表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
放課後キッチン、3年間のレシピ  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/86

第52話「料理部に新入生入部希望者殺到」

 放課後の廊下。家庭科室の前に、いつもの静けさはなかった。

 ざわざわと人だかりができ、扉の前には制服の新入生たちが詰めかけている。


「ここが家庭科部?」

「去年の文化祭のカレーのとこだよ! SNSで見た!」

「めっちゃ並んでたやつでしょ?」


 興奮混じりの声が次々に飛び交う。


「……えっ、ちょっと待って。あの列、全部うちの部目当て?」

 実花は部室の扉の隙間から外をのぞき、目を丸くする。


「やだ、予想の三倍はいるんだけど!」

 杏子が半分悲鳴をあげ、両手をばたばたさせる。


 一方、翔子は腕を組んで人だかりを冷静に観察していた。

「ふむ。文化祭の成功がここまで波及するとはね。……まあ、歓迎すべき事態だけど、これは効率的に捌かないと混乱するな」


 思いがけない人気爆発。

 家庭科部の新学期は、想像以上に賑やかな幕開けを迎えていた。


 部室の扉を閉めると、外のざわめきは少しだけ遠のいた。

 中ではすでに先輩たちが手分けして、新入生を迎える準備が進んでいる。


 テーブルの上には、彩りのよいフルーツサンドと、一口サイズのクッキーが並べられていた。

「ふふん、見た目で掴んで、味で落とす! これぞ必勝パターンよ!」

 杏子が胸を張り、デザートの角度まで微調整している。


「はいはい。……でもその前に動線を整えなきゃね」

 翔子は手元のメモを片手に、淡々と役割を指示していく。

「説明係は二人。調理体験の補助につく人が三人。残りは片付け担当。これで回せば無駄はない」


 的確な指示に、1年から進級したばかりの2年メンバーが頷いて散っていく。


「よし……じゃあ私は司会をやるね!」

 実花はホワイトボードの前に立ち、にこっと笑う。

「家庭科部へようこそ! って、ちゃんと声張らないとだめだよね」


 緊張感と期待感が入り混じる部室。

 先輩たちはそれぞれの役割を胸に、新入生との初対面を待ち構えていた。



チャイムが鳴ると同時に、部室の扉が勢いよく開いた。


「わぁ……すごい、人!」

「これ、入りきるのかな……」


 杏子のつぶやき通り、部室の前から続いていた人だかりが、なだれ込むように押し寄せてきた。

 制服のリボンがまだ固い新1年生たちが、目を輝かせながら次々に自己紹介を始める。


「去年の文化祭のカレー! 動画で見ました! 絶対入りたいと思って!」

「ぼく、料理はあんまり得意じゃないんですけど、食べるのは大好きで!」

「スイーツ作りに興味あって……ケーキとか、挑戦してみたいです!」


 熱気に押されるように、部室の空気がぐっと濃くなる。


 中でも目立つのは三人。

 一人は、髪をきっちり結んでノートを手にした几帳面そうな女子。

 もう一人は、口元にいたずらっぽい笑みを浮かべたお調子者の男子。

 そして、カラフルな筆箱を抱えた、目をきらきら輝かせるスイーツ好きの女子。


「こ、これは……」

 実花はホワイトボードの前で笑顔を保ちながら、内心で悲鳴を上げた。

(多すぎて、名前が覚えられない……!)


「えーっと……自己紹介、順番にお願いします!」

 声を張り上げる実花の横で、杏子は小声で呟く。

「これ、文化祭より大盛況じゃない?」


 翔子は腕を組み、冷静に人波を観察する。

「ふむ……これだけいれば、戦力になるかもね。……ただし、全員覚えられるかどうかは別」


 部室の狭さも忘れるほどの熱気の中、家庭科部の新しい物語が、確かに動き出していた。



家庭科室のテーブルに、クッキーの型抜きとフルーツ、ミキサーが並ぶ。

 先輩たちの声に導かれるように、新入生たちが手を動かし始めた。


「はい、バターはここ。砂糖は計量カップでね。――動線がごちゃついてる、もう少し横に並んで」

 翔子がテキパキと指示を出す。その的確さに、新入生たちは思わず「は、はいっ!」と返事をしてしまう。


「うんうん! このイチゴカット、いいじゃん! ほら、映える〜! インスタに載せたら確実にバズる!」

 杏子は新入生の作業を覗き込み、いちいち盛り上げて場を華やかにする。笑顔が飛び交い、自然と笑い声が混じる。


「すごい、みんな手際いいよ。焦らなくて大丈夫! 楽しく作ろうね!」

 実花は一人ひとりに声をかけて回り、緊張を和らげる。頬をほころばせる新入生が次々に増えていった。


 やがて、オーブンに入ったクッキーから甘い香りが漂い、ミキサーの回転音が室内を包む。

 笑い声と香りが交じり合い、まるで文化祭の準備中のような活気が広がる。


「クッキーの形、星にしたんだ!」

「え、こっちはハートだよ。かわい〜!」

「スムージー、色合いきれい! これ、映えるわ」


 先輩と後輩の区別もなく、ワイワイとした声が絶えない。

 部室の空気は、すでに“家庭科部”の一員としての仲間意識で満ちていた。


焼き上がったクッキーが皿に並び、ミキサーから注がれたスムージーがグラスを彩る。

 試食タイムが始まると、あちこちで「おいしい!」の声が弾けた。


「サクサク! これ、手作りって信じられない!」

「スムージー、フルーツが濃い〜!」

 新入生たちの瞳がきらきら輝いている。


 その光景を眺めながら、実花は胸を高鳴らせた。

「今年はさらに賑やかになりそう! 楽しみだね!」


 そこへ顧問が顔をのぞかせ、腕を組んでにやり。

「人気すぎて、入部者は調整が必要かもしれんぞ。お前たち、覚悟しておけよ」


 一瞬、部室がざわつく。だが――翔子は腕を組んで冷静に返した。

「人が増えれば作業効率も変わります。しっかり仕組みを作って、全員が動けるようにします」


「さすが翔子!」と杏子が笑い、勢いよく手を挙げた。

「でもさ! こんだけ仲間が増えるなら……文化祭、めっちゃ盛り上がるでしょ! もう今からワクワクなんだけど!」


 甘い香りの漂う部室に、期待と熱気が渦を巻く。

 ――家庭科部の新しい物語が、今まさに始まろうとしていた。


◆レシピ掛け合い会(勧誘クロージング版)


実花:「はい、できたてクッキーとスムージー、みんな自由に取ってね!」

新1年男子(お調子者):「うおっ、マジで店の味! これ部活で毎日食べられるとか、最高じゃん!」

杏子:「毎日はムリだけどね(笑)。でも文化祭とかイベントでは、もっと派手に作るよ!」


新1年女子(スイーツ好き):「このクッキー、チョコチップがゴロゴロしてて幸せ…♡」

翔子:「計量をきっちり守れば、誰でもこの仕上がりになる。だから初心者でも安心」

新1年女子(几帳面タイプ):「えっ、本当ですか? レシピ通りにすれば…」

実花:「うん! むしろ几帳面な人ほど上手くいくよ!」


杏子:「あ、でも私は“盛り付けセンス”重視派! インスタ映え最強にするから!」

新1年男子:「じゃあ俺は“味見係”担当で!」

翔子:「味見は最後の検品に回す。……あなたは皿洗いから」

新1年男子:「えっ、オチ担当!?」


顧問にやり:「まあ、こんな感じで賑やかだから人気なんだろうな」

実花:「ね? 楽しく作って、みんなで食べられる。だから料理は部活にぴったりなんだよ」


コメント


ここでは 「先輩の個性」+「新入生の特徴」 を会話に反映して、自然にキャラ立てを強調しました。


新1年男子=お調子者担当 → ボケ役。


新1年女子(几帳面)=真面目リアクションでツッコミ。


新1年女子(スイーツ好き)=食レポ担当。


顧問が「人気の理由」を一言でまとめ、全体を締める形にしました。



チョコチップクッキー(初心者向け)

材料(約20枚分)


薄力粉 … 150g


ベーキングパウダー … 小さじ1/2


無塩バター … 80g


砂糖 … 70g


卵 … 1個


チョコチップ … 60g


作り方


バターを常温で柔らかくし、砂糖を加えて白っぽくなるまで混ぜる。


溶き卵を少しずつ加え、よく混ぜる。


薄力粉とベーキングパウダーをふるい入れ、ゴムベラでさっくり混ぜる。


チョコチップを加え、生地をひと口大に丸める。


クッキングシートを敷いた天板に並べ、170℃に予熱したオーブンで15分焼く。


ポイント:混ぜすぎないこと。焼きたては柔らかいけど、冷めるとサクッとする。


フルーツスムージー(2人分)

材料


冷凍ベリー(いちご・ブルーベリーなど) … 100g


バナナ … 1本


牛乳または豆乳 … 150ml


ヨーグルト … 100ml


はちみつ … 大さじ1


作り方


材料をミキサーに全部入れる。


滑らかになるまで攪拌する。


グラスに注ぎ、ミントを添えれば完成。


ポイント:冷凍フルーツを使えば氷不要で濃厚な仕上がり。色も鮮やかで映える!


レシピ作成コメント


クッキーはオーブンを使うので「みんなで待ってる間におしゃべり」が自然に生まれる → 部活の雰囲気づくりに最適。


スムージーは短時間で完成し、色鮮やかでSNS映え → 新入生のテンションを上げる効果。


「焼く系」と「混ぜる系」を組み合わせることで、初心者と経験者がバランスよく楽しめる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ