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放課後キッチン、3年間のレシピ  作者: 南蛇井


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第27話  屋台設営&試食最終調整

――文化祭前日。

朝から校庭の一角は、木材と工具の音でやたらとにぎやかだった。


「はい、こっちの柱押さえて!」

実花が設営図を手に、真剣な表情で指示を飛ばす。


翔子は軍手をはめた手で木枠を支えながら、隣の佐伯先輩がドリルで固定するのを見守る。

「先輩、ちょっと右寄せた方が水平出ます」

「おう、任せろ」――カシュン、と軽快な音が響く。


一方その横では、杏子が日差しを浴びながら汗をぬぐい、ぼやいた。

「これ、バーベキュー準備じゃなくて工事現場だよね? なんなら私、ヘルメット欲しい」

「はいはい、じゃあ“現場監督”って名札もつける?」と翔子が軽口を返す。


「監督なら机の前で指示する役がいいな~。力仕事は苦手」

「それ、今の実花がやってる役だから」

「え、じゃあ私は…監督のアシスタント?」

「いや、普通に手伝え」実花が淡々とツッコむ。


木枠が形を成し、テントの白い布が張られていく。

夏の名残りの熱気と、文化祭前日の独特の高揚感が入り混じり、汗だくでも全員の顔はどこか楽しげだった。


――文化祭前日。

朝から校庭の一角は、木材と工具の音でやたらとにぎやかだった。


「はい、こっちの柱押さえて!」

実花が設営図を手に、真剣な表情で指示を飛ばす。


翔子は軍手をはめた手で木枠を支えながら、隣の佐伯先輩がドリルで固定するのを見守る。

「先輩、ちょっと右寄せた方が水平出ます」

「おう、任せろ」――カシュン、と軽快な音が響く。


一方その横では、杏子が日差しを浴びながら汗をぬぐい、ぼやいた。

「これ、バーベキュー準備じゃなくて工事現場だよね? なんなら私、ヘルメット欲しい」

「はいはい、じゃあ“現場監督”って名札もつける?」と翔子が軽口を返す。


「監督なら机の前で指示する役がいいな~。力仕事は苦手」

「それ、今の実花がやってる役だから」

「え、じゃあ私は…監督のアシスタント?」

「いや、普通に手伝え」実花が淡々とツッコむ。


木枠が形を成し、テントの白い布が張られていく。

夏の名残りの熱気と、文化祭前日の独特の高揚感が入り混じり、汗だくでも全員の顔はどこか楽しげだった。

――午前の設営がひと段落し、次は看板と装飾の番。


「よーし、派手にいくよ!」

杏子が刷毛を手に取り、赤・黄・ピンクと順番にペンキを塗り始める。まるで色の洪水だ。


「おいおい、これ目を開けて見られないレベルだぞ」

隣で同じく刷毛を握る翔子が眉をひそめる。

「文化祭だし派手でいいじゃん」

「派手と目のチカチカは別物だって」


杏子は「じゃあワンポイントだけ派手に」と言いつつ、また別の原色を足そうとする。

「それ、すでにワンポイントじゃなくてフルコンボ」翔子が即座にストップ。


一方、実花は屋台の縁にシンプルな布を垂らし、小さな花飾りを等間隔に並べていた。

「やっぱり、落ち着いた色の方が料理が映えるよね」

その静かな作業音の奥で、「もっと塗らせて!」「却下!」という攻防が続く。


「よし、上の飾りは俺がやる」

佐伯先輩が脚立を持ち出し、高所の装飾を淡々とこなす。

安定した手つきで布を結び、花飾りを等間隔に配置するその姿は、もはや職人だった。


やがて看板は、派手と落ち着きの絶妙な中間地点に着地。

「ほら、ちょっとは映えるでしょ!」杏子が胸を張る。

「うん、チカチカは回避できたな」翔子が苦笑した。


――午後に入り、いよいよ機材搬入の時間。


校庭の端から模擬店スペースまで、調理器具や食材の山を何往復も運ぶ。


「……これ、文化祭準備というよりジム通いでは?」

杏子が砂糖10キロ袋を抱えてふらふら歩く。


「去年の“筋トレ回”再来だな」

翔子は小麦粉袋を肩に担ぎ、軽口を叩く。


次の瞬間、杏子の手元がぐらり。袋が地面に落ちかけた瞬間、

「ほいっ」

佐伯先輩が横からスッとキャッチ。袋は無事、地面に触れずに済んだ。


「ナイスキャッチ……じゃなくて、ナイス救出だな」翔子が感心する。

杏子は顔を赤らめ、「ありがとう…でもちょっと恥ずかしい」とぼそり。


その横で実花がため息混じりに言った。

「明日が本番だから、ケガだけはしないでね。袋よりあなたの方が壊れやすいんだから」


杏子は「はいはい」と返事しつつ、今度はしっかり袋を抱え直した。

放課後、屋台の中では甘い香りが立ちこめていた。


前日に仕込めるスイーツの試作が始まり、翔子はオーブンの前で腕組み。

「……もう10秒、いや5秒焼いた方が香ばしいな」

彼女の目は真剣そのものだ。


隣では実花が計量スプーンを手に、粉や砂糖の分量を微調整。

「この割合なら、明日でも食感が保てるはず」

ぶつぶつ言いながら、メモ帳に数字を書き込む。


その後ろで、杏子が完成した試作品にフルーツやミントを山盛りにして――

「じゃーん!インスタ映え確定!」

と得意げに掲げた瞬間、バランスが崩れ、クリームの塔が横倒しに。


「おおっと!あぁぁぁ…」

杏子が慌てて立て直そうとするが、もう遅い。


「映えも大事だが、まずは形を保とうな」

佐伯先輩が苦笑しながら、倒れたクリームをスプーンで救出する。


杏子はしゅんとしつつも、「じゃあ次は安定感ある映えを目指す」と前向きに言った。


試作が一段落すると、テーブルの中央に色とりどりのスイーツが並べられた。

部員全員、スプーンを片手に小さな試食会が始まる。


「甘さはちょうどいいな」翔子が頷く。

「でも、もうちょっと酸味があったほうが口がリセットされて食べやすいかも」実花が冷静に分析。

「じゃあフルーツソースを足してみようか」佐伯先輩が提案し、すぐに試作が再開される。


そこへ顧問がひょっこり顔を出した。

「お、いい香りがするな。……ふむ、これは明日はこの味でいこう」

太鼓判が押され、場の空気が一気に明るくなる。


「やった!売れ残ったら私が全部食べる!」杏子が満面の笑み。

「いや、それは困るから売り切ろう」実花が即座に突っ込み、全員が笑いながら次の作業へ移った。


調理台の上に残った粉や器具を片付けながら、部員たちは自然と明日の動きを頭の中でなぞっていた。


「はい、ここが注文受付。で、受け取ったらこっちに回して…」実花が手振りを交えて説明する。

翔子はその流れに沿って実際に歩き、「うん、ここで詰まるとロスが出るな。時間との勝負になるね」と真剣な表情。

佐伯先輩は腕を組み、「だからこそ、今の段取りが大事だ。明日は一発勝負だからな」と低めの声で締めた。


杏子は…その横でスイーツの箱を抱えて、「これ、もう一回味見…」

「それ、片付け終わってから!」と全員から突っ込まれ、笑い声が炊事場に響いた。


【27話レシピ掛け合い(漫才調)】


杏子「文化祭って屋台設営って聞いてたのに…これ、ほぼ工事現場だよね?」

翔子「ペンキ塗ってる手は確かにDIY感あるな」

実花「でも看板は食欲そそる色にしないと」

杏子「じゃあ金色に!」

翔子「落ち着け、うちのスイーツ屋台がラーメン屋みたいになる」


佐伯先輩「搬入も終わったし、試作始めるぞ」

杏子「じゃあ盛り付けは任せて!」

(派手すぎて崩す)

翔子「映えは命だけど、形が命より先に崩壊してる」

実花「明日はこれ以上派手禁止」


顧問「甘さもちょうどいい、明日はこれでいこう」

杏子「売れ残ったら私が全部食べる!」

実花「倒れるからやめて」


帰り際

杏子「看板に“甘さ100倍”って描いといた!」

実花「命を削るキャンペーンやめて」

翔子「明日朝までに直す」

佐伯先輩「文化祭は体力勝負だが…血糖値勝負にはしないぞ」











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