第15話 メニュー候補会議で意見が割れる
放課後の部室。机の上には色とりどりのレシピメモやスケッチが広がっていた。
文化祭のテーマは「彩」。今日は、そのテーマにぴったりな料理を決める会議だ。
「はいっ! 私の案は――ジャジャン! 虹色ゼリーとカラフル綿あめドリンク!」
杏子が勢いよく立ち上がり、描き込まれた色鉛筆のイラストを広げる。
グラスの中で虹色に輝くゼリー、その上にはふわふわの綿あめタワー。
「見た瞬間“映え”確定でしょ? 文化祭は派手さ勝負!」
「じゃあ私は……秋の彩り弁当」
実花は控えめに、でも丁寧な字で書かれた案を差し出す。
栗ご飯、赤かぶ漬け、黄色い卵焼き、ほくほくの煮物。
「季節感を大事にして、彩りも自然な感じにしたいんだ」
「私はこれだ」
翔子が提示したのは、シンプルながら洗練されたスケッチ。
彩り野菜のローストとハーブチキン。
「オーブンでまとめて焼けば提供も早いし、見た目も鮮やか。味も保証する」
「うん、みんなテーマは意識できてるな」
佐伯先輩が腕を組み、部員たちを見渡す。
「でも、派手さや味だけじゃなくて、調理時間や提供スピードも忘れるなよ。文化祭は一発勝負だからな」
紙の上ではもう鮮やかな料理が並んでいる。でも、本当に選ばれるのは一つだけ――。
部室の空気が、少しだけ熱を帯びた。
放課後の部室。机の上には色とりどりのレシピメモやスケッチが広がっていた。
文化祭のテーマは「彩」。今日は、そのテーマにぴったりな料理を決める会議だ。
「はいっ! 私の案は――ジャジャン! 虹色ゼリーとカラフル綿あめドリンク!」
杏子が勢いよく立ち上がり、描き込まれた色鉛筆のイラストを広げる。
グラスの中で虹色に輝くゼリー、その上にはふわふわの綿あめタワー。
「見た瞬間“映え”確定でしょ? 文化祭は派手さ勝負!」
「じゃあ私は……秋の彩り弁当」
実花は控えめに、でも丁寧な字で書かれた案を差し出す。
栗ご飯、赤かぶ漬け、黄色い卵焼き、ほくほくの煮物。
「季節感を大事にして、彩りも自然な感じにしたいんだ」
「私はこれだ」
翔子が提示したのは、シンプルながら洗練されたスケッチ。
彩り野菜のローストとハーブチキン。
「オーブンでまとめて焼けば提供も早いし、見た目も鮮やか。味も保証する」
「うん、みんなテーマは意識できてるな」
佐伯先輩が腕を組み、部員たちを見渡す。
「でも、派手さや味だけじゃなくて、調理時間や提供スピードも忘れるなよ。文化祭は一発勝負だからな」
紙の上ではもう鮮やかな料理が並んでいる。でも、本当に選ばれるのは一つだけ――。
部室の空気が、少しだけ熱を帯びた。
「だからさ、文化祭は派手さ勝負なんだって!」
杏子は机を軽く叩き、虹色ゼリーのイラストを指差す。
「見た瞬間“わぁ!”ってなるやつじゃないと、立ち止まってくれないよ!」
「でも…」
実花はお弁当案の紙を胸の前で持ちながら、少し困ったように眉を下げる。
「味も季節感も大事だよ。秋なのに綿あめは、ちょっと違和感ない?」
「それに、ゼリーは冷蔵スペースの確保が難しい」
翔子は淡々と現実的な問題を指摘する。
「大量に作って保存するとなると、家庭科室の冷蔵庫じゃ足りない」
杏子は口を尖らせて翔子をにらむ。
「翔子、夢がない! もっとこう…文化祭マジックを信じようよ!」
「夢だけじゃ腹は膨れん」
即答する翔子。
そこで、後ろで様子を見ていた佐伯先輩が、ふっと笑った。
「お前ら、どっちも正しいけど、現実も見ろ」
部室に、笑い混じりのため息が広がる。
議論はまだ続きそうだ――。
「じゃあ、どうやって決めるかだけど――」
佐伯先輩が話を切り出そうとしたところで、顧問の宮原先生が手を挙げた。
「口で言い合っても平行線だな」
眼鏡の奥で目を細め、落ち着いた声で続ける。
「一つに絞る前に、候補を実際に作って比較しなさい」
「おお、実食対決ってやつだ!」
杏子が机に身を乗り出し、目を輝かせる。
「いいね。作ってみれば、味や見た目だけじゃなく、時間や手間もわかる」
実花も頷きながらメモを取る。
「それで、候補は――」
佐伯先輩が黒板にチョークで書き出す。
① 彩り弁当(実花案)
② ハーブチキン&彩りロースト野菜(翔子案)
③ 虹色ゼリー(杏子案)
「来週の部活で、三つ同時に試作するぞ」
先輩の宣言に、部員たちの表情が一斉に引き締まった。
――そして、文化祭メニュー決定への本番が動き出す。
「ぜったい私のゼリーが一番映えるって!」
杏子が勝ち誇ったように腕を組む。
「映えるだけで勝てるなら、料理人いらないだろ」
翔子が即座に切り返し、杏子の笑顔が引きつる。
「……じゃあ、試食係は私が全部やるからね!」
実花がニコニコしながら宣言すると、部室の空気が一瞬止まり――
「食べたいだけじゃん!」
全員が同時に突っ込んだ。
笑い声が弾む中、文化祭メニュー決定への熱い戦いが、静かに幕を開けるのだった。
第15話 レシピ掛け合い
杏子:「じゃーん! 私の文化祭案は、虹色ゼリーとカラフル綿あめドリンク!」
実花:「すごい見た目…でも秋に綿あめって珍しくない?」
翔子:「珍しいというか、季節感ゼロだな」
杏子:「あんたたち夢がない!」
実花:「じゃあ私は“秋の彩り弁当”! 栗ご飯、赤かぶ漬け、卵焼き、煮物…味も色もバランスばっちり」
杏子:「地味! おばあちゃんち感!」
翔子:「でも秋らしくていい案だ」
翔子:「私のは“彩り野菜のローストとハーブチキン”。オーブン任せで調理効率もいい」
杏子:「彩りって言っても茶色多めじゃない?」
実花:「いやいや、パプリカやブロッコリーで華やかになるでしょ」
佐伯先輩:「お前ら、派手さも大事だが現実も見ろ」
宮原先生:「じゃあ、来週の部活で三つとも試作してみなさい」
杏子:「ふふ、私のゼリーが一番映えるから!」
翔子:「映えるだけで勝てるなら料理部いらない」
実花:「じゃあ試食係は私がやるね!」
全員:「食べたいだけだろ!」




