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放課後キッチン、3年間のレシピ  作者: 南蛇井


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第16話:クレープ試作① 生地の研究

放課後の調理室は、西日が差し込んでほんのりオレンジ色に染まっていた。

テーブルには薄力粉や卵、牛乳、砂糖といった基本の材料が並び、その横には杏子が持ち込んだ色とりどりのパウダー――抹茶、ココア、いちご――が、まるで絵の具のように並んでいる。


「具で彩り出すのもいいけどさ、生地そのものも映える色にしようよ!」

杏子が目を輝かせ、手にいちごパウダーの袋をひらひらさせる。


「えー……やっぱりクレープは王道のプレーン生地じゃない?」

実花はボウルを抱え、慎重に粉を計量しながら首を傾げた。


「色を付けすぎると味が変わるぞ」

翔子は淡々と、卵を割りながら釘を刺す。その表情はいつもの無表情寄りだが、口元が少しだけ笑っているようにも見えた。


杏子は「そこを上手くやるのが映え職人の腕でしょ!」と胸を張るが――実花と翔子の視線は、すでに「やれやれ」と言っていた。


調理台の上は、まるで理科室の実験準備のようだった。

計量カップ、ボウル、ホイッパーが整然と並び、その真ん中には小麦粉の袋が二種類――薄力粉と強力粉。さらに杏子が得意げに持ち込んだカラフルなパウダーが彩りを添えている。


「これが今日の秘密兵器!」

杏子は、抹茶、ココア、いちごパウダーを順番に机にトンと置く。粉が舞い、ほのかな香りが漂った。


実花は粉の袋を手に取り、「ねえ、薄力粉と強力粉をブレンドするとモチモチ感が変わるって、本で読んだよ」と目を輝かせる。


「ほう、知識は悪くないな」

翔子は淡々と牛乳を計量しつつ、「液体は少し多めにして、一晩寝かせるとグルテンが落ち着く。そうすると焼きやすくなる」とさらっと実践的アドバイスを放った。


杏子は「一晩寝かせる…今日すぐ食べられないじゃん!」と頬を膨らませるが、翔子は「試作は試作だ。結果を出すための我慢だ」ときっぱり。

そのやり取りに、実花は小さく笑いながら粉をふるい始めた。


ホットプレートの上で、三者三様のクレープ実験が始まった。


実花は中火に設定し、薄く均一に生地を広げる。「まずは王道から」と、ヘラで端までなめらかに伸ばしていく。表面に小さな気泡がぷつぷつと浮かび、きつね色に変わる瞬間を見極めて、くるりと返す――完璧な教科書スタイル。


「いっけー!」

杏子は火力を高にし、勢いよくお玉の生地を流し込む。じゅっと音が弾け、みるみるうちに香ばしい焼き色が広がっていく。だが…端がカリッと反り返り、パリパリ状態に。

「…あれ?クレープって煎餅系だったっけ?」と首をかしげる杏子に、翔子がため息混じりの視線を送る。


その翔子はというと、火を弱にしてじっくりと焼いていた。生地は均一な色合いで、ふんわりと柔らかそうな質感。「これなら破れにくいし、色もきれいに出る」と淡々と仕上げる姿は、まるで熟練の職人だ。


杏子はその焼き上がりを見て、「あっ、色生地は弱火だと発色きれいだね!」と目を輝かせる。

翔子は小さくうなずき、「学習できたなら上出来」とだけ言って、次の生地を流し込んだ。


焼き上がった生地を、色ごとに小さく切り分けて並べると、まるでパレットのように机が華やいだ。


「じゃ、まずはプレーンから」

実花がフォークで一口。もっちりとした食感に、ほのかな甘み。「うん、やっぱり基本は安心する味」


次は抹茶生地。淡い緑色が目に優しい。

「抹茶はほろ苦さがいいね。甘いクリームと合わせたら映えそう」

実花の言葉に、杏子も頷きながらパクつく。


翔子はココア生地を手に取り、ひと噛みしてから静かに評価する。

「ココアは香りが強くて…具を選ぶな。バナナとか濃い味系限定だな」


最後はいちご生地。ほんのりピンク色が愛らしい。杏子は一口食べて、すぐに両手を上げた。

「いちご生地かわいい! 写真映え間違いなし!」

「…味の感想は?」と翔子が冷ややかに返すが、杏子は満面の笑みで「かわいさは正義!」と押し切った。


焼き上がった生地を、色ごとに小さく切り分けて並べると、まるでパレットのように机が華やいだ。


「じゃ、まずはプレーンから」

実花がフォークで一口。もっちりとした食感に、ほのかな甘み。「うん、やっぱり基本は安心する味」


次は抹茶生地。淡い緑色が目に優しい。

「抹茶はほろ苦さがいいね。甘いクリームと合わせたら映えそう」

実花の言葉に、杏子も頷きながらパクつく。


翔子はココア生地を手に取り、ひと噛みしてから静かに評価する。

「ココアは香りが強くて…具を選ぶな。バナナとか濃い味系限定だな」


最後はいちご生地。ほんのりピンク色が愛らしい。杏子は一口食べて、すぐに両手を上げた。

「いちご生地かわいい! 写真映え間違いなし!」

「…味の感想は?」と翔子が冷ややかに返すが、杏子は満面の笑みで「かわいさは正義!」と押し切った。



第16話:彩りクレープ生地研究レシピ(掛け合い付き)


材料(約8枚分)


薄力粉 … 100g


強力粉 … 50g(※モチモチ食感用。全量薄力粉でもOK)


卵 … 2個


牛乳 … 300ml(※少し多めにして一晩寝かせると生地がしっとり/翔子)


砂糖 … 大さじ2


溶かしバター … 20g


抹茶パウダー … 小さじ1(緑)


ココアパウダー … 小さじ2(茶)


いちごパウダー … 小さじ1(ピンク)


作り方


基本生地を作る

 薄力粉・強力粉をボウルでふるい、卵・牛乳・砂糖を少しずつ加えて混ぜる。最後に溶かしバターを入れてなめらかに。

 杏子「ねえ、抹茶とかいちごとか入れたら超映えるでしょ!」

 翔子「色はいいが、味がケンカしないか確認しろ」


生地を分けて色づけ

 作った基本生地を4等分し、それぞれに抹茶、ココア、いちごパウダーを加える。1つはプレーンのままで。

 実花「わ、香りも色も一気に変わる!」

 翔子「粉はダマにならないように少量の生地で溶かしてから混ぜろ」


生地を寝かせる

 ラップをして冷蔵庫で30分以上(できれば一晩)寝かせる。

 杏子「え、一晩も? 待てない!」

 翔子「グルテンを落ち着かせるのは基本だ」


焼く

 フライパンを温め、薄く油を敷き、弱~中火で焼く。片面が乾いたら裏返し、数秒で取り出す。

 実花(中火・薄く均一)「これが一番食感バランスいいかも」

 杏子(高火力)「あっ、端がパリパリに!」

 翔子(弱火)「色生地は弱火のほうが発色がきれいだ」


試食タイム

 実花「抹茶はほろ苦くて大人味」

 翔子「ココアは香りが強くて具を選ぶな」

 杏子「いちご生地、写真映え確定!」


おまけの泥色事件

 杏子「余った生地、全部混ぜてみよう!」

 実花「それ…色やばくない?」

 翔子「完全に泥色」

 杏子「……味は、普通だよ?」

 全員「(笑)」





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