に満ちている。


俺はすっかり定位置となったシェリーの左肩に座り、おもむろに問いかける。


「なあ、シェリー。

 初めて会ったあの日の夜、交わした言葉を覚えてるか?」


「もちろんよ。いつか旅に出ようって、

 約束したものね」


「ああ。それでちょっと考えがあってな。

 シェリーの呪いは解けたし、婚約もした。

 次にやることは、俺の体を取り戻すことだ。

 だが、逆転生術を成功させるには、今の姿では魔力が足りない。

 そこでだ、俺は魔法都市アステロンに行こうと思う。

 きっと良い解決策が見つかるはずだ。

 心当たりもあるしな」


「そう、結構な長旅になるわね。

 それで、いつにする?」


 付いてきてくれるか聞くまでもなく、即答だ。

可憐な少女の外見とは裏腹に、なかなか男前なんだよな、シェリーは。

出発の日はどうするか……。

善はハリーだ。

最短にしよう。


「三日後、はどうだろう?」


「また随分と急な話ね。

 でも、分かったわ。

 お父さんとお母さんに伝えてくる」



 そして三日後、旅立ちの日を迎えた。


丸太小屋の玄関で、俺とシェリーはアレス、エリュナと向かい合っていた。

俺は左肩の定位置で起立する。

要はただのカモメ立ちだ。


「シェリー、ようやくあなたが巣立つ時が来たのね。

 モーゼスを連れてきたころはまだあどけなかったのに、随分と大人になって……。

 あと2年もしたら、完全に大人の仲間入りね。

 シェリーは父さんに似て美人に育ってくれたから、次に会う時が楽しみよ。

 それとモーゼス、貴方には本当に感謝してるわ。

 シェリーの呪いも解いてくれたし、我が家の一員になってくれたし、

 後は本来の姿を取り戻すだけね。

 でも、貴方達ならきっと出来るわ。

 無事戻れたら、一度姿を見せに帰ってらっしゃい。」


エリュナが、俺とシェリーをまとめて抱きかかえてくる。

エリュナが母か……。

何か変な感じもするが、この関係も悪くない。


「ああ。行ってくるよ。エリュナ、

 いや、母さん。」


エリュナが無言で撫で返してくる。

少し涙ぐんでいる様だ。

次は、アレスだな。


「アレス。お前の事は、父とは呼ばない。

 すまない。」


「ああ、俺とお前の仲だ。

 そういうのはちょっと違うよな。」


「だが、次に会うときは、俺はシェリーの夫だ。

 楽しみに待っててくれ。」


「おう。」



 そろそろ頃合いか。

俺はシェリーの頬に頭を寄せ、先を促す。


「それじゃあ、お父さん、お母さん、

 これまで育ててくれてありがとうございました。

 これからは、モーゼスと支え合って、二人で生きてゆきます。

 行ってきます!」


こうしてシェリーとその肩に乗った俺は、羽と頬を寄せ合い、二人旅立った。

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