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カモメ賢者と黒髪の少女  作者: ジャパンプリン
第一章 カモメと少女(出会い編)
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第5話 家族になった日

 あの後、羅刹と化したシェリーをどうにかなだめ、俺たちはリビングへ向かった。

俺は、シェリーの左肩にカモメ座りで乗っている。

ここを定位置にしよう。

さながら守護獣になった気分だ。

リビングに入ると、アレスが昨日と同じくソファに座り、コーヒーを飲んでいた。


「おはよう、シェリー。それにモーゼス。

 朝から騒がしかったようだが、何かあったのかい?」


「うん……。ねぇ、お父さん。

 モーゼスに私の痣の事、話したでしょ。

 それで……。モーゼスに、ちょっと、見てもらったの……。」


消え入るようなか細い声で、シェリーが告白する。

両手で胸を隠すような仕草でモジモジしている。


「ほう……」


アレスの眼がスッと鋭くなり、続ける。


「けしからん奴だな。このカモメは。成敗してくれる。表へ出ろ」


アレスは傍らに携えた剣を手に取り立ち上がる。



 うわぁ。

面倒くせえ、コイツ……。

自分から仕向けたくせに、なんて言い草だ。

白々しい真似しやがって。

咄嗟にシェリーの頭で身を隠し、水魔法を放つ。

食らえ、水鉄砲ミニバレットだ。


「ぶっ! 何をする」

「それはこっちの台詞だ。

 お前、分かっててやっただろう」


「喧嘩はやめて!」


シェリーが間に割って入り、俺を庇うように抱きかかえる。

聖母の貫禄だ。

ゴメンよ、昨日は少女とか思ってしまって。


「お父さん、モーちゃんをイジメたらダメよ」


「お、おう。そうだな、お父さんが悪かった。

 それで……何か、分かったのか?」


「ああ、これは時限式の呪いで……」


――――


 胸のくだりを話したあたりでアレスは呆れの混じった笑みを浮かべ始めた。

そして、話がヒキガエルのオチに至ると……。


「ハッハッハッ!

 そりゃあ、何とも、ふざけた呪いだな。

 心配してた俺が馬鹿みたいだ」


眼に涙を浮かべ、腹を抱えて笑っている。

あ、何かのツボに入ったな。

あの様子では、しばらくは収まらないだろう。


「もう、お父さん。ちょっと笑い過ぎよ。

 私がヒキガエルになっても良いって言うの?」


「いや、そんな、ワケは、無いんだ……。

 でも、ルカなら、何とか、出来る、だろう?

 ヒッヒッヒッ……」



 アレスが笑い転げる横で、シェリーは呆れ半分、安心半分のため息をついた。

俺とシェリーが顔を見合わせていると、エプロンに身を包んだエリュナが姿を現わした。

途端に部屋が柔らかい空気に包まれる。


「朝から随分と楽しそうね。二人とも昨日より打ち解けて見えるし、何かいいことでもあったのかしら。」


俺は再び説明を始める。

昨日もあったな、この状況。

面倒だから二人まとめて出てきてくれないかな、コイツら。


――――


「そう。その痣はそういうことだったのね。ちょっと形は変だけど、赤い糸だったのよ、きっと。シェリーとモーゼスを引き合わせるための。今日からモーゼスも我が家の一員ね。そうと決まったらお祝いよ!」


こうしてエリュナに認められた俺は、無事、家族として迎えられた。

それからは、土魔法でゴーレムを呼び出して槍の修行を手伝ったり、シェリーに魔法の手ほどきをしたり、起伏は少ないが充実した日々を送り始めた。

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