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すっとぼけ覇王のVRMMO蹂躙記  作者: 愛良夜
技術革命と育児編

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新ライネル領Ⅰ

ライネル領へクロエとメルティが帰ってきてから1年、クロウの書き上げた書類の多くを着実に進めていたライネル家はついに先日、四代目ライネル伯爵がライネル領が軌道に乗った事を確認すると、領内にいる全領民に向かって、引退する事と、五代目ライネル伯爵の爵位はクララデュフォン・ライネルに受け渡すと言う事を正式に発表した。これについてはベレンツァ侯爵も既に国王から許可を得ており、国王からの承諾の文も既にライネル邸に届いている。


「見てこれメルティ、これ多分南の都市から来た魚だよ」

「ホントだ、白身っぽいけど緑色のソースが美味しい」

「ね、小宵、これ味見してみて」

「いただきます....むむむ、美味しいですね」

「これ作れそう?」

「後でシェフに聞いてみます」

「サンキュ」


クロウ達3人も今日は正装を着て、クロエの伯爵位継承式に参加していた。確か初めて新ライネル領にやってきたあの料理人が今日は主催をしていたはず、以前にレストランを開くと言って資金援助してから大分時間が経つけど、今はどうしているんだろうか、後で様子を見に行くとしよう。


「あら、このスペアリブ、もしかして最近旦那様が開発したあの高級豚の」

「お?ホント?もう繁殖成功したんだ。やるなぁ」


クロウは皿から豪快に4切れのこんがり焼けたスペアリブと自分の更に取り、魔法でソースも零れないようにしながら横にいるメルティの皿に乗せた。


「あっ、これ前パパが新しく交配したって言ってたライネル豚だっけ?」

「そうそう、早速今回調理したみたいで、一緒に食べよ」

「うんうん、いただきまーす」


2人共魔法で1口サイズに切り分け、実際に食べてみる。


「お、ジューシーだけど硬すぎない、ちょうどいい焼き加減」

「パパこのソースもたまんない」

「醤油系?かな、しっかり味はついてるけどこってりし過ぎないね、これは肉が進む進む」

「なんだこの者達は!誰かつまみ出せ!」


急に自分達の近くで誰かが大きな声を出したので、3人はスペアリブの最後の一切れを口に入れて振り返る。見ると、派手なアクセサリーを身に着けた見た事のない中年男性がそこに立っていた。


「?」


最近領内にやってきた商人だろうか、クロウは見た事のない男性がこちらを睨みつけている事に不思議そうに見つめ返した。


「ライネル領はとても気品高い場所と聞いていたが、こんなしょうもない者をどうして今日のような大事な日の、大事な場所に入れたのか、守衛!とっととつまみ出せ」

「えと、誰を?」


まさか俺?と思いながらクロウは自分を指さす。


「そうだ、貴様のような無作法な輩はこの場所に相応しくない」

「?」


ちょっと何言ってるかクロウは理解できなかった。いや本当ならスペアリブとか素手で行きたかったけど、ここは我慢してお上品に切り分けたが....


「貴様ぁ....」


あかん、小宵が切れて顔が[龍化]しかけてる。「ステイステイ」と[使い魔]スキルのテレパシーで小宵を宥める。メルティも瞳が輝きだしたので、そちらも抑えていると、会場の奥の方から料理長が出てきた。


「師匠!師匠!お久しぶりです師匠!」

「ん?あれ、もう終わったの?」

「はい、後は任せても大丈夫ですので」

「あの魚美味しかったよ、良かったら後で小宵に作り方教えてあげられない?」

「あっはい!もちろんです!」

「後、あのリブどう?新しいライネル豚でしょ、どう?」

「あの肉良いですね、肉質が以前よりも数段上がりましたが、肉の臭み自体は大分減りました、飼料変えたんですかね」

「それはあると思う」

「はー、なるほど、今後うちの豚肉はこの新ライネル豚一筋で行く予定です」

「うんうん」

「お、おい!私を無視するな」

「えと?師匠、誰ですかこの人?」

「さぁ?知らない人、スペアリブ食べてたらなんか俺はここに相応しくないから追い出そうとしてるみたい」

「!?」


料理長はクロウの言葉を聞いてすぐに、袖を捲りあげてなりふり構わずクロウにいちゃもんをつけていた男の胸倉をつかみ上げ、そのまま容赦なく窓から男を放り投げ捨てた。


「おっちょっと!?」

「ったく、気にしなくても大丈夫ですよ、あっえと、レシピでしたっけ、小宵さん、どぞどぞ厨房へ、実際に材料も用意するので、どうぞ全部持って行ってください」

「あら、良いんですか?」

「も、もちろんです。俺は今でも忘れられませんよ、あの時に食べた、師匠のチャーハンの味が」

「やめろやめろ、いつまでもそんな話掘り返すんじゃねぇ」

「師匠!おらぁ一生忘れません!」

「だぁ!泣くな泣くな、ったく」


号泣する料理長と共に、小宵は厨房へと向かっていった。そんな騒動を横で見ていた最近ライネル領にやってきた商人の1人が、数か月前に同じくライネル領にやってきた友人と会場の隅でクロウ達を見て内緒話をする。


「なあ、あの背の高い人って、いったい?」

「あのお方はクロウ様だ。お前はまだこのライネルに来てばかりだから、知らないと思うが、このライネルで最も力がある人があの方だ。世界中で爆発的に今売れている【ライネルクロス】や世界中で有名な大企業であり、超高級ホテル・レストランである【ラ・マンション・デ・ライネル】、その他にも農業や建築、物流に傭兵団などなど、ライネルの名前が付く企業の全てがあのお方が作り上げたと言われている」

「【マンション・デ・ライネル】も?」

「ああ、その通りだ」

「それに噂によると....あのあn....」


商人が話を続けようとした所で、今回の主役であるクロエが会場の奥から姿を現した。横にはクララも彼女達の父上もいる。


「みんな、今日はこの場に集まってくれてありがとう」


クロエは今まで最も気品高い男装を着ており、その首元についている青い魔鉱石に触れてからそう話し出した。すると、いつもとかわらない声量で話しているはずだが、その声は増幅され、広い会場にいる誰もが聞こえるほどの大きなになっている。


「おっ、うまく作動しているみたい」


あの小さな魔鉱石はクロウが自ら出資・創設した音響関係の研究・生産を行う企業である【ボイ・デ・ライネル】が新たに作り出した小型携帯式音声反復装置だ。うまくクロエの為に服のアクセサリーとしてなじむような見た目と言う特注をしたが、どうにか時間内に作り上げる事ができたようだ。


「今日は大事な話がある、心して聞いてくれ」


クロエがそういうと、クロエの父親が壇上で一歩前に出た。


「私、四代目ライネル伯爵であるマクダン・ライネルは本日をもって正式に退位し、五代目ライネル伯爵の爵位を、我が長女であるクロエデュフォン・ライネルに継承させる」


クロエの父親であるマクダンがそう言い終えると、会場は大歓声に包まれた。その後クロエも新しくライネル伯爵としてこれからの領の方針や、新しく執行するライネル領法について簡潔に話した。会場の盛り上がりが覚めぬうちに長い話をさくっと切り上げ、クロエとクララ、それからマクダンは優雅に壇上から降りてきて、会場にいる人々に挨拶を始めた。


それと同時に小宵も厨房から戻ってきた。


「どうだ小宵」

「ばっちりです」

「またつまみ食いした?」

「食べております」


眼にも留まらない速さで自分の口元についたソースを拭う小宵。残念ながら常人には見えないほどの速さだったが、クロウとメルティはしっかりと見えていた。


「う~ん、暫く続きそうだし、クロエ達の継承式も見たし、帰るか」

「よろしいのですか?」

「いや本当は少し話しておきたかったけど、この様子だと無理でしょ」


既にクロエ達の周り何層にも囲むように人だかりができており、護衛が彼女達3人の周りにいるものの、料理が並べられたテーブルからはすっかり3人の姿が隠れてしまった。


「それもそうですね、いつでも会えますし、帰りましょうか」

「帰るパパ」

「帰ろ」


遠くから3人を一目見たと、クロウ達は静かに会場から立ち去った。一応先ほど料理長が良く分からない男を投げ飛ばして壊れた窓を直してから会場を去るクロウ。家からはさほど遠くないので、街灯が照らされた夜道を3人で談笑しながら歩いていると、1人の少女が、小さなナイフを持って、3人の行く道を塞いでいた。


「か、金目の物を...わ、わたしなさい!」


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