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放課後キッチン、3年間のレシピ  作者: 南蛇井


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40. クリスマスビュッフェ準備① メニュー決定

放課後の部室には、小さなクリスマスツリーがちょこんと飾られ、赤と緑のガーランドが壁を彩っていた。机の上には分厚い料理本やお菓子雑誌が山のように積まれている。窓の外では、冬の冷たい空気がガラスを曇らせていた。


「よし——」

顧問が両手をパンと叩き、全員の視線を集める。

「今年も恒例のクリスマスビュッフェをやるぞ」


「おーっ!」と杏子が椅子から立ち上がる勢いで歓声を上げた。

「今年はもっと豪華にいきましょうよ!」

その目は完全にイルミネーションよりもキラキラしている。


実花は冷静に手元のノートを開きながら首を傾げる。

「でも、予算は去年と同じですよね?」

「……ぐぬぬ」杏子は口を尖らせる。


「食材の調達と、作れる時間も考えないとだな」翔子が現実的な視線で話を切り込む。

「お前の“豪華”って大抵手間と金がかかるから」


「去年の反省も生かすぞ」佐伯先輩が腕を組んで続けた。

「甘い系としょっぱい系のバランス、忘れるなよ」


杏子は何やらニヤリと笑い、すでに“豪華計画”を頭の中で膨らませているようだった。


ホワイトボードの前に全員が集まり、マーカー片手に料理案を書き殴る時間が始まった。

「まずは、やっぱりこれでしょ!」杏子が勢いよく書く——『ローストチキン』。

字も勢いがありすぎて、やや斜めに傾いている。


「甘い系からも入れましょう」実花が丁寧な字で『ブッシュ・ド・ノエル』を追加。

その横で杏子が「文字までお上品…」とぼそっと感想を漏らす。


「しょっぱい系も忘れんなよ」翔子がさらさらと『キッシュ』『ラザニア』と書き足す。

「見た目も映えて、作り置きも効くやつな」


「サラダや前菜もいるな」佐伯先輩がマーカーを奪い取り、『カプレーゼ』『マリネ』を記入。

「肉と炭水化物だけじゃバランスが悪い」


「あと飲み物だ」顧問が『ホットココア』『アップルサイダー』『アイスティー』を追加。

「温かいのと冷たいの、両方用意しよう」


……気づけばホワイトボードはびっしり。字の大きさも方向もバラバラで、見た目はすでにカオスだ。


「えっと……これ、何品作るつもり?」実花が苦笑いする。

杏子は胸を張って答えた。

「全部!」

全員「無理!」

机の上に広げられた料理案リストを前に、全員が真剣モードになっていた。

「チキンを丸ごと焼くのは、時間的に厳しいかもしれません」実花が慎重に口を開く。

「調理時間もオーブン占有時間もかかりますし」


「じゃあ、モモ肉だけローストして数を稼ぐか」翔子がすぐに代案を出す。

「味付けを変えて二種類くらいにすれば、見た目も豪華にできる」


「でも、ブッシュ・ド・ノエルは絶対やりたい!」杏子が即座に挙手。

「去年よりデコレーションを盛って、クリスマス感マシマシで!」

「……お前の“マシマシ”はいつも危険なんだよな」翔子が眉をひそめる。


「工程が重なると混乱するから、スケジュールもちゃんと組むぞ」佐伯先輩がメモ帳に手早くタイムテーブルを書き込み始める。

「オーブンの使用順、仕込みの時間、盛り付けの段取り——全部管理する」


顧問がホワイトボードにマーカーを走らせた。

「飲み物は……ホットチョコレートとスパークリングジュースで決まりだ」

その声に、杏子が「よっしゃ!」と小さくガッツポーズ。


こうして、豪華だけどギリ現実的なビュッフェメニューが固まりつつあった。

ホワイトボードに並んだ料理名が、ついに確定の形を取った。


ローストチキン(モモ肉)


ブッシュ・ド・ノエル


キッシュ


カプレーゼ


クッキー詰め合わせ


ホットチョコレート&スパークリングジュース


杏子が手を腰に当て、満足げに頷く。

「よし! 去年より華やかになった!」

目がキラキラしていて、まるでサンタからプレゼントを受け取った子どものようだ。


「作りやすさと見栄えのバランスもいい感じですね」実花も微笑む。

「どの皿も色が映えるから、テーブルが一気にクリスマスになりますよ」


「じゃあ次はレシピと買い出しリストだな」翔子が手帳をぱらりと開く。

その声に、佐伯先輩も「買い出し担当は分けよう。重いものは俺が持つ」とすかさずフォローを入れる。


顧問が一歩下がって全員を見回し、にやりと笑った。

「……今年のビュッフェ、かなり楽しみになってきたな」


こうして、部の冬最大イベントに向けた準備が、本格的に動き出した。



【レシピ掛け合い】


杏子「まずはローストチキン! モモ肉に塩コショウして、ガーリックとハーブで下味をつけて…」

翔子「オーブン任せなのがいいな。途中でひっくり返して焼き色を均等に」

実花「付け合わせはベビーリーフとミニトマトで彩りアップですね」


実花「ブッシュ・ド・ノエルは、ココアスポンジを焼いて、生クリームと苺で巻く感じで」

杏子「チョコガナッシュを塗って、フォークで木目模様つけるの楽しそう!」

翔子「去年より巻き崩れないように、スポンジはしっかり冷ましてからね」


翔子「キッシュはパイシートを敷いて、ほうれん草とベーコンとチーズ」

佐伯先輩「卵液は生クリーム多めで濃厚にしたいな」

杏子「おしゃれ感MAXメニュー担当だね」


佐伯先輩「カプレーゼはモッツァレラチーズ、トマト、バジルを並べてオリーブオイル」

実花「簡単だけど見栄えがいいから助かります」


杏子「クッキーは星形とかツリー型とか作りたい!」

翔子「型抜き係はお前に任せる。焦がすなよ」

杏子「任せろ!(フラグ)」


顧問「ホットチョコレートはココアパウダーとミルクを温めて、マシュマロを浮かべよう」

実花「スパークリングジュースは、フルーツも入れたら華やかですね」


杏子「これ…ビュッフェ台に並べたら絶対インスタ映えするやつ!」

翔子「まずは完成させてから言え」



40話レシピ:クリスマスビュッフェ

1. ローストチキン(モモ肉)


材料(4人分)


鶏モモ肉…4枚


塩…小さじ1


黒こしょう…少々


にんにく(すりおろし)…1片


ローズマリー(乾燥でも可)…小さじ1


オリーブオイル…大さじ1


付け合わせ(ベビーリーフ・ミニトマト)…適量


作り方


鶏モモ肉の余分な脂を取り除き、塩・こしょう・にんにく・ローズマリー・オリーブオイルを揉み込む。


室温で15分ほど置いて味をなじませる。


200℃に予熱したオーブンで皮目を上にして20分焼く。


途中で裏返し、さらに10〜15分焼き、焼き色がついたら完成。


付け合わせの野菜と一緒に盛り付ける。


2. ブッシュ・ド・ノエル


材料(1本分)


卵…3個


グラニュー糖…70g


薄力粉…50g


ココアパウダー…10g


生クリーム…200ml


苺…8〜10粒


チョコレート…50g


牛乳…50ml


作り方


卵と砂糖をボウルで泡立て、もったりしたら薄力粉とココアをふるって加える。


天板にクッキングシートを敷き、生地を流し入れ180℃で10〜12分焼く。


冷ましたスポンジに泡立てた生クリームと刻んだ苺をのせ、巻く。


チョコと牛乳を溶かしてガナッシュを作り、外側に塗る。


フォークで木目模様をつけ、飾り用の苺や粉砂糖をのせる。


3. キッシュ


材料(直径18cmタルト型1台分)


冷凍パイシート…1枚


ほうれん草…1/2束


ベーコン…50g


ピザ用チーズ…50g


卵…2個


生クリーム…100ml


塩・こしょう…少々


作り方


パイシートを型に敷き、フォークで穴をあける。


下茹でしたほうれん草とベーコンを並べる。


卵・生クリーム・塩・こしょうを混ぜた卵液を流し入れ、チーズを散らす。


180℃で25〜30分焼く。


4. カプレーゼ


材料(4人分)


モッツァレラチーズ…200g


トマト…2個


バジルの葉…適量


オリーブオイル…大さじ1


塩…少々


作り方


トマトとモッツァレラチーズを同じ厚さにスライスする。


トマト→チーズ→バジルの順で並べ、オリーブオイルを回しかける。


塩で味を整える。


5. クッキー詰め合わせ


材料(約30枚分)


薄力粉…200g


バター…100g


砂糖…80g


卵…1個


バニラエッセンス…少々


作り方


室温に戻したバターと砂糖をすり混ぜ、卵とバニラエッセンスを加える。


薄力粉をふるって加え、ひとまとめにする。


冷蔵庫で30分休ませる。


型で抜き、170℃で12〜15分焼く。


6. ホットチョコレート


材料(2杯分)


ココアパウダー…大さじ2


砂糖…大さじ2


牛乳…300ml


マシュマロ…適量


作り方


小鍋にココアパウダーと砂糖を入れ、牛乳少量を加えてよく混ぜる。


残りの牛乳を加えて温める。


カップに注ぎ、マシュマロを浮かべる。


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