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すっとぼけ覇王のVRMMO蹂躙記  作者: 愛良夜
技術革命と育児編

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新ライネル領Ⅶ-悪魔の演説

「時間切れです。それでは、行ってらっしゃいませ」


フレデリカを見送った日の夜、小宵は無慈悲にメルティの家から追い出した。クロウは自室の窓から、とぼとぼと一人でカバンを持って歩き出すクロウを見つめる。少し心がちくりと痛んだが、そんな事よりもクロウはもっと大事な事があった。それは新しい兵器開発についてだ。


「旦那様、メルティ様の言われた通り、出立なさいました」

「そうか....」

「やはり、心苦しいですか?」

「そりゃあな、時間だけで見れば、あいつとはアルルよりも付き合いが長いし」

「そうですね」

「だが、いつまでも彼女を守り続ける事も出来ない。もしかしたら、将来俺が先に死ぬことだってあるかもしれない」

「そんな、そんなことは」

「人生何が起こるか分からないからな....まあそんな話はさておき、小宵、例の件は」

「はい、既に人員の選抜を完了しました」

「よし、行こう」


クロウは小宵と共に自分の屋敷の1階へと降りる。そこにはクロウの作り上げた数々のフロント企業の内、もっともすぐれた人員と最も企業に忠誠的な研究者と社員が多く集められていた。


「初めまして諸君、私の名前はクロウ。君達が所属している企業の創設者であり、はるか昔からこのライネル領にやってきた者だ。諸君に今日集まってきてもらったのは他でもない。君達には私の理想を叶えるための手助けをしてほしいと思っている。君達の中には思った人もあると思うが、どうしてこの夜中には魔法が使える人と使えない人がいるんだと」


1階にいる数々の冒険者を前にして、クロウは傍にあった投影型アークゴーレムを起動する。画面には火魔法を使って平民をゴミのように焼き殺す貴族が写し出されていたり、水魔法を使って屋敷の掃除をしていた女性を溺死させようとする貴族の映像が流れている。


「魔法、それは一体何なのか、どうして我々は魔法が使える者と使えない者、一般的に魔力と持つものと持たないもので、どうして人間としてこんなに格差が生まれてしまったのか、それを私はずっと研究していたのだよ。その結果、私はあるものに気が付いた。魔法の元になるもの、魔力の根源であるMPと呼ばれる物の正体となる存在、魔法を行使する際に消費される物、魔法の素となる微小の粒子、【魔素】について」


【[教示][チャーム][龍の威厳][魔力支配]が発動しました】


「この魔素と言う極小の粒子は先天的に生成・保持・行使できる人や獣がいれば、それを生成・保持・行使できない者もいる。事実、この世界の殆どの貴族は、魔素と言う粒子を生成・保持・行使できるが故に貴族を名乗っている。つまり、魔法が行使できると言う事は、この魔素をコントロールできると言う事だ。それゆえ、魔素は彼奴らは貴族たらしめていると言える。私は、そんな現状を打破するために、万人が魔法を使える世界を作り上げるために、君達と共に、この【魔素】についての研究を行いたいと思う。この研究は、貴族の権威を脅かす、いわば【悪魔の研究】などと言われるだろう。だが、君達ならば、きっと成しえるはずだ。私の夢でもある、【格差無き世界】が実現できると」


スキルも駆使したクロウの演説は、既に多くの研究者の血肉を滾らせて、狂気的ともいえる熱狂を巻き起こしている。横にいる小宵も、クロウの演説を聞いて、思わず悪魔の特性を発現させていた。当のクロウ本人も、いつもとは違い、背後の大窓から差し込む月明りに照らされたその姿が、何よりも1階で彼を見上げる研究者を興奮し、高揚させた。今のクロウは額からは悪魔のような黒光りする角、背中からは3対6枚の漆黒の翼が広がっており、黄金を思わせる金色の髪の毛と深淵を想起させるその真っ黒な瞳から、聞いた者の意思と思考を塗り替えるようなそんな声に、人々はそんなクロウに蠱惑されたように、魅了されたように、ただ熱狂的に握りこぶしを突き上げ、賛同と賛美の声を上げるだけだった。


【熱狂的で狂気的な演説を確認、100以上人の人間に[狂乱]と[盲信]の状態を付与しました。[魔神の芽EX]の効果により〔公爵ダンダリオン〕〔公爵グシオン〕〔公爵ゼパル〕が目覚めました。それに伴い、〔公爵ダンダリオン〕〔公爵グシオン〕〔公爵ゼパル〕の権能が発現します】

【〔公爵ダンダリオン〕から[思考操作EX][千変万化EX][幻術EX]、〔公爵グシオン〕から[関係反転EX]、〔公爵ゼパル〕から[情欲操作EX][不妊EX]を獲得しました】


[思考操作EX]:対象の思考を暴き、自由に操作する。

[千変万化EX]:自身をあらゆる存在に変化させる事も可能

[幻術EX]:あらゆる場所にあらゆる幻像を投影できる。

[関係反転EX]:対象との関係性を反転させる。複数回使用可能

[情欲操作EX]:対象の物事への欲望を自由に操作する。

[不妊EX]:対象の妊娠能力を喪失させる


「それでは諸君!研究を始めよう!君達の偉大なる未来は!この先にある!ついてきたまえ!」


クロウは屋敷の中央に置いてあった、人型サイズの楕円形[ワームホール]の装置を起動する。中は魔獣の森の奥、氷の禁足地の中でもクロウがミサイルでクレーターを作った場所、あそこにクロウは[アイシクル・アークゴーレム]達と共に秘密の研究施設を作り上げていたのだ。


以前のような[魔導]スキルの取得方法も、分からないので、過去のような衛星兵器を作り上げるには、魔素が存在しない空の彼方上、宇宙空間でも機能するエネルギーが必要なのだ。そうすればクロウは[アークゴーレム]への依存も必要なくなり、完全なる近未来兵器が完成する。衣食住娯楽設備もなにもかも自己完結された知られざる氷山の中の異世界に近い施設の中で、クロウと100人のマッドサイエンティストは、狂った研究を始めた。


もちろん大まかな研究方向や段階、それに最終目標は既に決まっているので、それを全員に伝え、まずはクロウの脳内にある基礎知識を小宵も含めた全員に[教示]で教えこむ所から始まる。幸い新しく習得した悪魔技能である[思考操作]や[幻術]があるので、思考操作を活用して対象の脳内の疑問点を直接脳内に語り掛ける事で応答したり、対象の思考方向を随時正しい方向へ導いたり、[幻術]を用いて理論数値のシュミレーションをしたり、[物質変換]や[機械工学]でこの世に存在するが、獲得が難しい素材や材料等を生成、構築したり、[情欲操作]で睡眠欲や食欲を極限まで減らしたり、[龍の鍛冶]や称号[戦略兵器開発者]や[終焉を齎す者]の効果の一部を使用したりして着々とシュミレーションと実験を繰り返していった。


もちろんライネル領へ時々戻っては小宵と共にアルルに会いに行ったり、研究者達に休暇を与えたり、各種ライネル企業の創設者としての仕事をこなしたり、時にはクロエやクララ達に会いに行ったり、時々フレデリカの近況報告やメルティの現状を確認したり、小宵からフェンデル卿から送られてくるスパイの口を割らせたり、やる事は大量にあったが、クロウは以前よりもいっそう【イリアス戦記】と言うゲームに没頭した。


後に、【第一次ライネル・フェンデル戦争】と呼ばれる大戦争で、クロウ達の開発した物は【イリアス戦記】の世界に知れ渡る事になる。その研究はのちに世界各地の勢力に【悪魔の贈り物】と言われ、イリアス正教徒達から忌み嫌われる事になるが、新興国家や野心高い貴族達からは垂涎の一品となった。


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