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すっとぼけ覇王のVRMMO蹂躙記  作者: 愛良夜
マクベル王国内戦編

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限定的介入Ⅱ

「第三王子ね」


フェンデル伯爵とその副官から全ての記憶とスキルを抽出したので、時間をかけて隅々まで見てみるクロウ。どうやらこのフェンデル伯爵は特定の人物を通して第三王子から兵を借りていたようだ。彼の記憶の中で黒い靄が顔にかかったような人物を通しているようだ。残念ながら他人の記憶にスキルは使えないので、クロウでも見抜けなかった。


「コンタクトでもしてみようかな」


本来なら第一王子に加勢するべきだが、クロエと綱引き戦をずっと行っているこの第三王子に興味がわいてきた。


「でもなんか反第一王子掲げてたしなぁ、やめとこ」


自分の部屋で人造英雄の新しい改造点を考えていると、小宵がクロウのいる執務室に現れた。


「旦那様、第三王子からの手紙です。どうやら我々のフロント企業を通してこの手紙を渡したようです。毒や開封で起動する魔法等は仕掛けられていませんでした」

「どれどれ」


ペーパーナイフを取り出し、第三王子からの手紙を開けて読むクロウ。王族らしき格式高い文章だったが、要するに【ライネル企業が撤退して経済的に辛いから、戻ってきてほしい。同時に同盟を組んで共に第二王子に対抗したい】という内容だ。


「うーん、俺は別にいいけど、小宵、これクロエに渡してきて、判断は任せるって言っといて」

「承知いたしました」


シュッと小宵がクロエの元に向かったのを確認して、クロウは引き続き自分の研究を再開した。


数日後、南部辺境伯と共に第三王子が【第一第三同盟条約】を結ぶために、ベレンツァ領内にある【ホテル・デ・ライネル】にやってきた。ホテルの最上階層を貸し切りに、意外にもすんなり双方の代表者での話し合いが順調に進み、その日の晩餐会を終えると同時に、同盟条約を結ぶ事ができた。


クロウにもすぐその情報は入ってきており、再び第三王子の本拠地であるライネル企業を再参入させる。そうして先に南部辺境伯が領界線に配置している兵士数を減らしたのを確認して、ベレンツァ卿も南部に配置していた兵力を北部に移動させた。


南部との綱引き戦とは違い、クロエが第二王子派閥との戦線に向かうと、かなり凄惨な戦場が広がっていた。もともと多くの指示や傭兵を持つ第二王子派閥とは戦力がかなり差があるので、毎度毎度第一王子派閥の兵士達は決死の覚悟で戦闘していた。


「総員!撤退!第二防衛線まで撤退し!防衛に徹しろ!」


初めて第二王子との戦闘を指揮する事になったクロエ。相手の兵士の鬼気迫る勢いと兵士の練度の高さ、それに戦場を荒れ狂うように駆け回る高速の騎士団達。そんな戦場にクロエは右往左往するしかなく、あっという間にクロエが指揮していた師団は崩壊し、撤退をするしかなかった。


「こんなに激しいとは...」

「クロエ様、こればかりは慣れるしかありません」


護衛隊長のメイドが落ち込むクロエを慰める。彼女達はクロエの護衛に関しては特に負担に思っていなかったが、激しい戦いのせいでかなり第一王子派閥と第ニ王子派閥の兵士の練度にかなり大きな差が生まれてしまっている。ベレンツァ卿の増援兵士が到着するのにまだまだ時間もかかるので、このままでは非常にまずいとクロエと他の指揮官達も青ざめてきた。


「どうする?」

「しばらく耐えるしかないでしょう」

「そうだな....それしかない」


2倍以上の兵力差をなんとか地形で食い止めているクロエ達。何とか打開策が無いかと他の指揮官達と相談する中、護衛隊長はこっそりと右耳のインカムを起動し、小声で何かを話し始めた。


翌日、いつものように苦しい防衛戦をするものだと思っていたが、なぜかほぼ敵兵士がいない。むしろ逆に攻め込むチャンスである。


「おや、クロエ様、攻めるチャンスでは?」


いつものように後ろでクロエを護衛している護衛隊長は、相手の罠ではないのかと疑ってチャンスを逃しそうなクロエにそういった。


「全軍突撃!何が起こったか分からないが!一点集中!相手の後方から相手の陣形を破壊しろ!騎兵!前に!」


防衛ラインから全軍で突撃を開始するクロエ達、二正面攻撃にいくら多勢の第二王子軍と言えど対処はできず、その日は初めて対第二王子の軍勢で初めて大勝する事ができた。


「どうも、クロエさん、初めまして、かな?傭兵団【百獣之旅団】の副団長、【駿馬】のルーデンドルフだ」

「初めまして、ルーデンドルフさん、クロエです」


兵士と一緒に戦場の後処理をしていると、規律正しい青年がやってきた。茶色の髪の毛を短いツーブロックウルフカットにした碧眼の男性、背丈は180cmを優に超えており、鋭い動きで足をそろえ、背筋を伸ばし自分の右手の握りこぶしを左胸に当てるという独特な敬礼をした。


「すいません、伯爵様とお呼びするべきでした」

「いえいえ、お気遣いなく」

「ありがとうございます、団長の指示により、これより【駿馬】のルーデンドルフ、クロエさんに加勢します」

「とは言っても、補給圧迫しても良くないので、我々は自由に動きますね、それではまた」

「えっあっ」


ルーデンドルフは再び鋭い動きで敬礼すると、そのまま踵を返してしまった。戦場の片づけを済ませたその晩、クロエ達が日の沈んだ夜に紛れて休んでいると、突如として第二王子軍の後方で大きな爆発音がいくつも響き渡った。


「これは....?」

「どうやら、昼の青年が夜戦を仕掛けているようですね、おおっ、流石です、相手の食料保管庫がいくつか破壊されていますね、それに相手の武器保管庫にも火の手が上がっています」

「本当か」

「....これはチャンスでは?」

「総員!戦闘準備!夜戦の準備をしろ!」


自分のテントから飛び出し、護衛隊長の女性と共にすぐさま兵士達を大きな声で叩き起こす。


「全員起きろ!戦果の上げ時だぞ!」


次々とをテントから飛び出す兵士、最低限の武器と火のついた松明しか装備していない彼らだが、同じように武器だけ持って前線へ馬を駆け出したクロエに続くように、碌な陣形も維持せず、ただ大きな津波のように混乱が続く第二王子軍の元へとなだれ込んだ。


そうして再び日が昇る頃、再びクロエ達第一王子軍が大勝を上げる。大きく第一王子の北部勢力を殲滅し、そのまま勢いよく北部辺境伯領の元へ攻め込むと思われたが、残念ながら兵力が足りておらず、戦線の維持が非常に難しい。しかし放っておいてはもったいないので、第三王子に追加兵力を要求する事にした。


数日後、第三王子の兵団を到着し、今回はクロエ主体で第二王子の北部辺境領への侵攻を開始した。


「総員攻撃開始!」


クロエが馬の上で剣を抜き、そのまま眼前の北部辺境伯領へ剣先を向けると、第一王子軍は進撃を開始した。結果から言えば、既に先の二回の大敗と、機動兵団ともいえるルーデンドルフの率いる傭兵達が各地で第二王子の本拠地である西部辺境領から北部辺境領へ続く補給線を切断して回っているので、クロエもその機に乗じて強攻ではなく兵糧攻めをする事で、あっさりと北部辺境領は降伏した。


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