50. 春休み特別活動:卒業生を送る会
――春休みの昼下がり、部室には柔らかな日差しが差し込んでいた。
長机の上には色とりどりの付箋とペン、そして湯気の立つ紙コップのココア。
「じゃあ――卒業生を送る会の段取り、始めます」
司会役の実花が軽く手を叩くと、部員たちの視線が集まる。
「お菓子は華やか系にしよう。映えるやつ!」
杏子が目を輝かせて宣言。まるで脳内にすでにケーキの完成図が浮かんでいるようだ。
「でも食事も必要だよ。軽めで食べやすいものを」
翔子はノートにメニュー案を走り書きしながら冷静に指摘する。
「飾り付けって……風船とかリボンとかですか?」
1年女子が恐る恐る手を挙げると、杏子が「もちろん! しかも大量に!」と即答。
「スケジュールは守れよ。春休み中だし、時間短いんだからな」
顧問の低い声が全員を現実に引き戻す。
こうして――調理班、飾り付け班、アルバム制作班に分かれた役割分担が、カラフルな付箋に書き込まれていった。
会議室の空気は、少しずつ準備モードの熱を帯びていく。
――春休みの朝、家庭科室と部室は慌ただしい熱気に包まれていた。
調理班はエプロン姿でテーブルにずらりと並ぶ食材と格闘中。
パンの耳を落としながら、1年男子が「これ、めっちゃ量ありますよ!」と悲鳴を上げる。
「いいから、どんどん挟んで! 見た目も味も両立!」
翔子が手早く具材を彩りよく並べ、サンドイッチの断面を確認して満足げにうなずく。
その横では杏子がミニケーキにホイップを絞り、仕上げにいちごをのせて「映えポイント、完璧!」とご満悦。
別テーブルではカラフルなゼリーが次々とカップに流し込まれ、冷やし固めの段階へ。
一方、飾り付け班の部室はまるで遊園地のよう。
風船を膨らませた1年女子が「手、もうパンパンです…!」と笑いながらガーランドを吊るし、
壁には寄せ書きがぎっしり詰まった大きな横断幕が広がる。
その中心に「ありがとう先輩!」の文字が太く輝いていた。
アルバム班はパソコンに向かい、プロジェクターのテスト投影を繰り返す。
画面に映し出されるのは、部活で汗を流す先輩たちの笑顔。
「BGMはこれでどうですか?」と1年女子が曲を流すと、教室が一瞬だけ感傷的な空気に包まれた。
そのとき、顧問が廊下から声を張る。
「あと30分で卒業生が到着するぞ! ラストスパートだ!」
部員たちは一斉に返事をし、作業の手が一段と速くなる。
期待と緊張と、少しの名残惜しさ――すべてが入り混じった特別な空気が、部室と家庭科室を満たしていた。
――昼下がりの部室前。
緊張した面持ちの1年女子が廊下へ飛び出し、卒業生たちを呼びに行った。
「先輩方、準備が整いました! どうぞこちらへ!」
ドアの前で顔を見合わせる三人の卒業生――女子二人と男子一人。
「なんかドキドキするな」「何企んでるんだろ」などと笑いながら扉を押し開けた、その瞬間。
「おめでとうございますーっ!」
「先輩、ありがとうー!」
――ぱんっ! ぱんぱんっ!
室内に響き渡るクラッカーの破裂音と、色とりどりの紙吹雪。
壁には「ありがとう先輩!」の大きな横断幕、頭上には風船のアーチ。
一気に弾けた祝福の空気に、卒業生たちは目を見開き、そして思わず笑みをこぼした。
「……すごい……」
「こんなに準備してくれたんだ……」
その感嘆の声に、在校生たちは胸を張るようにうなずく。
そして、前に進み出た杏子が両手で花束を差し出した。
「先輩たち、本当にお世話になりました! 私たち、ちゃんと受け継いでいきます!」
差し出された花束を受け取った卒業生女子は、思わず目頭を押さえる。
男子の先輩も「お前ら、やるじゃん」と照れくさそうに笑いながら、肩をすくめた。
部室いっぱいに広がる拍手と歓声――
サプライズの幕開けは、最高の成功を収めたのだった。
◆レシピ掛け合い会(部室/準備中)
杏子:「やっぱり主役はミニケーキでしょ! 生クリームと苺、あとチョコソースで華やかに!」
翔子:「甘い系だけじゃお腹にたまらないでしょ。サンドイッチでバランス取ろう。具は卵、ハムチーズ、野菜――食べやすいサイズに」
実花:「色味も大事だから、ゼリーは三色。赤・青・黄のカラフルで透明感あるやつね。春っぽく仕上げよう!」
1年女子:「えっ、そんなに色作れるんですか? キラキラして可愛い……!」
杏子:「ふふ、ゼリーは簡単だよ。粉ゼラチンとジュースを混ぜるだけ。冷やせば映えるお菓子に大変身!」
翔子:「ただし時間はかかるから、最初に仕込む。冷蔵庫のスペース確保も忘れないで」
顧問:「お前ら、語ってばかりじゃなくて手を動かせ。あと調理台は片付けながらな」
杏子:「じゃあ、私はミニケーキ班!」
翔子:「私はサンドイッチ統括。具材切りとパン並べ、任せた!」
実花:「私はゼリー。1年生、こっち手伝って!」
1年女子:「はいっ!」
――こうして、春休みの特別メニューは手際よく決まっていった。
ミニ苺ショートケーキ風カップケーキ
材料(6個分)
カップケーキ(市販のものでも可) 6個
生クリーム 200ml
砂糖 大さじ2
苺 6粒
チョコソース 適量
作り方
生クリームに砂糖を入れて泡立てる。
カップケーキの上に生クリームを絞る。
苺を1粒ずつ乗せ、チョコソースをかけて完成。
杏子コメント:「苺とクリームは正義! 卒業写真に映えること間違いなし!」
カラフルミニサンドイッチ
材料(2人分)
食パン(8枚切り) 4枚
卵サラダ(ゆで卵+マヨ) 適量
ハム&チーズ 適量
レタス&トマト 適量
作り方
食パンを半分に切る。
それぞれ具材をはさみ、彩りよく並べる。
ピックやラップで留めると食べやすい。
翔子コメント:「片手で食べられるサイズ感が文化祭とかイベントの鉄則だよ。腹ペコでも軽やかに食べられる!」
春色三色ゼリー
材料(3色分)
粉ゼラチン 10g
砂糖 大さじ2
ジュース(赤=苺、黄=オレンジ、青=ブルーハワイ) 各200ml
作り方
ジュースを温め、ゼラチンと砂糖を溶かす。
グラスに注いで冷やし固める。
色ごとに順番に重ねて、3層に仕上げる。
実花コメント:「透明感のある層ができたら大成功! 光に透けるゼリーは卒業生の笑顔をさらに引き立てるよ!」
顧問の一言
「どれも簡単だけど、時間配分と冷蔵庫の使い方が勝負だ。計画的に動けよ」




