34. 部内表彰会(売上&貢献度)
放課後の部室は、どこか文化祭前とは違う静けさに包まれていた。
模擬店の道具や装飾はすでに片付けられ、机の上には書類と紙袋だけが置かれている。
顧問が腕を組んだまま立ち、短く宣言した。
「今日は文化祭模擬店の売上報告と表彰をする」
その一言で、部員たちの空気が一気にざわつく。
実花は期待と緊張の入り混じった顔で姿勢を正し、翔子はペンを回しながらも耳はしっかり傾けている。
杏子はと言えば、にやりと笑いながら口を開いた。
「これって、もしかしてトロフィーとかある?」
「そんな予算ないだろ」
即座に翔子がツッコミを入れる。
杏子は「えー夢がないなぁ」と不満げに頬を膨らませるが、その目はすでに紙袋の中身を狙っていた。
放課後の部室は、どこか文化祭前とは違う静けさに包まれていた。
模擬店の道具や装飾はすでに片付けられ、机の上には書類と紙袋だけが置かれている。
顧問が腕を組んだまま立ち、短く宣言した。
「今日は文化祭模擬店の売上報告と表彰をする」
その一言で、部員たちの空気が一気にざわつく。
実花は期待と緊張の入り混じった顔で姿勢を正し、翔子はペンを回しながらも耳はしっかり傾けている。
杏子はと言えば、にやりと笑いながら口を開いた。
「これって、もしかしてトロフィーとかある?」
「そんな予算ないだろ」
即座に翔子がツッコミを入れる。
杏子は「えー夢がないなぁ」と不満げに頬を膨らませるが、その目はすでに紙袋の中身を狙っていた。
顧問が手元の書類をめくり、咳払いひとつ。
「文化祭3日間の売上は——目標の150%達成だ」
部室の空気が一瞬止まり、それから一気に爆発した。
「えっ、そんなに!?」
実花が目をまん丸にして声を上げる。
「ほら見ろ! これは間違いなく私の呼び込み効果だな!」
杏子が胸を反らせ、ドヤ顔を披露。
すかさず翔子が椅子から身を乗り出し、冷静に突っ込む。
「いや、味も大事だろ。呼び込みだけじゃリピーター来ないし」
「……まぁ、それもそうかも?」と杏子が一応認めるが、笑顔は崩さない。
顧問は「どっちも大事ってことでいい」とまとめながら、次の発表へと進んだ。
顧問が机の横から紙袋をゴソゴソと引っ張り出した。
「次は、文化祭で特に貢献度の高かった部員を表彰する」
部員たちの視線が一斉に袋へ集中する。
中から取り出されたのは、四つの小さな包み。
「まず——佐伯。お前は『冷静なリーダーシップ賞』だ」
顧問が差し出したのは、高級感あるボールペン。
「おお、これ使いやすそう」先輩は微笑みつつも、ちょっと照れくさそうに受け取る。
「実花、『味の番人賞』。三日間、味のブレをなくした功績だ」
渡されたのは可愛いパティシエ柄のメモ帳セット。
「……これ、レシピ書き込む用にします」実花は口元をほころばせる。
「翔子、『調理スピードマスター賞』」
袋から出てきたのはキッチンタイマー。
「これでさらに精度上げろってこと?」と苦笑しながらも、受け取った手は嬉しそうだ。
「最後、杏子——『爆音営業賞』」
顧問が差し出したのは、のど飴の大袋。
「……地味に実用的!」杏子は笑いながら受け取る。
表彰を終えた顧問は満足げにうなずき、部室には和やかな拍手が広がった。
顧問がふと、まだ机の下に何かを隠しているような素振りを見せた。
「……実は、もうひとつある。これは“特別賞”だ」
部員たちの視線が再び集中する。
顧問が取り出したのは、きれいに畳まれたおそろいのエプロン。
胸元には、文化祭用に誰かが手描きしたあの模擬店ロゴが、可愛くプリントされていた。
「これは、三日間走り切ったお前ら全員へのご褒美だ」
顧問がそう言って一人ずつ手渡すと、自然と笑顔が広がる。
杏子はエプロンを広げて「来年もこれ着てやろうぜ!」と宣言。
翔子は肩越しにちらっと見て「……来年はデザイン変えるのもアリかもな」と返す。
実花は「じゃあ、その時はもっとおしゃれなロゴ描くよ」と頷き、
佐伯先輩は「来年は俺いないけど、その姿、見に来るかもしれんな」と少し照れくさそうに笑った。
部室の空気は、文化祭の余韻と新しい思い出で、また温かく満たされていった。
【34話 レシピ掛け合い】
杏子「ねぇねぇ、今日って本当に表彰とかあるの?」
翔子「あるって言っても、どうせ賞状と拍手くらいだろ」
実花「それでもちょっと緊張するよね…」
佐伯先輩「お、顧問来たぞ。始まるみたいだ」
顧問「まずは売上報告だ。目標の150%を達成した」
杏子「よっしゃー! やっぱ私の呼び込み効果!」
翔子「味もあったからだろ」
実花「う、うん…でも嬉しい」
顧問「個人表彰に移る。佐伯、冷静なリーダーシップ賞」
佐伯先輩「光栄だな」
顧問「実花、味の番人賞」
実花「わ、私ですか!?」
顧問「翔子、調理スピードマスター賞」
翔子「まぁ当然かな」
顧問「杏子、爆音営業賞」
杏子「やったー! これで来年もマイク係だ!」
顧問「最後に特別賞だ。全員にエプロンを贈る」
杏子「おおっ、ロゴ入り!」
翔子「来年はデザイン変えるのも面白いかも」
実花「このロゴ、文化祭の思い出になるね」
杏子「さて…もらったお菓子は全部私が――」
実花「待って! 分けようよ!」
翔子「また始まった…」
顧問「やっぱり騒がしいな、この部は」




