85. ハロウィンお菓子試作(モンブラン)
放課後の料理部部室。
黒板には大きくチョークで「ハロウィン企画会議」と書かれ、オレンジ色のチラシや折り紙のかぼちゃが机の端に並んでいる。文化祭の熱気がひと段落した今、部員たちの表情には疲労よりも「次は何をやろうか」という好奇心が浮かんでいた。
翔子がトング代わりに鉛筆をくるくる回しながら、わざとらしく咳払いする。
「――さて。文化祭も終わって、ちょっと余裕ができたわよね。せっかくだから……今度はハロウィン用に何か出してみない?」
「ハロウィン!」と杏子の目が輝く。すぐに立ち上がって腕を組むと、まるでヒーローショーの司会のような声色で叫んだ。
「お菓子作るしかないだろ! ハロウィンといえば甘いもんだし!」
実花は机の上のメモを見ながら、落ち着いた声で続ける。
「せっかくなら季節感を出したいよね。やっぱりカボチャを使ったお菓子がいいと思うな」
翔子がうなずく。
「かぼちゃね……黄色やオレンジって、見た目も華やかで映えるわ」
杏子がぽんと手を打った。
「決まり! じゃあ定番のモンブランに挑戦だな! ただの栗じゃなくて“パンプキン・モンブラン”ってやつ!」
黒板に新しく「モンブラン試作!」と書き加えられる。
部室にいた全員が、その言葉に胸を躍らせていた。
「文化祭の次は、ハロウィン。よーし、また伝説作るぞ!」
杏子の一言に、笑い声が広がった。
放課後の料理部部室。
黒板には大きくチョークで「ハロウィン企画会議」と書かれ、オレンジ色のチラシや折り紙のかぼちゃが机の端に並んでいる。文化祭の熱気がひと段落した今、部員たちの表情には疲労よりも「次は何をやろうか」という好奇心が浮かんでいた。
翔子がトング代わりに鉛筆をくるくる回しながら、わざとらしく咳払いする。
「――さて。文化祭も終わって、ちょっと余裕ができたわよね。せっかくだから……今度はハロウィン用に何か出してみない?」
「ハロウィン!」と杏子の目が輝く。すぐに立ち上がって腕を組むと、まるでヒーローショーの司会のような声色で叫んだ。
「お菓子作るしかないだろ! ハロウィンといえば甘いもんだし!」
実花は机の上のメモを見ながら、落ち着いた声で続ける。
「せっかくなら季節感を出したいよね。やっぱりカボチャを使ったお菓子がいいと思うな」
翔子がうなずく。
「かぼちゃね……黄色やオレンジって、見た目も華やかで映えるわ」
杏子がぽんと手を打った。
「決まり! じゃあ定番のモンブランに挑戦だな! ただの栗じゃなくて“パンプキン・モンブラン”ってやつ!」
黒板に新しく「モンブラン試作!」と書き加えられる。
部室にいた全員が、その言葉に胸を躍らせていた。
「文化祭の次は、ハロウィン。よーし、また伝説作るぞ!」
杏子の一言に、笑い声が広がった。
「さぁ、いよいよ盛り付けだ!」
杏子が絞り袋を構え、勢いよくマロンペーストを押し出そうとした――が。
……びくともしない。
「……あれ? 全然出てこないんだけど」
「ちょっと見せて」翔子がのぞき込むと、中のペーストがガチガチに詰まっているのが見えた。
「これ、固すぎ! このままじゃ線にならないわ!」
杏子は顔を真っ赤にして袋を握りしめる。
「うおおおっ……これ筋トレじゃん! 腕がプルプルしてきた!」
「筋トレしてどうするのよ! 均一に絞れなきゃ、見栄えが台無しなんだから!」
翔子の声が一段と鋭くなる。
部室の空気が一瞬ピリッと張り詰め――
その空気を和らげたのは、実花の落ち着いた声だった。
「大丈夫、焦らなくていいよ。生クリームを少し混ぜて柔らかくすれば、ちゃんと絞れるから」
すぐさま翔子がボウルを取り出し、実花がペーストを少しずつ移し替える。
杏子も「よっしゃ、任せた!」とすぐに手を引っ込め、他の作業をフォローに回る。
「ほら、こうやって混ぜると……」
実花がゴムべらで滑らかに仕上げたペーストを、新しい絞り袋に入れる。
「――よし、今度はいい感じ!」
力を入れなくても、ふんわりとしたマロンの線がケーキの上に広がっていった。
「おお、成功だ!」
杏子が大げさにガッツポーズを決めると、思わず部員たちから笑い声がこぼれる。
失敗もドタバタも、みんなで解決していく――そんな空気が部室を温めていた。
ついに完成した試作モンブランが、机の中央に並べられた。
山の形は少し歪んでいて、横に流れたマロンペーストが蜘蛛の巣みたいに広がっている。けれど、その不格好ささえ、作ったばかりの温かさを物語っていた。
「……よし、じゃあ食べてみよっか」
実花の合図で、全員がフォークを手に取る。
杏子が真っ先に口へ運び、目を丸くした。
「おおっ……! なんだこれ、口の中で秋が爆発してる!」
「爆発って……表現が大ざっぱすぎない?」翔子が呆れつつも、一口。
「……形はちょっと不格好だけど……味は悪くないわ。カボチャの甘みもちゃんと出てる」
翔子の口調は冷静だったが、頬がほんのり緩んでいるのを杏子は見逃さなかった。
「でしょ? やっぱり美味しいんだって!」
杏子が嬉しそうにテーブルを叩く。
最後に実花が、ゆっくり味わうようにひと口。
「うん。確かにバランスも悪くないし、改良すれば十分ハロウィンの目玉になるよ」
その言葉に、部室の空気が一気に明るくなる。
小さな成功と、まだまだ伸びしろのある課題。
それが、次の挑戦へと背中を押していた。
モンブランの皿が空になり、甘い余韻が部室に漂っていた。
テーブルの上にはまだ試作用のボウルや絞り袋が散らかっているけれど、誰も片付けようとせず、自然と次の話題に移っていく。
翔子が腕を組みながら言った。
「でも……味はこれでいけそうだけど、デコレーションも考えないとね。ジャック・オ・ランタン風とかにしたら、一気にハロウィン感出ると思う」
「いいっすね!」と後輩が目を輝かせる。
「カラフルにすればインスタ映えも絶対狙えます! チョコペンで顔描いたり!」
杏子が勢いよく立ち上がり、拳を突き上げた。
「よーし、次は完成版を作るぞ! 本番でドカンとウケてやろう!」
「おーっ!」
全員が声を合わせ、部室に響くような大きな掛け声が上がった。
文化祭を終えたばかりの料理部は、もう次の舞台に向けて走り出している。
カボチャ色の未来図は、想像するだけで甘くてわくわくする味がした。
ハロウィン・モンブラン試作 レシピ掛け合い会
翔子「よし、それじゃあ今日のテーマはハロウィン仕様のかぼちゃモンブランよ。まずは材料の確認から」
杏子「カボチャ、マロンペースト、生クリーム、砂糖……あとチョコペンもあるな!」
実花「チョコペンは飾り用ね。顔とか描けばジャック・オ・ランタン風にできるはず」
後輩「わ、カボチャの皮かたっ! 包丁が刺さって抜けないですー!」
杏子「おいおい、ホラー展開か? まさか包丁ごと仮装するつもりか!」
翔子「危ないから貸しなさい。……よし、電子レンジでチンしてから剥けば柔らかくなるの」
実花「杏子はマロンペーストを絞り袋に詰めてね。私は味見担当で全体を確認するから」
杏子「了解! ……って、出ねぇ! これ固すぎ! 筋トレかよ!」
翔子「力任せにしないで! 絞りが均一じゃないと見栄えが台無しなのよ!」
実花「落ち着いて。生クリームを少し混ぜて柔らかくすれば解決するよ」
後輩「あ、ほんとだ! するする出ます!」
杏子「うおお、さっきまでの格闘は何だったんだ……」
翔子「ほら、並べてみなさい。ちょっと不格好だけど、それも試作ならではね」
実花「味は――うん、カボチャの甘みがしっかりしてる。改良すれば十分いける」
杏子「うおお! 口の中で秋が爆発だ!」
後輩「デコレーションもカラフルにしたらインスタ映え間違いなしですよ!」
翔子「決まりね。次は完成版を目指すわよ!」
全員「おーっ!」
ハロウィンかぼちゃモンブラン レシピ
材料(6個分)
かぼちゃ(正味) … 200g
砂糖 … 40g
生クリーム … 200ml
マロンペースト … 100g
バター … 10g
ビスケットまたはスポンジ … 6枚(底用)
粉糖 … 適量
チョコペン(黒・オレンジ) … 適量(飾り用)
下準備
かぼちゃは皮をむいて一口大に切り、電子レンジで柔らかく加熱する(600Wで4〜5分)。
温かいうちにマッシュして、砂糖・バターを混ぜる。
作り方
生クリーム100mlを軽く泡立て、マッシュかぼちゃと混ぜ合わせて かぼちゃクリーム を作る。
マロンペーストに残りの生クリーム100mlを少しずつ加えて柔らかくし、絞り袋に入れる。
器にビスケット(またはスポンジ)を敷き、その上にかぼちゃクリームをこんもりとのせる。
マロンペーストを絞り袋でぐるぐると絞り、モンブラン状に仕上げる。
粉糖をふり、チョコペンでジャック・オ・ランタン風の顔を描いて完成。
ポイント
マロンペーストが固いと絞りにくいので、生クリームで柔らかさを調整。
ハロウィンらしくするなら、オレンジや紫のチョコペンでデコレーションすると華やか。
土台をビスケットにすると手軽、スポンジやタルト台にすると本格的。




